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(出所:日経クロステック)
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中国製半導体の浸透状況を調査してみたが……

 「結局は分からねえ、ってことかよ」。

 米商務省が、非常に素直な報告書を出した。大変興味深いもので、ぜひご一読いただきたい。趣旨は、米国の重要なインフラの中に中国製の半導体がどれくらい使われているかという調査。米国の防衛に関わるとして実施した調査だが、結果は「よく分からなかった」という内容だ。

* 米商務省「BIS Publishes Assessment on the Use of Mature-Node Chips」

 分からなかった理由は、関連する企業のサプライチェーンが可視化できていないからだ。各社にとってみれば、米国の行政に「中国製の半導体をどれくらい使っているか」と質問されたものの、そこまで把握していなかったというのが正直なところのようだ。調べたかったとしても、機器に使っている半導体のファウンドリー(受託生産会社)の所在地まではなかなか分からない。

 最先端の半導体は中国で生産するのが難しいが、前世代のプロセスによる半導体(レガシーチップ)であれば中国でも生産できる。それが低価格なら、中国以外の国から調達している製品の中にも広くはびこっている可能性がある。しかし、全容が判明しない。

 このジレンマはきわめて興味深い、と筆者は思う。というのも、例えば日本では、取引先(1次サプライヤー)に対して「どのような2次、3次サプライヤーとつきあっているか」と聞いても、「機密だから」「技術的に開示できない」と回答を拒否されるケースが多々ある。しかも取引先が下請法(下請代金支払遅延等防止法)の対象企業の場合は、強引に聞くと優越的地位の乱用になる可能性がある。しかし、国家戦略の枠組みから見れば、下部サプライヤーがどのような企業なのかはぜひ把握したいところだ。ここにジレンマがある。

 さらに米国には、通信、自動車、医療機器など世界的に重要な産業が多い。防衛産業に限らず、中国製の旧プロセス半導体をどの程度使用しているかは、把握しておくべきだと当然考えるだろう。

 しかし、サプライチェーンの複雑さ故に分からなかった、というこの調査報告は別の意味で素直だと思う。つまり、現状ではサプライチェーンの実態は解明できないのが本音なのだ。