「折り畳み型のフォルダブル・スマートフォン(スマホ)『Galaxy X』を2018年11月に発表する予定」。韓国サムスン電子(Samsung Electronics)のモバイル部門のDJ Koh社長(President and CEO of IT & Mobile Communications Division, Samsung Electronics)は、2018年9月3日にこう語った。
当社は、2019年上期内の発売開始を見込んでいる。パネルサイズは7型台後半で、製品サイズは小型タブレット程度、折り畳み時には通常のスマホより少し厚くなり、製品価格は2000米ドル以上を想定する。折り畳み方向は、パネルに対して内側に曲がる「インサイド・フォルディング」だろう(図1)。
Galaxy向けに折り畳みパネル量産開始か
パネルを生産するのは、傘下の韓国サムスンディスプレー(Samsung Display)である。同社のフレキシブル有機EL専用の「A3」工場は、最近の基板投入枚数が月産11万枚程度に達している(最大能力は13万5000枚)。米アップル(Apple)の「iPhone」向けやサムスン電子の「Galaxy S」シリーズ向けでほぼ充足しており、フォルダブルパネル向けの基板投入はまだ月産5000枚に満たない。しかし、本格的な量産開始時には最大月産1万5000枚、モジュールまでの総生産歩留まりが低くても月産50万パネル程度に達する可能性がある。
最近の「Galaxy Note」向けは月産100万パネル強である。上述の月産50万パネルは、このNote向けの半分である。もし、フォルダブルパネルの価格がGalaxy Note向けの2倍なら、十分に“成功ビジネス”と言えよう。
ただし、これはフォルダブルスマホGalaxy Xが2000米ドル以上の高額製品で、Galaxy Noteに比べてもかなり高価なことを前提にしている。一般に、製品価格が高いほどユーザーが限定され、販売数量を伸ばすことは難しい。実際、Galaxy Xの計画は、2019年は100万台であると言われている。この販売計画は妥当だが、上述の「月産50万パネル」との間には大きなギャップがある。
高額製品のGalaxy Xが月産50万パネルに見合う販売数量を実現し、フォルダブルパネルを成功ビジネスに導くためには、Galaxy Xというフォルダブル製品そのものに何らかの革命、イノベーションが必要となる。