精密板金加工のフジムラ製作所(埼玉県川口市)は、連続溶接中のひずみを検知しながら動作を調整できるファイバーレーザー溶接ロボットを導入、2024年12月16日報道関係者に公開した。溶接中にセンサーでワークの状態を確認しながら、溶接トーチの位置を微調整する制御機能を備える。ワーク途中のひずみ発生や、ワークの位置ずれにかかわらず溶接作業を自動実行できる。スギノマシン(富山県滑川市)が開発し、第1号機をフジムラ製作所が導入した(図1)。
自動車製作でのスポット溶接などと異なり、箱ものの板金部品などの連続溶接はロボットでの自動化が難しく、通常は熟練者による人手作業が必要になる。自動化が難しい理由は、溶接中に生じるひずみに追従しながら溶接トーチを適切な経路で移動させる動きの実現が難しかったため。ワークの位置ずれや個体ごとの寸法誤差へ対応した動作修正も実質的には不可能。ロボットの制御プログラムをゼロから作り直す必要があり、そのためのティーチングなどに時間がかかるためだ。
それでも自動化しようとすると「ひずみを抑え込めるように専用の治具でがっちり固定するしかない」(フジムラ製作所代表取締役社長の藤村智広氏)。一定以上の個数を製作する場合には可能だが、治具の製作にも費用と労力がかかるため、少量生産の案件に適用するのは現実的ではなかった。