ねったい‐うりん【熱帯雨林】
読み方:ねったいうりん
熱帯雨林
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/19 05:56 UTC 版)
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熱帯雨林(ねったいうりん)は、年間を通じて温暖で雨量の多い地域に形成される植生、またはその地域のことである。熱帯降雨林(ねったいこううりん)とも呼ばれる。植物生態学では熱帯多雨林(ねったいたうりん)が正しい名称である。ジャングル(英: jungle)[注釈 1]、セルバとも呼ばれる。なお、ジャングルの原義は熱帯雨林そのものではない(「ジャングル (森林の型)」を参照)。
特徴
熱帯雨林が形成される条件として年間2,000ml以上の降水量があること、熱帯にあって年間を通して温暖であることがあげられるが、実際にはそれ以外にも様々な条件が組み合わさって形成されている。温帯にも若干似たものが見られる(「温帯雨林」を参照)。
地域としては東南アジア、中部アフリカ、中南米などに見られる。特徴としては生息する生物の多さ、種の多様さ(生物多様性)が挙げられ、複雑な生態系を形成している。全世界の生物種の半数以上が熱帯雨林に生息しているとも言われる。また、大気中に含まれる酸素の40%は熱帯雨林によって供給されたものと見られている。
構造
熱帯雨林に見られる植物の7割が樹木である。これらの樹木は垂直に3 - 5層からなる層構造をしている。最上層には飛び抜けて高い樹木がまばらにあり、これを超高木層と言う。その下に樹木の枝葉で覆われた層がある。これらを樹冠と呼び、高さ30 - 50mにも達する。樹冠が集まる上層部を林冠と呼ぶ。また、構成樹種がきわめて多いのも特徴の一つである。 太陽エネルギーを元に合成される生産量の大半が樹冠に集中するため、下層とは異なる樹冠生態系と呼ばれる特異な生態系を形成している。また、つる植物や着生植物が多いのもこのような森林の特徴である。これらの植物も樹冠生態系を構成する要素となる。樹冠の下は1 - 3層から成る中間層の林冠、最下層の林床が形成されている。
熱帯雨林では、濃い植生のために日射が遮られ、地表付近では下草が生長しにくい。 これは、人間も含めた大型動物にとっては移動に適した地形となる。 これが、何らかの理由(伐採、山火事など)によって日射量が得られるようになった場合、いわゆるジャングルと呼ばれる低木・つる植物の豊富な、中を歩きにくい植生となる。
土壌の発達は良くない。落葉や腐植の層はほとんどない。これは、気温が高くて分解速度が速いためと、主としてシロアリが、落葉を素早く裁断して自分の巣に持ち込んでしまうからである。地質は、分解速度の速さと多量の降水のために養分が溶脱してしまい、やせた酸性の土壌となる。酸化鉄や酸化アルミニウムを多く含むため、酸化鉄の色から赤い色を呈しており、ラトソル(ラテライト)と呼ばれる。養分は土壌に蓄積するのではなく、速い速度で生物間を循環している。そのために熱帯雨林の土壌は薄く、一旦広い面積で植生を失うと、多雨の影響もあって急速に土壌流失を起こし、砂漠化してしまいやすい。
乾季のない熱帯雨林では、樹木は結実する機会に乏しく栄養を固い樹幹の中や根に集めてしまうため、樹上で生活する動物にとって採食は意外にも困難となる。したがって進化過程で草食から雑食へ変化したり、より採食がし易い乾季のある土地への移動を促したと考えられている。
熱帯雨林の荒廃
20世紀に入って以降、熱帯雨林は伐採や農地開発による破壊(森林破壊)が進み、急速に減少・劣化してきている。 その速度は、毎秒0.5 - 0.8ヘクタールにもおよび、かつて地表の14%を覆っていたとされる熱帯雨林が現在は6%まで減少し、このペースで減少が続けば40年で地球上から消滅するものと予測されている。 それに伴って絶滅する生物種の数は、年間5万種にも上るとみられる。
森林破壊の原因は地域によって異なるが、世界資源研究所 (WRI) は、破壊の最大の脅威は木材や紙生産のために行われる商業伐採であり、鉱業開発、農地や牧草地への転換等がそれに続いていると報告している。また、森林が最終的に農地や牧草地、産業植林地などに転換される過程において、商業伐採がその最初の段階における役割を果たしているという意味でも、その影響は大きい[1]。
国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によれば、熱帯雨林が広がる国・地域の森林率は減少傾向にある[2]。
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
- 中米の熱帯雨林フォト[リンク切れ] 南北アメリカの生態系を繋ぐランドブリッジ、中米の熱帯雨林とその破壊
- 『熱帯雨林』 - コトバンク
熱帯雨林
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 05:09 UTC 版)
熱帯雨林(熱帯多雨林)は、温帯雨林とはまったく異なる構造をもつ。一つの林が高さによって3層に分かれ、最上層はフタバガキを主とし、他にマメ科の植物が見られる。幹に枝がなく、先端部にのみ葉がみられることが特徴である。地上30 mから70 mに広がる。中間層は、クスノキ科、ブナ科などの樹木からなり、20 mから30 mの範囲を占める。互いの樹木の先端部、すなわち樹冠が接触し、互いに覆いかぶさっているため、地上からは上空が一切見通せない。下層部はトウダイグサ科、クワ科の樹木からなり、10 m前後である。 現代のブルネイにおいてもブルネイ・ウルテンブロン国立公園に高さ80 mに達する樹木の間を吊り橋で歩いて見学するキャノピー・ウォークウェイが設置されている。 このような森林がボルネオ島全域、東南アジア島嶼部の大部分を覆っていた。日照がなく、常に湿度が100 %近いため、ヒトの生存には向かない。さらに落葉や倒木などはすぐにシロアリを主体とした分解者によって消費されてしまうため、土壌には腐食質(腐葉土)が蓄積しない。さらに熱と水の影響を受け、酸化アルミニウムと酸化鉄以外の構成分が速やかに溶脱してしまうために、土壌は非常にやせている。温帯林では生態系を支える栄養塩類のかなりの部分が土壌に保持されているが、熱帯雨林の森林生態系を支える栄養塩類は土壌にではなく速やかに樹木やその林冠部に発達した着生植物群落によって回収されてしまい、そのバイオマスとして保持されている。 従って、焼き畑などで農地を開いても、主たる栄養塩類保持装置たる森林バイオマスを破壊してしまうため、開墾地の土壌は速やかに消耗し、最大2年しか農地として利用できない。無理して営農を続けると妨害植生のチガヤ草原(アランアラン)となって不毛の土地になってしまうため、短期の営農を終えた後は速やかに放棄して自然の遷移に任せて森林の再生を待たなければならない。
※この「熱帯雨林」の解説は、「ブルネイの歴史」の解説の一部です。
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「熱帯雨林」の例文・使い方・用例・文例
- 熱帯雨林の重要性
- それらの動物は南米のセルバと呼ばれる熱帯雨林に生息している。
- キンカジューは熱帯雨林に生息する。
- 広大な広さの熱帯雨林
- 毎年、2700万エーカーの熱帯雨林が破壊されているのである。
- 熱帯雨林は地球に多くの恩恵を与える。
- 熱帯雨林は残されるべきだ。
- 熱帯雨林は一日数万ヘクタールの割合でなくなっている。
- 熱帯雨林は、酸素を作り、二酸化炭素を消費する。
- 熱帯雨林の破壊は環境に影響を及ぼす。
- 熱帯雨林が心配の種である。
- 熱帯雨林がお金のために破壊されているのは残念なことだ。
- 太陽と湿った気候が熱帯雨林を作った。
- 雪の上にも、極地の氷の上にも、そして熱帯雨林のも住んでいる。
- 赤道近くの狭い地域にある熱帯雨林は、急速にその姿を消しつつあり、2000年までにはその80%が消滅してしまうかもしれない。
- 世界の熱帯雨林は、この惑星上の生命が形成する生態学的な連鎖の中で、かけがえのない環をなしているのである。
- われわれは、熱帯雨林無しではやっていけない。
- ロッククライミングも、海で深く潜ることもしたし、インドネシアの熱帯雨林で眠ったこともある。
- そもそも事故の大半は熱帯雨林ではなく、身近な場所でおこるのである。
- 熱帯雨林の保護.
熱帯雨林と同じ種類の言葉
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