安田さん拘束事件で「仲介人」が撤退宣言

takase222016-06-30

オシロイバナとヒメジョオン。

梅雨空のみちばたに、雑草として咲いている花々がきれいだ。


安田純平さんの件で動きがあった。
きのうの朝、エリコ通信の新谷恵司さんがフェイスブックでこう発信した。

《シリアで拘束されている安田純平氏の映像を2度、自らのFBで公開したシリア人フリージャーナリストから、先ほど、次のメッセージがあったのでお知らせしたい。(小生の翻訳)
「シリアのヌスラ戦線に拘束されているジャーナリスト安田純平氏の問題を仲介している人物の話をお伝えする。事件は閉じられた。我々仲介者は安田純平氏の命運について責任を持つことはできない。ここにこの事件の仲介からの撤退を表明する。我々は拉致側と日本政府政府間のメッセンジャーとして働いてきたが、この問題を解決しようとのすべての試みは、日本政府側が拉致側の要求に応じないため失敗した。」》
https://www.facebook.com/keiji.shintani/about

さらに夕方、新谷さんの書き込みがあった。
《なお、改めて本人に確認したところ、私以外の「ジャーナリスト」にも同文のメッセージを送付済とのことです。》

 ちょっとおさらいすると、安田さんの画像がこれまで2回(動画と写真)公開されたが、公開したのは安田さんを拘束しているヌスラ戦線と何らかのつながりのある自称仲介人だった。自称仲介人から画像を受け取った知り合いのジャーナリストがそれをフェイスブックに上げ、広くメディアの報じるところとなった。(日テレなど一部のメディアは自称仲介人から直に画像を入手していた)http://d.hatena.ne.jp/takase22/20160530
 このグループは、ヌスラ戦線指導部に対して、自分たちが身代金を取ってやろうともちかけていろいろと策動してきた。画像を日本のメディアも大きく伝えたが、私は、このグループにのみ注目がいくことは、彼らの立場を強めてしまうので、報道自体、控えたほうがよいと主張してきた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20160606
 ヌスラ戦線は、いったんは自称仲介人のグループにやらせてみることにしたのだろう。その結果なのか、安田さんの友人たちなどがヌスラ戦線との間に拓こうとしたルートは機能しなくなっていった。
 自称仲介人のグループは、日本側が交渉に乗ってこないことにいらだち、身代金の交渉期限はあと1ヶ月、さもないと安田さんの身柄はISに渡されるなどと期限を切って脅迫してきた。
 それでも成果を上げられないので、ヌスラ戦線指導部から「御役御免」を言い渡されたということだろう。
なお、安田さんは去年、6月23日にトルコから国境を越えてシリアにはいり、すぐに拘束されたので、もう拘束1年が過ぎた。ただ、はじめに安田さんを拘束したのはヌスラ戦線ではない別のグループで、ヌスラ戦線にとっては「1周年」ではない。これまでのケースからは、ヌスラ戦線にとってそうした節目はそもそも意味を持っていないようだ。

 今回の自称仲介人の撤退で、ある意味、問題は振り出しにもどったわけで、安田さんの拘束は長引きそうだ。別の見方からするとチャンスでもあるのだが。


お知らせです。
6月21日に日テレnews every特集で放送した「私には戸籍がなかった」が以下のサイトでこれから1ヶ月見られます。
見逃した方はどうぞご覧ください。

http://www.ntv.co.jp/every/feature/20160621.html