中国との危機に観るべき映画「亡命」

takase222012-09-25

連日、中国の公船が尖閣に侵入するなか、今度は台湾から40隻の漁船と10隻の巡視船がやってきた。
日本と台湾の巡視船が、洋上で激しいつばぜりあいと放水戦を繰り広げた。テレビで映像を見ていて、非常に心配になる。相手が台湾でなく中国であった場合、こんなことを繰り返していれば、「実力」での衝突に発展する現実的可能性があると思う。
中国政府は、デモは抑えたうえで、日本の尖閣実効支配の無効化と経済制裁を国策として強硬に進めている。
例えば、今後、中国から漁船と公船が一緒にやってきたとする。尖閣の領海に入った漁船を日本の巡視船が追い返そうとする。漁船も強気になっているから、体当たりするか棒や爆竹などで抵抗する。日本の巡視船が前回のように船と船員を拘束しようとする。中国の巡視船が「中国の領海でわが漁民に危害を加えるのは許せない」として「実力」行使に出る・・・。
現在の中国は、ある種の「ならず者国家」だと私は思うが、しかし、現実には、国連の常任理事国で、日本とは国力の勢いが全然違うということは認めて対処しなければならない。尖閣が「日米安保の対象」ということと、いざというときに米軍が出てくるかどうかは別のことである。米国は日中の領土問題には、介入しないと言明している現実も見据えなくてはならない。
中国とは決して「実力」での衝突をしてはならない。ここまで事態がくると、いかに戦闘を抑止するかというところから出発して方法を模索すべきだと思う。これについては、またいずれ。
誤解のないように言うと、私は中国人が嫌いなのではない。今の中国政府は体制的な変革を要すると思うが、個々の中国人には尊敬する人々が多くいる。
こういう今だからこそ、観るべき映画だと「亡命」を推奨するのは三浦小太郎さんだ。
http://miura.trycomp.net/?p=1315
賛成。私も一年ほど前にみて、中国人たちの自由と民主を求める熱く粘り強い闘いに感動した。また、登場する人びとが実に魅力的である。
映画「亡命」ストーリー
中国では、1960年代の文化大革命から1989年6月4日の天安門事件を経て、多くの人々が世界各国への亡命を余儀なくされてきた。
かつて万里の長城を築き、他民族の侵略を遮断した歴史を持つ中国政府は、経済発展の続く現代においても情報封鎖や言論統制という目に見えない壁を築き、民主化の動きを封殺している。このドキュメンタリーは、故郷を追われ、異国の地で不自由な生活を強いられている亡命知識人、作家、芸術家、詩人、政治活動家たちの発言を通して、中国の民主化が意味するもの、そして人間の尊厳について問いかける。
亡命者とは何か。
彼らは中国に限らず世界中の国に存在しており、決して忘れられてはならない人々である。亡命者の存在は、政治や文化の寛容さについて考えること、行動することを常に私たちに求め続けている。

私は、監督の翰光(ハングァン)氏(写真)とは20年来の友人である。彼は、1987年に留学生として来日。中国の残留日本人や日本軍による性暴力、いわゆる「従軍慰安婦」などの問題を扱い、班忠義の名で『ガイサンシーとその姉妹たち』(梨の木舎)を著している
彼は日本による侵略を糾弾する一方、この映画では、現在の中国政府による自由・民主の弾圧を描き厳しく批判する。「親日」か「反日」かなどという分類には収まらない度量の大きな人物である。
映画をぜひご覧下さい。
場所:オーディトリウム渋谷
日程:2012年9月29日(土)〜10月5日(金)10:00〜
また初日と2日目には翰光監督のトークイベントがあります。