全面撤退の申し出は本当か?

3月15日の東電の撤退申し出について書いたら、すぐにツイッターで「あくまで菅首相の言い分」ではないかとの疑問が寄せられた。
確かにそうで、菅直人氏はこれまでよく、事実をゆがめて自分に都合のよいパフォーマンスをしてきた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20101022
そこで、他にもいくつか確認したいことがあったので、きのう東電の広報に電話した。
菅前首相が言うように、全面撤退を申し出たというのは本当ですか?
担当の広報のT氏は、調べるお時間をくださいと言っていったん電話を切り、2時間ほどして電話口でこう答えた。
「15日、2号機で圧力抑制室付近で爆発音がしたが、ここで東電が提案したのは、事故の収束にあたる70名以外のスタッフを第二原発などに退避させることであって、全員が退避することではなかった」。
全面撤退ではなく、収束にあたる人員は残すつもりだったというのだ。
さて、これに関して、読売新聞に枝野氏が発言している。
《枝野幸男前官房長官は7日、読売新聞のインタビューで、東京電力福島第一原子力発電所事故後の3月15日未明、東電の清水正孝社長(当時)と電話で話した際、作業員を同原発から全面撤退させたい、との意向を伝えられたと語った。
 東電関係者は、これまで全面撤退の申し出を否定している。菅前首相や海江田万里前経済産業相は「東電が作業員の撤退を申し出てきた」と説明してきたが、枝野氏は今回、撤退問題に関する具体的な経過を初めて公にした。
 枝野氏は、清水氏の発言について「全面撤退のことだと(政府側の)全員が共有している。そういう言い方だった」と指摘した。
 枝野氏によると、清水氏はまず、海江田氏に撤退を申し出たが拒否され、枝野氏に電話したという。枝野氏らが同原発の吉田昌郎所長や経済産業省原子力安全・保安院など関係機関に見解を求めたところ、吉田氏は「まだ頑張れる」と述べるなど、いずれも撤退は不要との見方を示した。
 菅氏はこの後、清水氏を首相官邸に呼んで問いただしたが、清水氏は今後の対応について明言しなかったという。このため、菅氏は直後に東電本店に乗り込み「撤退などあり得ない」と幹部らに迫った》(読売新聞)
記事の次の文章には苦笑させられる。
《枝野氏は菅氏の対応について「菅内閣への評価はいろいろあり得るが、あの瞬間はあの人が首相で良かった」と評価した》
さて、真相は。