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デニム大手「リーバイス」がファッションモデルにAIを試験運用

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image credit:Levi’s / Lalaland.ai

 最近のAI画像生成技術は超進化を遂げている。まるで実在するかのような、リアリティのある架空の人物の全身画像を作り出すことは簡単に行える。

 ファッションモデル業界もついに転換期を迎えているようだ。

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 「リーバイス」でおなじみ、デニムの老舗ブランドリーバイ・ストラウス社が、従来の人間のモデルに加えAIモデルを試験的に採用する計画を発表した。

 体型や年齢や肌色も思いのまま。製品の見た目を効率良く伝えるため人工知能が生み出すさまざまな架空のモデルを使用するそうだ。

リーバイスがAIファッションモデルの試験運用を発表

 、デニム業界の大御所「リーバイス(Levi’s)」を手掛ける、リーバイ・ストラウス社は「人間モデルの補完に加え、持続可能な形で製品モデルと多様性を増やす」ため、AIモデルの試験運用を行うという。

 3月22日、オランダを拠点とする AIファッションモデル企業 Lalaland.aiとの業務提携を発表した。

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image credit:Levi’s / Lalaland.ai

 さまざまな体型、年齢、肌色の「超リアル」なモデルを作り出すという Lalaland.ai 公式サイトによると、カルバン・クラインやトミー・ヒルフィガーなどの有名ブランドも同社のモデルを採用しているそうだ。

Lalaland.ai のインスタアカウントより

AIが人間のモデルに完全に取って代わることはない

 同社の先端技術を担当するエイミー・ガーシュコフ・ボールズ博士は、公式発表でこのように述べている。

AIが人間のモデルに完全に取って代わることはないと思います。ですが我々は顧客体験のために採用するAIモデルのポテンシャルにわくわくしています。

 リーバイ・ストラウス社はちょうど1年ほど前、リストラの一環で従業員の15%に相当する700人を解雇した。現地メディアによると同社はこの削減で、年間1億ドル(約132億円)の節約に成功したという。

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image credit:Lalaland.ai

従来のファッションモデルやスタッフはどうなる?

 また同社は、多様性への取り組みはAIモデルの使用にとどまらないとし、「(自社の)幅広い消費者層を反映する 」画像系コンテンツクリエイターとの協力に重きを置くと述べた。

 こうした新たな取り組みが、従来のファッションモデルやメイクアップアーティスト、撮影スタッフなどの失業につながるかはまだわかっていない。

 なおAIモデルの移行への試みは他の業界でも起きている。一例では昨年8月アメリカを拠点とするキャピトル・レコードが、AIラッパーのFNメカと契約。その後解雇した。

 そのバーチャルラッパーは「黒人文化に対する粗悪なステレオタイプを助長するキャラクター」として炎上したためクビになったのだ。

AIモデル企業との提携で表現に誤り?後日発表に追記

 「人類多様性補完計画」とでもいうのだろうか。人の数だけあるともいえる多様性をもれなく尊重するならばAIモデルの採用が一番手っ取り早いってこと?

 と思いきや、昨日28日付けでリーバイスが発表の訂正らしきものを追って公開していた。

先日発表したLalaland.aiとの提携は、プログラムの一部について正しく表現していませんでした。その点に我々は責任を負っています。

我々はこの試験的な取り組みを多様性の推進手段とは考えていません。多様性、公平性、包括的なゴールを目指す活動に代わるものともとらえていません。またそのような表現がされるべきではありませんでした。

目的は多様性ではなく顧客体験の充実

 最新の発表によると、同社の目的は多様性などではなく、AIモデルを通じて顧客体験をより充実させることだという。

 たとえば、これまで1つの製品にせいぜい2人までだった人間のモデルにさまざまな体型のAIモデルを加えることで、従来より早く製品の見た目を伝えるという効率向上を期待しているという。

 一方でライブ撮影や人間モデルの使用といった従来の作業を減らす予定はないそうだ。

 ファッション業界ではsDGSな課題に取り組む企業も増えつつあるが、長らくファンに愛されているリーバイスは、実在のモデルや協力者ありきで成り立つ本格派の姿勢を今後も貫いていくという。

リーバイスのインスタアカウントより

 にしてもファッションモデルの多様化ってすごいな。ブランドによっては実在する顧客それぞれの要望に応じるために架空のAIモデルがメインになったりしてるようだし。

参考:BBC News チャンネルより衣類の節約になる?AIモデルの特集
Lalaland.ai のデモ映像も

Can AI fashion models help shoppers cut clothes waste? – BBC News

 進んでるとこは通販もAIのアバター化からのメタバースの流れまであと一歩な気もするしそうでもない気もするけどみんなはどう思う?

References:mashable / usatodayなど /written by D/ edited by parumo

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この記事へのコメント、25件

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  1. 自分と近い体型のモデルで見れるなら嬉しい

    外人が着た時と自分が着たときで違い過ぎて悲しいから

    1. >>1
      それに関しては、もともと日本が特異なんだよね。

      他のアジア・アフリカ等の諸国は
      もっと自国の人種を衣料広告モデルに使っている。
      「実際に人間の着衣状態のイメージをより具体化する」
      という目的に鑑みれば、そりゃそうだろう。

      それが何故か日本は、
      平均的国民の体型とはかけ離れた白人モデルを多用し、
      現実離れしたスラッとした着こなしで広告を打つほうが売れる。
      (輸入ブランドでなく、明らかに国内向け国産企業の服でも。)

      1. >>16
        んなわけねーだろ
        韓国と台湾、それにタイとインドネシアに最近行ったことあるけど
        ファッション広告は白人だらけだったぞ

  2. ここ最近のAI事情見てると「技術的特異点とかシンギュラリティとかありえねーだろ」と思ってたけどマジでその兆しが見えてきてワクワクする

  3. これはすごく良いのでは。
    人間だとどうしてもスタイルの良い人使うから、自分が着るとものすごく残念になる
    自分の体型に近いモデルが見れたり、生成出来たら最高。

  4. 何も良くないと思う
    作った画像になら正当な対価を支払う必要も無いし
    また人間の仕事が奪われた

    1. >>5
      コストがかからないんだったら、企業目線じゃ大歓迎だろ

      1. >>9
        もっと大局的なものの見方をしたほうが良いと思う
        もし自分の職域に侵食してきたら決してそんなことは言えなくなるはず

        1. >>13
          理想は生身の人間の職を守るべきけど、現実的にも経済的にも合理性を求めたら安くてオフィスだけで済むAIを選ぶのは自明の理だからなあ…。
          企業努力に賭けるしか無い、こればっかりは。
          歴史で言えば自動車が普及して馬車が駆逐されたようなもん

          1. >>18
            もちろん流れとしてはそう、技術革新は止められない
            ただ今回のリーバイス社の発表にあるような「ライブ撮影や人間モデルの使用といった従来の作業を減らす予定はない」などの企業がコストカットを始めるときの定番の詭弁に騙されて危機感を失わないようにはしたいのと、人間の仕事が減っていった後の社会的な基盤の整備などは急務になっている

            • +1
        2. >>13
          それ、電車の駅で自動改札を導入しようとした時なんかも
          国鉄の労組はしきりに「合理化反対!」を叫んでたんだよなぁ…。

          人間の手仕事を奪わないように機械化阻止を続けていたら、
          未だに全国で紙切符へ鋏を入れる大量の駅員さんを抱え
          その人件費を乗客の運賃で負担し続けることになっていただろう。

  5. 最初は見新しさでこういうの増えるだろうが
    ある時点で、本物・本当に存在するものに戻ってくると思う
    店も、全自動化すると味気なかったり

    最終的には2分化するだろうね

  6. 通販サイトで自分の身長体重などの体型を入力したら、その体型のaiモデルが着用した画像を見られるならいいかもね

  7. 某猫型ロボットや某パン男のようなキャラクタービジネス最大のメリットはモデルが「やらかさない」ことだと思ってる
    何十億円もかけたプロジェクトが一人の不始末でパァになるのは珍しくないからね
    生きた人間はコストも高いが同様にリスクも高い
    広告主にとって既に十分なネームバリューを持っている有名人や大谷選手みたいに本業で名声を得た人物に乗っかるのはともかく容姿だけの新人モデルを選ぶ理由は薄くなっていくだろうな

    1. ※12 ※22
      AIだろうと背後には人間がいるので、スキャンダルの可能性は大して変わらないよ

      マーケティングの中の人がやらかして炎上なんてことがあるし、
      AIが人間の差別を学習して出力する問題は重大かつまだ解決策が見つかってない

      むしろ生身以上に周囲の人間が気を使わないと危なっかしいのがAI
      コンプライアンスが板についてない企業や個人が手を出したら絶対大火傷する

  8. そのうち本人に詳細に近づけたモデルデータを盗むという新たなフェチ犯罪が生まれる
    今は「そんなの所詮ちょっと似せただけのデータに過ぎないじゃん」と一笑されるだろうが、未来はもっと楽にリアルに自分そっくりのモデルを作れるようになるだろうし、昔は恥ずかしがる部位ではなかった胸が今は恥ずかしいように、羞恥の対象も変化していくと思う

  9. モデルと自分だから多少の違いはしゃーない
    から、自分と同じ体型のAI モデルがいないのはおかしい!同じAI モデルでチェックして購入したのになんか違う!
    とクレーム増えないかしら

  10. 要は3DCGマネキンですね
    自分のデータを入力して服のたるみや生地のあまり具合まで見れたらAIと呼んでも良い気はするけど

  11. 金のある大企業はともかくAIでめちゃくちゃありがたい思いをする人種の一つは個人クリエイター勢だと思う
    というか現在進行系でありがたく使ってるし稼げている
    シナリオ書けるけど絵は描けない、曲作れない人でもAIがあればゲームが作れる
    モデルを雇う金がないけど服を作って売りたい人にはAIモデルは天の助けだろう
    まあAIも人類に舞い降りた便利な道具の一つなわけよ
    PCやスマホと同じさ
    AIを上手く使えない人はまあ落ちてく一方だろうけども

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