赤みを帯びた緑を想像してみてほしい。それらを混ぜ合わせたときにできる茶色ではなく、赤のようで、それでいて緑のような色だ。あるいは黄色っぽい青でもいい。緑ではない。黄と青、両方の色合いを持つ色だ。
なかなかイメージするのは難しいだろう。そうした色は存在するが、人間には決して見えないからだ。赤緑色や黄青色は、「禁色(forbidden colors)」と呼ばれている。これらの組み合わせは、人間の目の中で相殺されてしまい、同時には決して見えない。ゆえに禁じられた色である。
日本では平安時代の朝廷で、一定の地位や官位等を持つ者以外に禁じられた服装のことを禁色と呼ぶが、そっちではないし、三島由紀夫の小説でもない。
赤×緑、黄×青、打ち消し合う反対色ニューロン
簡単に見えそうで見えないのは、人間が色を知覚する方法と関係している。
網膜の中に「反対色ニューロン」という細胞がある。この細胞は、赤い光の刺激によって発火し、赤いものが見えると脳に伝える。だが、緑の光の刺激を受けたときは抑制され、それによって脳に緑が見えていることを伝える。黄色については赤と同様に発火し、青では抑制される。
私たちが普段目にしている色は、この反対色ニューロンの活動を脳が解読した結果だ。赤い光は緑の光によって相殺されてしまう。黄色い光と青い光の関係も同様だ。だからまったく同じ場所に進入してきた赤と緑を同時に見ることはできない。
禁色を見る裏技がある
だが禁色を見る裏技が存在するという。それはアメリカの工学者ヒューイット・クレーン氏らによって、1983年の『On Seeing Reddish Green and Yellowish Blue』という研究で発表されたものだ。
彼らは、隣り合った赤と緑(あるいは黄と青)の縞模様を被験者に見てもらうという実験を行った。
このときアイトラッカー(視線の場所や動きを追跡する機器)でそれぞれの色が必ず同じ網膜細胞に進入するよう調整された。たとえば、ある細胞には必ず赤い光が進入し、同時に別の細胞には必ず緑の光が進入するようにしたのだ。
このようにして色が打ち消し合うメカニズムを回避すると、色彩が縞模様の境界を越えて溢れ出してくる。すると赤と緑が同時に見えるという不思議な色彩体験を味わうことになる。
そのときの参加者たちは、それが色であることは分かるが、何色と言えばいいのか分からないと報告している。ちなみに参加者の中には、豊富な色の知識を持つアーティストもいたそうだ。
禁色の存在自体を疑う研究者も
じつは2006年にもダートマス大学の謝伯讓氏らによって同様の実験が行われている。だが、謝氏らは、禁色の存在を疑っている。
この実験では、より客観的な結果を得るために、参加者に画面に表示されたカラーマップを見てもらい、形容できない色が見える組み合わせを探してもらった。
そして最終的に出された結論が、その”くすんだ色”は単一の禁色などではなく、じつのところ2色が混ざったものというものだ。
これといって変わったところのない色ならば、なぜ1983年の実験で参加者はその色の名称を表現できなかったのだろうか?
謝氏によれば、その理由は中間色が無限に存在するからだという。無限に存在するなら、それを表現する語彙がなかったとしても驚くにはあたらない。しかし名前がないからといって、その色が色空間の中に存在していないわけではない。
禁色は存在すると主張する研究者
一方、アメリカ空軍研究所の視覚学者ビンス・ビロック氏は、ここ10年の研究によって、禁色の存在は証明されていると主張する。
謝氏の実験では、決定的に重要なものが使われていなかった。それはアイトラッカーだ。謝氏は参加者に対して、画面に表示される模様に視線を固定するよう指示しただけだった。この場合、網膜まではきちんと固定されない。
ビロックによると、禁色が出現するのは、縞模様が”網膜”に対して固定さており、かつ色のペアがまったく”同じ明るさ”である場合だけなのだという。片方が明るすぎると、謝の実験で報告されたような”くすんだ”オリーブ色が見えてくる。
一方、正しい条件で実験すれば、くすんだ色ではなく、驚くほど”鮮やかな”色が認識されるのだという。それは見たこともない紫色で、ビロックらはブルーイッシュ・レッドと呼んでいる。
普通なら絶対にお目にかかれない幻の色
禁色が認識されるメカニズムは現在も研究が続けられているところだ。だが、ビロックは、色の相殺効果は克服できると考えている。
赤と緑(あるいは黄と青)の縞を網膜に対して固定することで、各反対色ニューロンに1色の光しか進入してこないようにする。すると2つのニューロンは競合しなくなり、色に対して自由に反応できるようになるというのだ。
その結果として、不思議な赤い緑が出現する。それは自然には絶対に目にすることができない幻の色だ。
References:Red-Green & Blue-Yellow: The Stunning Colors You Can’t See | Live Science/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2021/04/14)本文を一部訂正して再送します。
目と頭がおかしくなるはなしだ(?_?)
3原色だから見えないのだろうね。
鳥や昆虫は違うのかも。
※2
おそらくはほとんどの方が液晶モニタ(要するに三原色フィルタね)で見てるでしょうから、太陽光のようなスペクトルの下で見たものとは違う色に感じてるかもですね。
赤と緑は眼鏡屋さんで眼鏡を作るときに見る感じね。
とにもかくにも見てみたい
難解…
ともかく デビシルの歌声を聴きたくなった私です
数年前にネットで流行った青と黒と白と銀に見える服も禁色だったりして
まああれは説明はついてるけれども
極彩色の青といった感じの色が真ん中にパッパッっと見えるな
ツヤのある黒いものに赤いマジックを塗ると、緑とも赤とも言えない色が見える。子どものころからの不思議だか、これと関係あるのかな。
※7
黒猫の模様もそんな感じ。
>>7
子供の頃手持ちの雑貨の中に似たような見え方する小物があって不思議だった
透明なグミ状の材質で作られたキャラクター(多分友人がくれたやつ)なんだが、パッと見は濃緑だが光に透かすと赤茶
大人になってからそんな見え方の宝石の存在を知ったわ(確かアレクサンドライト)
…もしかしたらもしかしたら、黄色と紫は見えてる(ぐらいに近いものがある)かもしれない
もっとメタリックで透過するようなもんで。この記事見るまで意識してなかったけど。
勘違いかな、どうなのかな、他の色はわかんないけど黄と紫ー!
>>8
自分も子供の頃あったよ!
自分はオレンジと紫だった
表現しようがないその変な感覚?は数週間続いたよ
この記事読んでその時の事を思い出した!
タイトルで有名ビジュアルノベルの「沙耶の唄」思い出した・・
主人公にとって唯一の正常に見える沙耶が主人公にとって赤くグロテスクに見える部屋を緑に見えるように試行錯誤したり現実世界を平気になるようにしてあげてた。
周囲の多数から見た「現実」はアレだが。
沙耶は主人公にとって天使。
周囲にとっては控えめに言ってその反対だが。
本当に怖い作品だけど、あれ以上のはなかなか無いほど、宇宙生物から主人公への純愛物なんだ。
音楽だけでも雰囲気あって神曲だから
「ガラスのくつ」「沙耶の唄」でぜひ検索して聴いてみて(´・ω・`)
※9
そういう話だったら手塚治虫の「人間が異物に見えるがロボットが美女に見える」って話の方が知られているかもな。
自分はどちらかと言うとSCPかと思ったわ。
※32
そうそう。火の鳥は実際に沙耶の唄書いた虚淵さんが元ネタだって答えてるしね。
紫外線~赤外線の外側の不可視光線の色の事?
※10
目に見える色を並べた場合の話なので、不可視光線の色の事とは違う。
自分には見えるんだが、他の人達には見えないらしくて、変人扱いされた。
説明が矛盾だらけなんだけど?w
>orbidden colors
'f'抜けてるでー
>赤みを帯びた緑
真っ先に玉虫の羽が浮かんだけど、ああいう構造色は
赤(ピンク)に見える箇所と 緑に見える箇所の混在で
「赤みを帯びた緑」とはまた別物なんだろうか?
「黄色っぽい青」も、ラメっぽい車の塗装で
ゴールド的な光沢が出る群青色みたいなのを
見たことある気がする。
山田正紀の『神狩り2』を想起した
知覚の死角に存在する世界に超越者は潜んでるんよ
12色の色覚を持つというシャコ先輩に解説してもらいたいね
そのうちTカードが表現できない色に見えてくるっちゅうわけね、OK
見えたかも知れないけどそれを答え合わせすることすらできん
四色型色覚でも無理なの?
マルチクロームなアイシャドウで見られるやつかな?
赤みブラウンの顔料に、ゴールドとブルーの繊細なパールがたっぷり入っていて、それで角度によってゴールド~ピンク~レッド~ブラウン~グレー~パープル~ブルー…と玉虫色に変化する。
でも影になると、まさに「赤みを帯びた緑」のようなくすんだ変な色にしか見えない。
赤いきつねと緑のたぬき、合体!
タヌキツネ爆誕‼︎
美術の授業で習ったな
時計版の様な色配置で向かい合う色は対着色で絵にすると相克で目立つと
赤と緑がそれだが、水彩だと目立って毒々しくなるのよね、クリスマスツリーなんかはこれなんだけども
目が個別に見ちゃうんだろうね、絵の具混ぜても黒ずむだけだし
>>24
クリスマスのカラーイメージは赤、緑、白。
ハロウィンのカラーイメージはオレンジ、紫、黒。
では盆と正月は?(・ω・)ノ
実体視の要領で右と左の絵を重ねてみるとちょっと不思議な感じになる
カラーイメージとしては幻竜神と強龍神かな?
俺は弱い赤緑色弱なんだが、木の葉の濃い緑をじっと見ていると、濃い赤のようにも見える。
ちょっとそれに近い感覚なのかな?
緑色に光る赤チンを思い出した
なんか記事の限りでは単なる補色の事に思えるな
色を見ている訳ではないけど色が見えるという意味では
白地のものなんかでも一点を見つめてぼーっとしてると
視界が色味を帯びた来たりするけども
>>29
違う
「あぁカエデとパンジーの色だよな」って言ったら全否定された思い出があるわ
笹紅みたい
言えることは目に良くなさそうって事だなあ
体がァ 変わるゥ~緑色ォ~♪
燃えるゥ 怒りのォ~赤い色ォ~♪
ベラルーシとウクライナじゃん
色の境界に残像のように浮き出る光るような鈍い色のことかな?
普段なら影送りのように同じ画像をじっと見つめて見えるようになる残像が、この画像なら一瞬で境界面に現れる
何色だ?って聞かれても形容できんから、たぶんこれなんだろう☺️
右目で緑のレンズ
左目で赤のレンズ
さあ問題です、この眼鏡で見ると黄色は何色?
左はエメラルドグリーンが見えて、右は赤紫が見えたと思ったらレモンイエローしか見えなくなった
生き物によって物の見え方は違うので見えない色があったとして確かにおかしくはないと思う
例えば禁色が見えるメガネとか発明されれば見ることが出来るようになるかな
以前三菱車の車体色にあったムーンライトブルー。基本は濃いめのブルーマイカ色なんだけど、黄金色っぽく光るので黄色を纏った群青色に見える。それでも緑色には見えないので、こんな感じなのかな。
ちゃんと理解出来ていないコメントだらけだね。
人間だって、三原色以外に黄色の光を見る事が出来る人いるの。
赤はきつね、緑はたぬき
赤と緑のクリスマスカラー組み合わせダサくて合わない色って感じ
ブルーは苦悩、オレンジは狂気
> そうした色は存在するが、人間には決して見えないからだ。
「色」ってのは代表的なクオリアの一種で、目に感覚され、感覚が脳に知覚されて、つまり ”見え” て初めて「色」と言える。
つまり「見ることのできない色」というのは "黄金の鉄の塊" のような形容矛盾と言っていい。見えないのなら、それはそもそも "色" ではない。
正しい条件で実験した時の、驚くほど”鮮やかな”見たこともない紫色
ってジミーヘンドリクスの紫の煙とかディープ・パープルとかの、薬物の影響の紫と同じ?
自学に使おうと思いGoogleで人間の見えない色と検索したがこちらのサイトしかわかりやすいものがなかったので見てみたら思っていた以上にすごく分かりやすかった。正式に細かいもののわかりやすい