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進撃の巨人の舞台?隕石落下によりできた巨大クレーターの上に築かれた市壁都市、ドイツの都市「ネルトリンゲン」

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photo by iStock

 ドイツの南、バイエルン州シュヴァーベン行政管区のドナウ=リース郡に属する都市、ネルトリンゲンは、中世の情緒を色濃く残す、円形の壁に守られた市壁都市である。

 なんとこの都市は、約1500万年前に巨大隕石が落下した際にできたクレーターの上に建てられたものである。

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 約1500万年前に落下した直径1.5キロもある隕石により、ネルトリンガー・リースと呼ばれる直径24kmの巨大なクレーターができた。このクレーターにより盆地となったネルトリンガー・リースの中心から南西6 kmの場所にネルトリンゲンの街がつくられた。

リースクレーター博物館

 1215年、ネルトリンゲンは皇帝フリードリヒ2世から都市権を与えられ、帝国自由都市となった。都市を囲む円形の市壁はこの時に築かれ他と言われている。1238年に発生した大規模火災で都市の大部分は焼失したものの復興され、1327年に今に受け継がれる市壁が建設された。

ネルトリンゲンの銅版画 1549年 ※画像クリックで拡大表示

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※画像クリックで拡大表示

 1529年のシュパイヤー帝国会議で、この都市はプロテスタントを支持する少数派に属した。1555年にネルトリンゲンの宗教改革が確定した。ここにも歴史のご多分に漏れず、魔女狩りの記録があるそうで、1589年から1598年までの間に34人の男女が魔法使いとされ、火あぶりで処刑されたと言われている。

 1618年から1648年、神聖ローマ帝国を舞台として、三十年戦争と呼ばれる国際宗教戦争が勃発。三十年戦争で歴史の転換点となったのがネルトリンゲン包囲戦とも言われており、敗者となったネルトリンゲンは勝者に城門を開かねばならなかった。

ネルトリンゲンの銅版画1651年 

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ネルトリンゲンの紋章

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 戦争の後、交易は港湾都市で行われるようになり、ネルトリンゲンは交易中心都市としての機能を喪失した。この時代の沈滞が、中世の風景が現代まで遺された理由とされている。

 円形の都市の中心には「ダニエル塔」と呼ばれる教会塔がある。聖ゲオルク教会のもので高さは約90m。街のどこにいてもこの教会の塔を見ることができるランドマークとなっている。

 町全体を見渡すことのできるダニエル塔は中世時代、24時間体制で見張り番が立っていた。見張り番が交代する時には、大声で(さあ、仲間たちよ!(ゾー、ゲゼール、ゾー!So, G’sell, so)」と叫び、その声は街全体に響き渡ったという。

 そして今でも、ダニエル塔には監視人がいるという。教会塔には350段の階段を使って登る。今では誰でもこの階段を使って展望台にのぼることができる。

Nordlingen St. Georg Plenum

 ネルトリンゲンの都市を囲む市壁。1327年に建造された市壁はほぼ完全に保存されている。市壁の内側の通路も利用可能で、歩いて通ることができる。

 丸い市壁の中には、赤い屋根の家が立ち並ぶ。市壁には5つの門が開かれており、内部には11の塔、2つの堡塁(敵の攻撃を防ぐために、石・土砂・コンクリートなどで構築された陣地)がある。

ネルトリンゲン探索映像

グーグルマップ位置情報:

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グーグルアースでみると巨人が写っているとかいないとか。

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この記事へのコメント、49件

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  1. 確かバリンジャー・クレーターでも直径1~2キロくらいじゃなかったっけ?
    こんなにデカかったら確かに自然の要塞みたいになるんだろうな。

  2. ここを舞台に女型の巨人が暴れまくる姿を想像しただけでたまんねぇ

  3. 行ったことがあります。
    そこの隕石博物館によると、塔から見える地平線上の丘陵地帯、あれがクレーターの周縁だそうです。でかっ。てか、町ちっさ。
    町の壁がクレーターの縁だと思って行ったのでがっかり感がハンパなかったです。博物館は面白かったです。

  4. 行ったことあるけど綺麗な街だったよ
    壁の上を歩廊があって歩ける
    でもクレーターだとは知らなかった

  5. ああ、確かにクレーターは全タイルで鉱物資源+1だもんな
    俺も見つけたら必ずコロニー建設するわ

  6. 土地のでき方はちょっと違うがあれか、阿蘇の草千里に都市つくったような感じか

  7. い~な~こんな所住んでみたい(^▽^)
    でもここでハリウッドが実写版映画作成しても
    なんも違和感ないぐらい進撃の巨人の町にそっくり
    実写版見たくないけどね(-ω-;)

  8. 約1500万年前って、結構最近だな
    もしも落下地点がアフリカだったら、人類に至る系譜がまるごと消し飛んでいたかもしれん

  9. 俺も真っ先にどうでしょう思い出したw
    上で見張ってる爺さんがテレビ見てて「なかなかいい暮らししてんなw」とか言ってたなw

  10. この都市は世界遺産には登録されてないのか
    ドイツは登録されてもよさそうな中世都市がたくさんありそうだ
    紋章がなんかかわいい

  11. どの家も屋根がとんがってるな
    進撃のは屋根が平たいから対巨人用のお家してるのね

  12. あの塔のてっぺんまで登るの地獄のようにキツかったわ
    見晴らしは最高でお伽の国にいるみたいでめっちゃ楽しくて気持ちよかった
    ドイツみたいに都市条例で決められた花植えたり屋根の色揃えたりとかいいよね
    日本みたいにバラバラで冷たいきちゃならしい景観に比べて羨ましかった
    あの塔にいるおじいさん毎日登ってるってケロリとして言うてたね

  13. >やっぱり地震が無い国は景観の保護がすごいねー。
    地震で壊れる前からすでにめちゃくちゃだけどね。

  14. 日本の景観に慣れすぎてるせいで電柱がまともに無いってだけで
    凄く綺麗に見える

  15. ハンブルクとかにも昔のドイツの歴史的建物沢山残っていたけど、連合軍の猛爆撃で灰と瓦礫になっちまっただよ……;ω;  今ある教会などは、戦後復元されたもの。

  16. バンベルク、ローテンブルグ、ゴスラー、ハンミュンデン、アンベルク
    こういう感じの街がドイツにはたくさんあるね

  17. ドイツの街並みはどうしてこうも絵本の世界みたいなんだろう
    銅版画に描かれている絵図はまさに進撃の巨人に出てくる壁内そのものだ

  18. 戦後景観を大事にしないでボンボンへんな家建てる日本はほんと駄目になったよなー、、、、
    ヨーロッパ諸国は戦争でボロボロになったあと瓦ひとつ同じものを再建したのと大違いだ、、

  19. 進撃の巨人の舞台も隕石落下によりできたとしたら
    あの世界は巨人の方が先住民で人類は後から隕石の影響で
    巨人から突然変異したのかも知れない

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