あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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ブラック企業はどこにある?

本当のブラック企業に勤務されている方ならお分かりかと思うのですが、そう言う企業ではあまり「ブラック」であることが社会的に話題にならなかったりします。
退職した人が、有名掲示板に書き込んだりしますが、在職中の方は比較的少ない。
本当のブラック企業では、リアルな暴力か、精神的な暴力がふるわれています。
その結果、ストックホルム症候群のような状態になっている場合すらあります。
だから、そもそもブラックだということを話題にすること自体がはばかられるような状態です。

逆に考えてみれば、なんらかの暴力がそこになければ、その会社は「本当の」ブラックではない、とも言えます。

最近、弊社でこんな調査をしてみました。
これは、伸びている企業とそうでない企業との、人材マネジメント上の違いを確認するために行ったものですが、対象は以下のようなものです。

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対象:①海外売上高比率30%以上(一部上場企業)
    ②売上高トレンド(過去3年間)
    ③株価トレンド(過去3年間)

一部上場企業1567社中ですが、
①の対象社数は446社
②①のうち売上トレンドがプラスの会社が277社
③①のうち株価トレンドがプラスの会社が158社

さて、このうち、②と③両方がプラスの会社をAタイプとします。
また、②と③両方がマイナスの会社をBタイプとします。

Aタイプは123社ありました。
Bタイプは132社ありました。

具体的に人材マネジメントにどういう違いがあったのかは、また機会があれば。
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ふとした興味から、あわせてちょっと変わった調査も併せて行いました。

これら合計255社に対して、グーグルで社名を入力したのです。
そしてそこに「ブラック」と表示されるかどうかを調べました。
(単なる興味本位の指示に従ってくれた分析担当のTくんには感謝します)

結果はどうなったでしょうか?

Aタイプ123社のうち、「ブラック」と表示されたのは66社でした。
Bタイプ132社のうち、「ブラック」と表示されたのは72社でした。
Aタイプで54%、Bタイプで55%。

これ、統計的には、差がない、と結論づけられます。

グーグルですから、多くの人がブラックかどうかを気にする度合が大きいと、検索予測が表示されます。
しかし少なくとも、業績動向とブラックであるかには相関がなさそうだな、と仮説を立てることはできそうです。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)