電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

棄郷

と、くだらない妄想を浮かべるのは気が楽だが、ファンタジーではない現実の日本の田舎の風景を見ていると、いろいろ複雑な気分になる。 先日、日帰りで信州旅行に出かけた。 わたしは中高生時代九州にいたが、7歳まで信州の諏訪に住んでいて、祖母の家が諏…

田舎物

『ひぐらしのなく頃に』もそうだが、近年は、ゲームやらアニメやらのオタク分野では、『アカイイト』とか、『腐り姫』とか(これは18禁のゲーム)、とある地方都市を舞台に、その土地の伝承、地縁血縁のしがらみが絡んで怪奇的なストーリーが展開する「田舎…

スカッとする暴力、スカッとしない暴力

暇があったので、前から知人(複数)が面白いと述べていた『ひぐらしのなく頃に』のアニメを全話観る。 絵柄は一見いかにも今風の萌えアニメ(もとは同人ノヴェルゲームだが)と見せかけて横溝正史ばりの陰惨シリアスな内容、というのはあらかじめ大雑把に知…

前々からの疑問に応える(?)

この「電氣アジール日録」をはじめたのが2003年の11月24日であるから、早いもので4周年となる。 しかし、つくづくどんな人間が読んでいるのかよくわからない面もある。 ブログの編集欄の「リンク元」を見ると、「山田風太郎」とか「ガンダム」とかいうキー…

正義の政府はあり得るか?

以前『架空世界の悪党図鑑』の執筆に関わった時、「文学の中の悪党」の章で、敬愛する山田風太郎の作品から『妖説太閤記』(isbn:4062738953)の豊臣秀吉と『警視庁草子』(isbn:4480033416)の川路利良を取り上げたが、本当は、風太郎作品からのチョイスな…

ネモ船長の末裔

今やっている『ガンダム00』は、歴代ガンダムで初めて「アメリカ」や「IRA」など、実在の国家、勢力が実名で登場する。それこそ、20年後に観たら、劇中の固有名が現実とまるきり変わっているかも知れない。 『ガンダム00』は「どこの国にもない超兵器を持つ…

20年前には予想もつかなかった本

KKベスト新書『100文字でわかる世界地図』橋本五郎監修(isbn:4584121613)刊行。 今回当方は、第1章「世界経済の現場地図」、第2章「世界の生活の現場地図」、第3章「世界の紛争の現場地図」の各章左側ページと、地図に入る説明の大部分を担当しました。…

若(馬鹿)気の至り

わたしがネット上で初めて書いたSS(ナチスの親衛隊ではなく、ショートストーリー)は、『マリみて』でもなければ『月姫』でもなく『カラマーゾフの兄弟』の二次創作だったw 先日、ドストエフスキーについて書いてから、色々あさってたら、もう何年も前に『…

巨人の「転向」

PHP文庫『文蔵 11月号』刊行。 今回は江戸川乱歩特集ということで、当方は、大した仕事ではありませんが『怪人二十面相』や『黒蜥蝪』や『黄金仮面』などの各作品の舞台となった東京都各地の図解マップ、現在入手可能な全作品文庫リスト、そして、乱歩をめぐ…

すべての物語は固有のナショナリスムから逃れられない

話をバテレンの国ではなく我々自身の日本に置き換えるなら、『拝啓天皇陛下様』の渥美清演じる山田二等兵のような、戦前戦中の日本人が持っていた天皇制への信仰心は、現代に世界普遍的な目で見れば、ドストエフスキーの夜郎自大なロシア賛美と変わることな…

「中立的な世界文学」は存在しえるか?

さて、このブログはどうも左巻き人間にウケが良いらしいので、たまにはそれをひっくり返すようなことを書きたい。 結局『カラマーゾフの兄弟』新訳版まだ読んでないくせに、月刊『ユリイカ』がドストエフスキー特集、というので、なんとなく立ち読みしたら、…

文庫を片手に勇者様気取り

2005年秋刊行の『「世界の神々」がよくわかる本』(isbn:4569665519)以来続けてきたPHP文庫の神話・伝説・ファンタジー概説シリーズも遂に5冊目に突入で、『伝説の「武器・防具」がよくわかる本』(isbn:4569669182)が刊行。今回は―― I.剣(両刃の刀剣) …