電氣アジール日録

自称売文プロ(レタリアート)葦原骸吉(佐藤賢二)のブログ。過去の仕事の一部は「B級保存版」に再録。

2004-08-01から1ヶ月間の記事一覧

事情はかの国も同じなんだろうかなあ……

――にしても、前から思ってたことだが、当然、日本だけでなく他の国も同じく戦後60年も経つわけで、中国、韓国などで盛んに反日を唱えてる人たちだって(両国には公式的な反日教育があり、特に支那には歴史的に「華/夷」という差別概念が強くあるにせよ)ほ…

陰湿な差別や排除をなくすには強権しかない?

皮肉な話、毛沢東も周恩来も健在で、中国共産党の独裁権力が末端まで行き届いていた時代の方が、公式的には日中友好ムードが(よそよそしい仮面のものであれ)維持されてた。 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040807 結局、かつての「米帝国主義は日中共同…

関係が深まればこそ不満も溜まる

先日、地下鉄の駅でゲットした『R25』を読んでたら、同誌名物の各業界ショートコラムの「R×R」コーナーに「急速に豊かになる一方で、中国には失業者が溢れている?」という記事があった。 曰く、昨今のサッカーアジアカップでの中国サポーターの反日ブーイ…

あえて「出る杭」になる 勝てへん戦いの意味

結局、わたしより10歳近く若い滝本は実は一回転して王道だ、という印象を得たが、さて我が同世代、一頃はやれ「団塊ジュニア」とか騒がれた1970年前後生まれは何をやっとんじゃ? とか思う(既に述べた通り、東浩紀先生(1970年生)の言う「動物化」には、わ…

親父は70年代で既に終わってた

長谷川和彦監督の新作『連合赤軍』がずっと撮影開始もできず難儀してる。わたしは、今あえて連合赤軍の映画を撮るなら、彼らは国家権力・父権・天皇制とかに負けたんじゃない、市民社会に負けたんだ(というか自滅だが)、そう描かなきゃダメだ、と思ってる。…

敵に税金払って生きてるのかも知れない僕ら

敵はいないわけじゃない。ただ、物凄く見えにくくなってるし、戦い難いだろうが。 前々回の『忘却の旋律』で、こんな話が描かれてた。 この物語では、世界は既に敵の手に落ちてる、大人の代表たる総理大臣は、国民の多数を守るため、既に人類を支配してる敵…

何度でも繰り返されるよくある話

前回も書いたけど、先日、某畏友が「エヴァンゲリオン後10年の表現(って、特にオタクジャンル表現だな)」というテーマを提示してから、いろいろ考えてて、今回のこれもその覚え書きみたいな物。 やっぱり80年代初頭生まれのアタシとしては大江の「遅れてき…

目標としては「対等萌え」(今のとこ無理そうだが)

ラブコメ漫画でもギャルゲーでも、話を発動させる第一歩として、相手との間にギャップやハンディキャップがある、ってのは、物語の仕掛けとしてはそりゃ燃える(あと、忠誠心に基づく自己犠牲とかってのも個人的好みでは燃えるが)。けど、見ず知らずの両人…

関係の形は変わる。それが成長だろ、と

わたしにも現実の妹はいます。しかも10歳ばかりも歳が離れてる。妹が小さい頃は周囲の要請でよく遊んでやった(そんなんより部屋で一人で漫画読んだり友人とやってた特撮同人誌の原稿でも描いてたかった)。当時妹が可愛いという感情はあった。でも、そりゃ…

なんで「妹萌え」にだけは嫌な違和感があるのか

前にも書いたが、メイドさん萌えとか看護婦さん萌えとか、眼鏡萌えとか、ってのは、別に嫌な感情は無い。それらは職業だったり、外見の記号だ(別にふたなりでも猫耳でも車椅子でも良い)。が"兄と妹"ってのは関係の形、シチュですな。 だいたい、職業とか、…

できれば対等になりたい。今は力不足だが

先週からの感慨で「敵は国家権力とかなんかじゃない、他ならぬ俺ら自身を生かしてる市民社会自体と骨がらみだ」って説を書こうと思ってたけど、bakuhatugoro氏たってのリクエストがあるんでそっちを先に回す。

ルサンチマン右翼にさえなれないダメ野郎を

――と、以上を、これは要するに「俺が90年代前半屈折混じりに考えてたことを、最近の若い奴はてらいもなくストレートに言う、じゃあ俺が若い頃シタバタしてたのは何なんだ、悔しい」というボヤきじゃないか、とツッコミ入れることも可能である。また逆に「あ…

取り残された90年代前半のナチス突撃隊

と、なんだか大月氏の話ばっか書いてきたが、わたし個人はどんなスタンスだったか。 まずわたしは、90年前後に、当時の別冊宝島(『おたくの本』『80年代の正体』他)の浅羽通明氏や大月隆寛氏の文章で、当時はエコロジーとか湾岸戦争反戦運動とかが、「こう…

あらかじめすり替ってた(と俺には思われた)保守革命

しかし、当時はオフレコと言われたけれど、今じゃもう時効だろうから暴露するが、1999年頃"当時"大月隆寛氏はわたしを含む周囲の人間に、つくる会内部で小林よしのりの急速な右旋回をどうにか舵取り修正しようと苦労してるが、会内部の人間関係が難しくうま…

わたしは「つくる会」の幹部を支持してました

98年頃当時、わたし自身はどういう立場だったか、古証文を引っ張り出す。 "当時"わたしは、新しい歴史教科書をつくる会に与した大月隆寛氏を擁護する論を張ったことがある。 http://www.axcx.com/~sato/memo/log/log1051.html 上記の文章を書いた背景は、当…

敗者「皇道派」の弁明

昨日、今の差別しかない自称極右は、現状の自己否定につながる大東亜戦争は肯定するのか?と書いたが、実はそれは一種の挑発であって、ある意味では、本当はわたしはそんなことはどうでもよくて、もっと根源的な論点がある、と思ってる。 そりゃ何か、という…

動物化した差別者

『ゴー宣 戦争論』の風下にあるはずの若いネット右翼・保守の小林よしのり離れの背景には、だんだんネットでは、特に2chでは、小林よしのり愛読者というと「コヴァ、コヴァ」と呼ばれバカにされ、恥ずかしい、という図式が定着したのもあろう。というか、2ch…

すり替わった論点

何度も書いたことだが、わたしは、小林よしのり『ゴー宣 戦争論』の主張は「大東亜戦争を戦った爺さん肯定」の筈なのだが、若い読者の多数は「日本は正しい良い国→自分は正しい良い子」という現状の日本肯定自分肯定と受け止めたんだろうな、と認識している…

98年以前のネット世論を覚えてますか?

確かに、自分の記憶にある限りでも、97〜98年当時は、まだ大局的な歴史認識や政策観でも、大東亜戦争肯定や国防に関するタカ派意見は生理的拒否を受ける傾向があった。また、ネット上で偽悪的な暴言を書いた人間に、誰かが「それは差別だ」と指摘すれば場の…

保守系論調の中身とは

http://d.hatena.ne.jp/kikori2660/20040807 懐かしいと言えば、はてなユーザーの言論状況を見るとまるで一昔前(五年ほど前)の政治系討論ページを思い出してしまうな。あの頃は2chは無かったはずだし、ネット界全体が現在のように保守系論調が強くなるとは…

元祖「最後にグサリと刺す綾波」

その辺に関連して、わたしがもっとも印象深い架空ロリータキャラの一人は、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のレイチェルだったりする。 この小説版のレイチェルは、主人公のリックに、アンドロイド(レプリカント)である…

弱者の正当承認

結局、今の世で社会の主流になれんオタク男のロリコン志向ってのは、社会的には弱者である幼女が、同じく弱者の自分を肯定してくれる、ってこっちゃないか、と。 エヴァンゲリオンの綾波なんてのは、当初本来まさにそういう「あんた男として弱い生き物だろ」…

弱い者たちが夕暮れ、更に弱い者に萌える

先日おたくの保守性ということについて触れたが、それに関連して、以前からの懸案をひとつ虫干ししたい。 かつてベトナム戦争当時のアメリカでブルーカラーが徴兵逃れのできる学生を憎みニクソンを支持したとか、プアホワイトには公民権福祉政策の恩恵を得て…

後ろ向きな「自己責任」

とまあ、日本的世間では集団の責任は明確にならないが、それからはみ出した時は、キッパリ「自己責任」が浮上する、というのは皮肉である。先日の話、うっかりわけのわからん組織、場、あるいは教祖に与した人間ってのも、まさに「自己責任」なんだろうが。 …

世間思考の軍隊のヤバさ

今の自衛隊は戦前の軍隊とは違うが、最終的責任主体が天皇から安保体制に変わっただけで、雲の上というか外部にあり、結局明確な責任になりえない構造は変わらん気がする。 だから、今の状態で自衛隊が多国籍軍に与して海外でバンバン活躍しようとすると、例…

罪悪感を逃れるための手続きの欺瞞

従軍慰安婦やら炭鉱労働者の強制連行と言われる問題も、この手の話が多いんじゃないかと思える。 たぶん、形式的名目的には一応まっとうな雇用手続きを踏んでたが、その内実は、契約書と話が違うじゃないか、現場じゃ劣悪な給与ピンハネやら、記録に残らない…

ダダモレ的残虐性

戦時中の日本が残虐行為の類などは一切やらなかったとは言わない。だが、それにはかなりグレーゾーンで残虐行為とも解釈すべき事態が多かったのではないかと思える。 戦時中ビルマで(フィリピンだ)バターン死の行進とゆう事件があった。英軍の(米軍だ)支…