ショートショートを書きました 面白い、つまらない、どっちでしょう? 評価、感想を下さい。 「親の居ぬ間に洗濯」 「やっぱり風呂上がりのビールは最高だ」 男は立て続けに二本飲み干してしまった。それから腹も減っていたので、冷蔵庫の中にあるご馳走に手を伸ばした。 ザンギを見つけた。早速ラップをかけ電子レンジにかける。男は鶏のからあげに目がなかった。 レモンを絞って熱々を頬張る。三本目を開け、ビールで流し込んだ。 この瞬間、大袈裟でもなんでもなく、生きてて良かったと幸せを噛み締めていた。 刺身の盛り合わせに舌鼓を打ち、大トロの切り身を指でつまんで口に投げ込む。ろくに噛まずに飲んでしまった。それからホタテにアワビ、エビにイカ、それからサーモンとあっという間に大皿を平らげてしまった。 「さすがは北海道だ。内地とはぜんぜん違う」 手の甲で口の周りを拭った。新鮮な魚介類を前に、男の胃袋はブラックホールになっている。 続いて桐の箱を取り出した。鼻歌まじりに蓋を開ける。思った通りだった。 男は黄金のウニと対面した。 「これは白メシがいるぞ」 食器棚からどんぶりを出した。 「せっかくだから豪勢に行こう」 ほくそ笑んで、もう一度冷蔵庫を開け、イクラがないか探した。キャビアでもいい。あいにくどちらも無かったが、代わりに蟹とメロンを見つけた。 「よし、蟹は味噌汁にして、メロンは食後のデザートだ」 男は、北の国からの再放送を観ながら、数年ぶりの人間らしい食事を堪能した。 足を伸ばし座っていたソファーで横になった。 食べることに夢中だったが、腹が膨れると、また次第に現実が頭をもたげてくる。広いリビングの高い天井を見ながら、ぼんやりとこれからどうするか考えていた。 NHKにチャンネルを変えた。 ニュースが仰々しく報じている。 自分の顔がテレビに映し出されていた。 その時、家の駐車場に一台の車が止まった。男は割れた窓から外を覗いた。 「チッ、もう両親が帰ってきやがった」 脱獄犯のジアリは、キッチンに行って包丁を握りしめた。その刃先には、まだ乾ききらない血がついている。 鋭い目つきに変わった。今さら迷いはない。 ジアリは小さな遺体を跨いで、玄関へと向かった。