老害政治家・福田康夫首相は、民主党・小沢一郎代表に「哀願」する惨めな姿を晒したくなかったのだ

2007年10月31日 17時15分38秒 | 政治
◆福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表との党首討論が10月31日行われる予定だったのが、中止され、ガッカリした。福田首相が前日、小沢代表と急遽トップ会談し、さらに今週末に再度会談することになったためだが、福田首相は、この政局運営によほど困っていることだろう。何のビジョンも政策も持たずに、「タナボタ式」に政権の座に祭り上げられた「老害政治家」の報いである。プロの政治家たちは、「安定感がある」などと持ち上げているけれど、それは見かけ上のことである。新しいことは何もしようとしていないので、静止画像のように浮遊しているだけのことで、それが奇妙な安定感を示しているにすぎない。新しい政策やドラスチックな改革に挑めば、当然、抵抗勢力や反対勢力との激突となり、その分、政局は不安定になる。何もしなければ、激突しようがないから、安定しているような錯覚に陥ってしまう。
◆小沢代表は、政治家としての最後の決戦を次期総選挙の場に設定し、「目標、ただ一点、政権交代を図る」と明確にしている以上、戦力を「決戦の場」に集中し、それ以外の局面においては、無駄なエネルギーは、消耗したくないのである。福田首相に会談を申し込まれて、無碍に断る必要はなく、45分くらい話を聞いたくらいで、疲れ果てるわけでもなく、飄々として福田首相の「哀願」に耳を傾けていたのだろう。二人だけのサシの会談だったことから、揣摩臆測がされているけれど、最もヤキモキしているのは、自民党から捨てられかねない公明党・創価学会くらいのもので、それほど心配することはない。
それよりも、「国際的孤立」を恐れて、「海上自衛隊の給油活動を継続すべきだ」と主張している政治家や学者、あるいは防衛専門家、それに一部メディアである。これらの諸氏は、根本から勘違いしている。
◆日本は、ドイツ、イタリアと並んで、国連憲章の「敵国条項」上は、然として「敵国」である。いかに「死文化」しているとはいえ、「敵国条項」は、存在している。いつ何時、息を吹き返すかわからない。日本に国際貢献を求めるからには、この「敵国条項」を削除してから求めるのが、最低限の礼儀というものである。
次に、絶対忘れてはならないのは、日本国憲法の基本原理である。軍事的には、日本は明らかに「一国平和主義」に徹することを要請されている。他国がいかに軍靴に蹂躙されていようとも、日本は、あくまでも「非暴力主義」を貫かなくてはならない。国際紛争ですら武力の行使は否定されている。そのうえで、「諸国民の公正と信義に信頼」して、我が国の安全と生存を維持する「他力本願の道」を切り拓いていくしかない。そもそもこの憲法を強要したのが、アメリカを筆頭とする連合国であったことを深く再認識し、ブッシュ大統領の指令を受けたシェーファー駐日大使を教育する必要がある。世の中には、訳知りの「現実主義者」が少なくないけれど、「国益」を翳して「何でも有り」の論陣を張るのは、日和見主義というものである。
◆大日本帝国陸海軍再建論者の立場で言うならば、「敵国条項」削除、「憲法改正」を経て、正式に国連安保常任理事国に就任し、我が国の軍備を万全にするべきである。それまで、国際テロ対策には、警察官を派遣すればよい。アメリカが、本音ベースで日本の国連安保常任理事国に就任に反対している限り、「国際貢献」には限度がある。小沢代表を捨てていたアメリカが、いまごろノコノコやってきて、協力を求めてきても、もう遅い。世の中は、アメリカの手前勝手にはいかないことを肝に銘ずるべきである。福田首相も小沢代表の前では、惨めだったろう。だからこそ、人目を避けての「密談」にしたのである。
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老害政治家・福田康夫首相の観閲式での訓示は、「誠」のない老害発言にすぎない

2007年10月29日 18時10分55秒 | 政治
◆福田康夫首相は10月28日、埼玉県の陸上自衛隊朝霞駐屯地の朝霞訓練場で行われた観閲式で訓示した。守屋武昌前防衛事務次官をめぐる産軍癒着疑惑について苦言を呈したのは当然だった。しかし、インド洋での海上自衛隊補給部隊による給油活動について、「海上輸送に資源の多くを依存する国益に合致するもので、国際社会に対し果たす責任だ」と改めて継続の必要性を強調した発言には、思わず笑ってしまった。イラクでの航空自衛隊の人道復興支援活動に触れ「長い自衛隊史で忘れることのできない快挙だ」と称えた下りでは、もはや呆れてしまった。
◆福田首相自身は、丸善石油(現コスモ石油)のサラリーマン(外国部輸入課長を最後に父・福田赳夫元首相の秘書官となる)だった経緯があるなど石油業界と深くて強い関係を持っており、2006年4月25日、中東を歴訪し、外交力をアピールし、「ポスト小泉」への意欲を滲ませていた時期があった。
◆これほど自衛隊を褒め、インド洋での給油活動やイラクでの人道復興支援活動をする絶賛くらいなら、ブッシュ大統領のように思い切って現地入りしてはとうかと思ったからである。首相番記者を引き連れて行き、自衛官を激励する姿を撮った映像を日本ばかりか世界に配信すれば、日本がいかに国際貢献をしているかを強烈に印象づけられるはずである。
どうもこの老害政治家は、こんな簡単なことも思いつかないらしい。観閲式の訓示が、「老害発言」に聞こえてしまう。
◆共同通信社が10月27、28両日に実施した世論調査の結果によれば、福田内閣支持率は、50.2%で政権1か月で7.6ポイント低下したという。「行動力」のない「口先だけ」の老害首相の「低落」がいよいよ始まったようである。「巧言令色少なし仁」、福田首相は、「誠」はない。
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「老害政治」の代表・福田首相の「今日の老害発言」は、「当分、携帯メールはお預けかな」

2007年10月24日 19時14分41秒 | 政治
◆「老害政治」(光文社ペーパーバックス刊)が、10月23日から全国書店に配本され始めている。拙著であるだけに、孫悟空の髪の毛から生まれたわが子が、各地に飛び散り、活動する気がして、早速、さいたま市内の有名書店「須原屋」を覗いてみた。だが、陳列はこれからのようであった。
◆老害政治家の定義を「60歳以上の政治家」としているので、「老害」が「老害政治家」を俎上に乗せて料理しているような奇妙な感じがしないでもない。しかし、福田首相が71歳で安倍前首相の53歳と比べ、「18歳」も年齢が逆戻りしていることからすれば、「老害」は、だれの目にも明らかである。現在、世界の国家指導者の世代交代、若返りが進んでいる状況を知れば、「日本は取り残されないか」と心配になる。
◆それにもまして、「老害政治」が上梓されたいま、福田首相の言動を報道から見聞きするほどに、福田首相の「老害発言」がより耳障りになってきている。そこで、各新聞の「首相動静」記事の向こうを張って、福田首相の「今日の老害発言」と題して、日々、記録しておこうと思い立った。
【福田首相の今日の老害発言】
 全国一斉の学力テストにより、「記憶力はまずまずだが、それを活用する力に欠ける」という結果が出ているのを、どう思うかと首相官邸で記者団に聞かれて、
「当分、携帯メールはお預けかな」
 と発言、携帯電話が子供たちの思考力向上を阻害していると錯覚している様子で、「携帯小説」が若者の間で爆発的に流行しているのも知らないらしい。
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守屋武昌前防衛事務次官の「接待ゴルフ」報道は、大疑獄事件の始まりである

2007年10月19日 19時54分55秒 | 政治
◆「待っていました!」というわけではないが、「防衛省の天皇」と言われた守屋武昌前防衛事務次官の「旧悪」が、ついに暴かれ始めた。朝日新聞の10月19日付け朝刊が、守屋前事務次官が現職中、防衛省出入りの山田洋行という「軍需産業者」から140回以上も接待ゴルフを受けていたと報じたのである。140回以上のなかには、「妻同伴」も何回かあったというから、開いた口が何をか言わんである。防衛省が平成12年に決めた「倫理規定違反」は明らかである。
◆「接待ゴルフ」は、判例上、レッキとした「賄賂」である。職務権限と便宜供与が明確になれば、贈収賄事件となる。東京地検特捜部は、「贈収賄事件」を念頭に内偵をしてきたと言われてきたので、朝日新聞の報道は、産軍癒着を根とする大疑獄事件の始まりであるとも言える。こうなれば、新テロ対策特措法案の審議どころの話ではない。福田政権が、この「接待ゴルフ・テロ」でふっ飛ぶ恐れなしとしない。
◆もちろん、防衛官僚・高級自衛官のみならず、自民党国防族議員も、今のうちから、首をよく洗って待っていることだ。東京地検特捜部の大健闘を期待したい。

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福田首相は、「シビリアンコントロール」を「大甘」にし、「軍部台頭」に道を開いてはならない

2007年10月18日 18時22分03秒 | 政治
◆大学の教養課程時代、ドイツ語の教授が終戦当時の第一高等学校(現在の東大教養学部)での話をしていた。この教授は、第一高等学校と陸軍士官学校の教授をしていたという。
第一高等学校教の廃校が問題となり、延々と議論しても、なかなか結論がでなかったということから、第一高等学校から東大に進み、高級官僚になった卒業生が、日本を滅ぼしたという趣旨の話だった。日本を敗戦に追い込んだのは、軍閥だと教えられてきた私には、意外だった。その教授の言うには、軍閥が政治を壟断するようになったのは、官僚や政治家があまりにもだらしがなかったからだというのである。
軍人勅諭には、「軍人は政治に関与してはならない」と明記されているにもかかわらず、これに反して、陸海軍が「統帥権」を盾にして、政治に関与し、その果てに国が滅んだという理解は、脆くも打ち破られた。軍人勅諭があるのに、軍人をのさばらせたのは、ひとえに官僚や政治家が、国民の生活よりも華族や財閥、富裕層の利益のみを優先する政治を行っていたことに起因していた。「昭和維新」の歌が思い出される。
◆福田首相は10月18日、新テロ対策特別措置法案を閣議決定し、衆議院に提出した。有効期限は1年と短いが、この法案は、新法案の採決そのものを国会承認と見なし、事後承認や活動状況の報告に関する規定を外しており、「シビリアンコントロール」を「大甘」にした欠陥法案であるというしかない。
 それでなくても、インド洋に派遣された海上自衛隊艦艇の航海日誌の一部が廃棄されたという不祥事が発覚しており、破棄された期間に、現地で何が起きたか調べようがないという極めて遺憾な状況が起きている。「航海日誌がない」と言われてしまえば、「シビリアンコントロール」の「空白」は、もはや埋めようがない。
自衛隊に対する「シビリアンコントロール」が、機能不全に陥っているのは、守屋武昌前防衛事務次官が、小池百合子前防衛相を飛び越して「次官人事」について首相に直訴しようとした実例が証明している。これは、明らかに小池前防衛相という「上官」「に対する反抗であり、下克上にも等しい犯罪である。戦前なら、「軍法会議」にかけられて厳重な処分を受けて然るべき大事件であった。
◆「蟻の一穴」という言葉があるように、いまは大したことではないように見えても、放置しておくと、取り返しのつかないことになってしまう危険がある。日本軍閥が再び台頭することは、ありえないと思い込んでいると、大変なことになる。いまその気配がある。「シビリアンコントロール」の中核は、国会による「民主主義の原理」を徹底的に貫徹することにある。すでに防衛大学校出身の中谷元・元防衛庁長官やイラク先遣隊長(1等陸佐)佐藤正久参議院議員のような「軍人出身者」の政治家が、国会に進出している。彼らの頭のなかは、「軍事の論理」が依然として支配していることを見逃してはならない。何時の間にか、軍部に実権を奪われることがないとは言えない。「帝国陸海軍再建」を望んでいる海上自衛隊幹部候補生学校で制服を着たことのある私が言うのであるから、間違いない。

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自民党・公明党よ、「独りよがり」の「国際貢献のふり」はもういい加減止めたらどうか

2007年10月17日 18時41分10秒 | 政治
 自民党・公明党の「独りよがり」としか思えないのが、海上自衛隊補給艦によるインド洋での給油であろう。政府は、「給油・給水」に限って対テロ戦争に対して一年間の国際貢献を行う新法案を決定したが、世界のどこからも感謝の声は聞こえてくる気配はなく、ましてや世界のメディアは、日本を除いてどこも報道していないのではないか。
 そもそもこの程度の貢献について、本当の国際貢献とは受け止めていないのだろう。国際貢献というのなら、やはり戦死者が多数出るくらいの本格的な貢献でなければ、信用されない。要するに「日本は国際貢献のふりをしている」と、馬鹿にされているのが、実態であると見るのが、正解ではなかろうか。
 アメリカでは、民主党の大統領候補の一人であるヒラリー・クリントンが、演説のなかで、中国との関係を重視する発言をしたのに、日米関係には一言も触れなかったという。この程度にしか扱われていないのであるから、日本も「アメリカの戦争」に対して、あまりムキになる必要はない。アメリカに気兼ねするのは、もういい加減にすべきである。石破茂防衛相も、「博多にわか」のお面ではあるまいし、目をむき出してアメリカ贔屓の答弁をしない方がよい。
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「老害政治」(光文社ペーパーバックス)が10月23日から全国書店で発売開始!

2007年10月15日 19時22分35秒 | お知らせ
 拙著「老害政治」(光文社ペーパーバックス)が、いよいよ全国書店に並びます。「日本政界の『老害政治』という妖怪退治に乗り出す」という大変刺激的な内容になっています。「前文冒頭」をチラリと紹介しておきましょう。
「日本政界に『老害政治』という妖怪が、跳梁跋扈している。すでに還暦を超えてしまっている私が、高齢化している日本の政界に対して批判・攻撃するのは、いささか自己撞着の感なきにしも非ずではあるけれど、『老害ぶり』は、目に余るものがあるので、あえて苦言を呈するのに止まらず、妖怪退治に乗り出したいと考える」
 妖怪とは、どんな顔をした政治家なのか? 政界でどんな「悪さ」をして、「有害」をバラ撒いているかなど、その生態を詳しく解説しています。お楽しみに!

ネット販売では下記からご予約できます
アマゾン
セブンアンドワイ
Yahoo!ブックス

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「小沢調査会提言」の起草委員だった中谷元・元防衛庁長官の小沢一郎への批判は、デタラメも甚だしい

2007年10月13日 18時28分12秒 | 政治
 民主党の小沢一郎代表は、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)への参加を主張し、月刊誌「世界」でその理由を説明している。「国連中心主義」を原理原則とする立場では、当然の帰結である。いまさら驚くに値しない。
 これに対して、自民党の中谷元・元防衛庁長官が、「憲法違反」と断じて、厳しく批判している。だが、この批判は、実に可笑しい。あえて言えば、「国連否定」につながりかねない暴論であると言ってよい。それどころか、中谷・元防衛庁長官自身が「自己否定」しているとしか言いようがない。デタラメを言うのもほどぼとにして欲しい。
 私の手元にいま、やや日焼けした白表紙の冊子がある。自由民主党国際社会における日本の役割に関する特別調査会が平成5年2月3日、宮沢喜一総裁(首相)に提出した「国際社会における日本の役割―安全保障問題に関する提言―」と題する報告書である。ブッシュ大統領が湾岸戦争遂行に当り、日本に協力を求めてきたのを受けて、自民党は平成3年6月17日、この特別調査会を設置し、「日本の国際貢献のあり方」について研究し、その結果を「提言」の形でまとめた。当時の小沢一郎幹事長が会長を務めたことから「小沢調査会」と呼ばれた。
委員=柿澤弘治、加藤紘一、鹿野道彦、高村正彦、中島源太郎、中村喜四郎、鳩山邦夫、原田昇左右、船田元、山崎拓、村上正邦、森山眞弓
(以上・幹事)今津寛、太田誠一、中川昭一、中谷元、牧野隆守、町村信孝、村井仁、岡野裕、永野茂門、前島英三郎 
起草委員=船田元、中川昭一、今津寛、中谷元、前島英三郎
 現在、外務大臣の高村正彦、官房長官の町村信孝が、委員として参加していたことは、大変興味深い。それ以上に、中谷元・元防衛庁長官が、「委員」であり、「起草委員」の一人であったことに注目して欲しい。そのうえで、以下の文章をじっくりと読んでいただきたい。
「憲法前文に示された積極的・能動的平和主義の理念に照らしてみると、国際協調の下で行われる国際平和の維持・回復のための実力行使は否定すべきものとは考えられない。憲法第9条の条文解釈としても、国際協調の下で行われる国際平和の維持・回復のための実力行使が禁止されているとは考えられない。
 すなわち、憲法第9条においては、まず憲法前文の精神に沿って『正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求』すると宣言しており、その宣言を受けて、我が国として、自国の利益のために世界の平和秩序を破壊するような戦争・武力行使を放棄している。国際平和の維持・回復のために国運が行う実力行使に日本が参加・協力することは、『正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求』」する日本国民にとって当然のことであり、まさに憲法第9条の精神に沿ったものである。そして、そのような国連の実力行使に対し日本が参加したとしても、それは国連の行動の一環であってもはや日本国の主権発動の性格を有しないものであり、憲法第9条の放棄した戦争・武力行使とは全く異質のものと考えられる。
 これまでの政府解釈は、国際平和をどのように維持・回復するかについて国際的に十分な合意がなく、それへの日本の協力が求められておらず、日本自身そうした協力を行う力がなかった時代の産物であり、もはや妥当性を失っていると考えられる。
 このように、国際的な合意に基づき国際的に協調した形で海外で国際平和の維持・回復のための実力行使を伴う協力を行う場合について我々が行う憲法解釈は、これまで議論されてこなかった政府解釈の空白を埋めるためのものである」
 この提言を読めば、国際治安支援部隊(ISAF)への参加のどこが「憲法違反」という結論はでてこないはずである。それにもかかわらず、中谷・元防衛長官は、まったく意外な批判をしているのである。
 しかし、原点に立ち戻って、ごく冷静に日本国憲法を「文言通り」に読むならば、憲法が「恒久平和主義」を宣言してはいても、「国際貢献」については、何も規定していないことに改めて気づくであろう。せいぜい「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と規定しているのみであって、具体的な「貢献の仕方」までは明示していないのである。日本を武装解除し、「陸海空その他の戦力は保持しない」と手足を縛り、再び軍事的な行動をしないよう連合国軍の軍門の下に日本を封じ込めている状態を大前提にしてつくられた憲法であるからである。従って、これは至極当然のことなのである。しかも、国連憲章は、いまだに日本・ドイツ・イタリアを対象とする「敵国条項」未だに削除していない。死文化しているとはいえ、いつ息を吹き返すかわからない。
 要するに、日本は、憲法を文理解釈する限り、「他国のことを無視しない」ように配慮しつつ、軍事的行動には、一切タッチせず「一国平和主義」でいくしかないのである。こういう立場を堅持するならば、確かに国際治安支援部隊(ISAF)への参加は、「憲法違反」である。そればかりか、政府自民党が、主導してきたアフガニスタンを対象とした「テロ対策特別措置法」に基づく海上自衛隊のインド洋への派遣も、ましてやイラクへの自衛隊派遣もやはり「憲法違反」と言うほかはない。国際治安支援部隊(ISAF)への参加は、「憲法違反」を声高に言い続けると、政府自民党は、必ず自己撞着に陥り、自らの首を絞めることにもなる。

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福田首相の国会答弁は眠りを誘い、これを誉める読売新聞は寝ボケている

2007年10月04日 17時44分54秒 | 政治
◆「背水の陣」とは、だれにとっての「背水」か。「自民党が政権を失うかも知れない」という断崖絶壁に立っているだけのことを言い表しているにすぎない。要するに、福田首相は、所詮、「自民党」の命運にしか関心がないのであろう。一体、国民のことは、どう考えているのか、疑問になる。10月4日、参議院と衆議院のそれぞれ本会議場で行われた代表質問に対する首相答弁を聞いていると、相変わらず官僚原稿の棒読みに終始しており、生活苦に喘ぐ多くの国民が、まさに断崖絶壁に立ち、日々「背水の陣」で頑張っていることへの細かい配慮のカケラも感じられない。それどころか、睡魔を呼ぶ答弁が続き、雛壇に並ぶ町村官房長官をはじめ閣僚さえ、居眠りしている有様である。不眠症に悩む人は、福田首相の答弁を録音しておき、眠れない夜、布団のなかで聞けば、睡眠薬を服用するよりも、効能があるに違いない。
◆こんな福田首相を絶賛しているのが、読売新聞である。10月4日付の朝刊「総合面」(2面)で、「首相 初の国会論戦」「手堅く福田流」との「見出し」をつけて、「個別の課題で言質を与えることなく、手堅い答弁に終始した」と褒め称えている。そのうえ、社説では民主党が展開しようとしている「法案の嵐作戦」に対して、「民主党が真剣に成立を望むなら、むしろ積極的に与野党協議に取り組むべきだ。政権担当能力を示すことにもつながる。そうした努力をしなしなら、議員立法は党利党略のためのパフォーマンスと見られても仕方がない」と述べ、野党が議員立法を連発するのが、悪いかのような論調を展開している。
◆自民・公明連立政権が崩壊するのが、そんなに怖いのであろうか。そもそも、立法府で国会議員が、「議員立法」することのどこが、「党利党略のためのパフォーマンス」なのであろうか。馬鹿じゃないかと思う。国会議員は、「議員立法」するのが、最大の務めであるはずである。官僚が作文した内閣提出の法案に慣れ切った「石頭」は、この際、叩き割る必要がある。
◆ちなみに、国会に提出され、成立した法案について、どう状況にあるかをチェックしてみると、相変わらず、内閣からの提出される法案が多く、議員立法は少ない、
□162通常国会―138法案(内閣提出89、議員提出49)→成立率(内閣提出84.2%、議員提出36.7%)
□164通常国会―152法案(内閣提出91、議員提出61)→成立率(内閣提出90.1%、議員提出22.9%)
□166通常国会―165法案(内閣提出97、議員提出68)→成立率(内閣提出90.7%、議員提出29.4%)
 この数字を見ても議員立法がいかに少なく、成立率が低く、国会議員の立法能力の低さがわかる。国会議員は、立法技術に長けた官僚が作文をした法案に対して、「賛成・反対」を示すだけの単なる機会になっているにすぎないのである。
 読売新聞の論説委員は、「議員立法」に対して、「党利党略のためのパフォーマンス」などと寝ボケたことを論説する前に、「官僚政治の弊害」をまず問うべきであろう。大新聞が時の政権の「御用新聞」に成り下がるのは、まさに「ジャナリズムの自殺行為」に等しい。深く恥じるべきである。

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福田康夫さん、「認知症」を楽しんでいる暇はないぞ!

2007年10月03日 23時13分25秒 | 政治
◆福田康夫首相の所信表明演説に対する与野党の代表質問が10月3日、衆議院本会議場で始まった。福田首相の所信表明演説は、「認知症」ではないかと思われるほど中身のない空虚な響きでしか聞こえなかったので、民主党の鳩山由紀夫幹事長と長妻昭衆議院議員の質問は、キリで注すような鋭さがあった。これに対して、自民党の伊吹文明幹事長が政治資金問題を質問していたのには思わず苦笑してしまった。「あの問題は一体どうなったのか」と改めて聞きたいくらいだった。
◆政府は、海上自衛隊によるインド洋での給油の「目的外流用疑惑」について、「相手国の軍事機密」を理由に曖昧な説明をしているのだが、これをいい加減なままに放置していると、日本は再び「いつか来た道」を歩む危険があることをすべての国民が、警戒すべきである。関東軍が起こした「満州事変」、その後の「日中戦争」という悪夢を想起せざるを得ない。軍隊というものは、海外に派遣された場合、その習性として「勝手な軍事行動」に走りたがるものであるからである。「まさか、いまの自衛隊がそんなことをするはずはない」と思い込んでいると知らず知らずのうちに、大変なことが起きないとも限らないのである。
◆おそらく、だれも信じがたいことであろうが、はっきり言って、自衛隊は、いざというときに、「憲法状態」が一瞬のうちに消えてなくなると考えている。最低限、「超法規状態」になると想定して日ごろ訓練している。海上自衛隊幹部候補生学校で訓練を受けたことのある私が言うのであるから間違いない。
だからこそ、福田首相も町村官房長官も、高村外相、石破防衛相も「認知症」を楽しんでいる暇はないのである。しっかりシビリアン・コントロールを行い、自衛隊の手綱を握っていなくてはならない。防衛省の守屋武昌前事務次官が、「後任の次官人事」をめぐって小池百合子前防衛相を差し置いて、首相官邸に直訴しにきたことを思い出すべきである。
◆福田康夫首相の誕生で、日本の「老害政治」は、ますます深刻度を増してきた。福田首相は71歳、安倍晋三前首相は53歳なので、18歳も高齢化したことになる。若い安倍前首相の突然の退陣で小躍りしたのは、自民党の山崎拓、加藤紘一、伊吹文明、古賀誠、谷垣禎一、額賀福志郎ら、いわゆる「中二階」といわれるベテラン政治家たちだった。
「世代交代」が一気に進み、ネグレクトされた「中二階」は、意気消沈し、雌伏を余儀なくされていたのだが、この「重し」が取れたのを奇貨として、我先に高齢の「福田康夫支持」、に走り、福田政権を樹立させ、かくて日本の政治は、「古い文化」の「老害政治」に逆戻りした。
この結果、前途に「希望」を持てない若い世代のエネルギーが、自民党政治を終焉させるマグマとして噴出する可能性が高まってきている。
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