【モスクワ＝星井麻紀】中央アジア・キルギス南部でのキルギス系とウズベク系の民族衝突で、ロシア国防省筋は１８日夜、キルギスに重要施設の警備のため平和維持部隊派遣を検討していることを明らかにした。インタファクス通信などが伝えた。 　キルギス臨時政府のオトゥンバエワ大統領は、１８日付ロシア紙「コメルサント」のインタビューに対して、水力発電所や幹線道路の警備のため、ロシア部隊派遣を要請したと明らかにしていた。ロシアなど旧ソ連７カ国で作る集団安全保障条約機構（ＣＳＴＯ）は、治安回復のためのキルギスへの部隊派遣を拒否している。 　キルギス国境警備局の情報では、ウズベキスタン側に逃れた避難民約４５００人がキルギス側に戻ったという。国連機関などの発表では、ウズベク系住民の女性や子供を中心とした４万から１０万人が国境を越えて避難していた。

中央アジア・キルギス南部で続くキルギス人と少数派ウズベク系住民の民族衝突はロシア極東沿海地方ウラジオストクにも波及し、１２〜１４日にかけて両民族の男性が市内中心部で数回の小競り合いを起こし、１４日までにキルギス人４人、ウズベク人５人の計９人が負傷し入院していたことが分かった。ウラジオストクのイスラム教指導者が１６日、明らかにした。　事態を重くみた沿海地方政府は１６日、副知事が両民族の代表者を呼び、今後、同様の衝突が発生すれば関係者を本国に強制送還するロシア政府の方針を伝達した。　ウラジオストクではキルギス人やウズベク人は建設現場の作業員や果物販売員などとして、それぞれ２５０人程度が長期滞在しているという。（共同）

【モスクワ＝遠藤良介】中央アジア・キルギス南部で続くキルギス系住民と少数派ウズベク系住民の民族衝突は１５日、隣国ウズベキスタンへのウズベク系避難民が１０万人に達する勢いとなっている。同日までの死者は１７１人、負傷者は約１７００人。騒乱は難民の増加や食糧不足など人道的危機の様相を深め、大規模な民族紛争に発展する危険性をもはらんでいる。　中央アジアの通信社フェルガナ・ルーによると、ウズベキスタンには成人だけで４万５千人の難民が流入し、国境近くのテント村などに収容されている。ウズベク側は同日、「さらに難民を収容する余地がない」（アリポフ副首相）として国境を閉鎖し、国際機関の支援を求めた。キルギスに派遣された国連のエンチャ特別代表は「難民数が近く１０万人を超える可能性がある」と指摘している。　キルギスでは１０日夜以降、南部のオシとジャララバードで、キルギス系とウズベク系の衝突が銃撃戦や放火、略奪な

【モスクワ大前仁】中央アジアのウズベキスタン非常事態省は１５日、隣国キルギス南部で起きたキルギス系とウズベク系住民の衝突を受け、同国に流入したウズベク系住民が８万３０００人に達したことを明らかにした。さらに、国連難民高等弁務官事務所（ＵＮＨＣＲ）によると、キルギス国内にとどまっている国内避難民が２０万人にのぼっている。 国境のキルギス側には３０００人以上のウズベク系住民が残っている模様だが、ウズベク政府は同日までに国境を閉鎖し、難民の受け入れを停止した。 一方、キルギス臨時政府は１４日、バキエフ前大統領の次男マキシム氏が英国で逮捕されたことを明らかにした。臨時政府は、マキシム氏が民族衝突をあおるために資金提供していたと見ており、責任追及する方針だ。同氏は、ロシアからの融資を横領した疑いを持たれている。 キルギス保健省によると、１１日に南部オシで始まった衝突で１５日までに１７８人が死亡し、負

【モスクワ＝山口香子】インターファクス通信によると、キルギス南部で起きた民族衝突の死者は１５日、暫定政府の集計で１７８人となった。 ただし同政府のオツンバエワ代表は最終的な死者はその「数倍にのぼる」との見通しを示した。バキエフ前政権の残党が暫定政府を揺さぶるため組織的に民族間の対立をあおっている、との見方が内外で強まっている。 暫定政府のアタムバエフ副代表は１５日、記者会見し「（南部の）治安機関は前政権に忠実な犯罪者の巣窟(そうくつ)だ」と述べ、バキエフ前大統領一派の指示を受け軍や警察の一部がウズベク系住民の排斥に加担したと指摘した。激しい衝突が起きたオシに住むキルギス系女性（２２）も１５日、読売新聞の電話取材に「（最初の衝突の翌日の）１２日昼、軍服を着た男たちがトラック２台でオシに現れ、『戦いたい者は戦え』と叫びキルギス系住民に銃を配った」と語った。 女性は避難の途中、装甲車がウズベク系

１４日、キルギスとウズベキスタンの国境近くにきた難民キャンプで子どもを抱える女性＝ＡＰキルギス南部オシで１４日、隣国ウズベキスタンへの出国を待つウズベク系避難民たち＝ＡＰ 　【モスクワ＝星井麻紀】中央アジア・キルギス南部で続く民族衝突は１５日、死者１７６人、負傷者１７００人を超えた。インタファクス通信などが伝えた。ウズベク系避難民は２０万人を超えるとの情報もあり、食糧や医薬品の不足による人道被害の悪化が懸念されている。 　避難民が向かっている隣国ウズベキスタン政府は１５日、すでに４万５千人が国境を越えたと発表。「これ以上は収容できない」として、１２日から開放した国境を一時閉鎖。再び開放したが、避難民の対応に国際的な支援を呼びかけている。 　国連難民高等弁務官事務所（ＵＮＨＣＲ）は１５日、ウズベク側へ逃れた避難民は７万５千人で、キルギス国内には２０万人の避難民がいるとの見方を示した。国境付近

【モスクワ＝山口香子】中央アジア・キルギス南部で起きたキルギス系とウズベク系住民の民族間流血は１４日も続き、インターファクス通信によると、死者は１２４人、負傷者は１６００人以上となった。 同国の暫定政府は、４月の政変で追放されたバキエフ前大統領一派が復権のために衝突を扇動したと非難しているが、情勢は混沌(こんとん)とし、沈静化のめどは立っていない。 現地からの報道によると、暫定政府の非難に対し、ベラルーシに滞在中のバキエフ前大統領側は声明を出し、関与を否定した。 衝突の震源地オシでは死者の多くがウズベク系住民であることが確認された。インターファクス通信によると、ジャララバードではウズベク系住民７００人が死亡したとの情報もある。報道によると、避難民からは「見知らぬギャング団が組織的にウズベク系を攻撃して回った」との証言も出ている。 ＡＦＰ通信などによると、ウズベキスタン国境にはウズベク系避難

１４日付の中国紙、法制晩報は、民族間対立による騒乱が続く中央アジア・キルギスにいる中国人らを救援し避難させるため、中国政府が航空機をキルギスに派遣する予定だと報じた。派遣日時は未定。　キルギスは中国の隣国で、多数の中国人や中国系住民が商店などを営んでおり、騒乱により略奪や放火の被害に遭った人もいる。南部のオシ市などでは数千人が救援を待ち、確定しただけで５００人近くが帰国を希望しているという。　また、新華社電によると、中国政府は中国人の安全を確保するためのチームをオシに派遣する。（共同）

【モスクワ＝星井麻紀】中央アジア・キルギス南部の騒乱は１４日、死者１１７人、負傷者１４８０人に達した。一部では和解に向けた対話の試みもみられるが、情勢はなお緊張している。 　インタファクス通信などによると、全域に非常事態宣言が出されたジャラルアバド州では、１３日夜も放火や発砲が続いた。軍拠点の占拠も続き、若者らが、ウズベク系だけでなく、キルギス系の住民にも無差別に発砲しているという。火災などで７００人が死亡したとの情報もある。１４日には、両民族の地域の長老が会談。バキエフ前大統領の住宅に放火したウズベク系リーダーに謝罪させ、刑事捜査の対象とすることで双方が武装解除に応じる合意を発表。事態打開に期待が集まっている。 　オシ州では夜間は比較的平穏だったが、１４日朝から発砲が再開した。キルギスの治安維持部隊は、情勢が悪化したウズベク系住民の居住区で特殊作戦を開始。これまでに約１０人を逮捕、中には

【モスクワ大木俊治】中央アジアのキルギス南部オシなどで起きたキルギス系と少数派ウズベキスタン系住民との民族衝突で、キルギス保健省は１３日、死者が８２人に達し、負傷者が１０００人を超えたと明らかにした。キルギス臨時政府は１２日夜、治安回復にあたる部隊増派のため軍の予備役を招集し、現地に展開する部隊には暴徒への発砲を許可する指令を出した。 キルギス南部は４月の政変で国外追放されたバキエフ前大統領の地盤で、臨時政府は前大統領の親族らが権力奪回のため騒乱を引き起こしたと主張している。これに対し前大統領は１３日、ベラルーシで関与を否定する声明を発表した。 臨時政府のイサコフ国防相代行は１３日、改めてロシア軍に介入を求めたが、ロシアは慎重な姿勢を崩さず、１４日にロシアなど７カ国による「集団安保条約機構」の会議で対応を協議する考えだ。 インタファクス通信によると、オシでは１３日、両民族の長老グループによ

【モスクワ＝遠藤良介】中央アジア・キルギス南部でキルギス人と国内少数派ウズベク人の民族間対立が拡大し、１３日現在の死者が９７人、負傷者は約１２００人に上っている。４月の政変で発足した臨時政府が統治能力の限界を露呈した形だ。キルギスは米国とロシアの軍事基地を擁する“戦略的要衝”。同国南部ではイスラム過激派の浸透が指摘されており、米中露など諸外国は情勢の流動化に警戒を強めている。　キルギス第２の都市、オシでは１０日夜、対立する若年グループの衝突が銃撃戦や大規模な放火、略奪に発展し、１２日にはジャララバードにも騒乱が波及した。臨時政府はオシに加えてジャララバード一帯でも非常事態を宣言、予備役を含む治安部隊を投入しているものの、１３日も銃撃などによる死傷者が増え続けた。　ウズベク人居住区が特に激しい攻撃を受けており、約７万５千人のウズベク人避難民が隣国ウズベキスタンに脱出した。キルギス南部では食糧

【モスクワ＝副島英樹】中央アジア・キルギス南部で続くキルギス系とウズベク系住民の衝突の死者は、１３日夜までに１１４人に達し、負傷者は１４５０人を超えた。キルギス保健省の情報としてノーボスチ通信が伝えた。南部のオシやジャラルアバドでは緊張状態が続いている。 　キルギス臨時政府が平和維持部隊の派遣を要請したロシアのメドベージェフ大統領は同日、キルギスのオトゥンバエワ臨時大統領と電話で会談し、民族衝突をできる限り早急に止める必要があると述べた。１４日には、ロシアや中央アジアなど旧ソ連７カ国でつくる軍事機構「集団安全保障条約機構」の安保会議書記会合を開き、対応を協議することを伝えた。同機構が合同部隊の投入に踏み切るかどうかが焦点になる。

中央アジア・キルギスの政変で発足した暫定政権で第１副代表を務めるアタムバエフ元首相は１２日、首都ビシケクで記者会見し、南部ジャララバード州に逃げたバキエフ大統領を拘束するため、特殊作戦を準備していると表明した。　一方、辞任を拒否している大統領は故郷の同州の村で１２日、政変後初めて公に集会を開き「わたしを拘束しようとすれば流血を招く」と警告した。支持者約千人が集まったもよう。　アタムバエフ氏は、拘束作戦では「流血の事態は望まない」としている。今のところ、暫定政権が大統領の刑事訴追の免責特権をはく奪することを決めたとの情報はない。（共同）

デモ隊と治安部隊の衝突から１夜明けた８日、キルギスの首都ビシケクの政府庁舎付近で、焼け焦げた車に乗って記念写真を撮る若者＝８日、ビシケク（AP） 【モスクワ＝遠藤良介】ロシアは８日、反政府騒乱で臨時政府が樹立された中央アジア・キルギスに約１５０人の空挺（くうてい）部隊を派遣した。キルギスにはロシア軍が駐留するカント空軍基地があり、自国民保護を名目とした増派だ。プーチン露首相は同日、臨時政府首班のオトゥンバエワ元外相と電話会談し、他国に先駆けて新政権を事実上承認。ロシアは米国や中国に対抗して中央アジアでの影響力を強めるべく、キルギスへの積極的な関与策に出ている。　オトゥンバエワ氏はロシアのラジオ番組に出演し、「犯罪的な家族体制（バキエフ政権）の摘発についてロシアの多大な支持があった」と謝意を表明。「支持」の具体的内容は不明ながら、今回の政変の背後にロシアの意向があった可能性も示唆した。　一方