上士
上士
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 16:32 UTC 版)
後藤象二郎 声 - 荒川太郎 史実では竜馬の盟友だが、本作では幼少時から竜馬と出会っており、上士であるが故に竜馬達を見下していた。特に中盤では武市・以蔵・清岡道之助などの竜馬の多くの仲間を直接的に殺害した張本人であり、竜馬にとっては仇でもある。逆に武市や以蔵には尊敬していた叔父の吉田東洋を殺害されたことで郷士を恨んでいるため、仇という意味では同類である。 竜馬脱藩後は長らく顔を合わせることがなく、再会したのは竜馬が薩長同盟締結後であり、時間はたっても両者ともその恨みを忘れてはいなかった。土佐藩家老となり、藩の実権を握りつつあった後藤は倒幕の流れに乗るため、竜馬を通じて薩摩・長州と手を結ぼうと考えるが、竜馬が自分を含めた上士を恨んでいることも理解していたため彼に斬られることを覚悟した上で命懸けで竜馬との和解に臨んだ結果、竜馬に度量を認められ土佐藩と海援隊は同盟を結ぶこととなった。以降、竜馬からは「後藤さん」と呼ばれるようになる。 竜馬と和解後は彼の人間性に触れるにつれて感化され、「土佐の後藤ではなく、日本の後藤象二郎になってやる」と語るようになる。同時に横暴な振る舞いが徐々になくなっていき、竜馬に殴られても怒りを鎮め大儀のために場を治めたり、困窮する土佐を救うために竜馬に頭を下げたりといった行動もできるようになるほどの器の大きさを見せた。 その後は竜馬と山内容堂や徳川慶喜とのパイプ役を務め、大政奉還を成すため大きな活躍をする。特に終盤は慶喜と直接対面する機会もあったため、竜馬の発破もありギリギリまで説得を続けた。 乾退助(板垣退助) 声 - 金丸淳一 後藤、福岡ともども、幼少期から登場し郷士を見下している上士の一人として描かれる。激しやすい性格の後藤と異なり、いかなる時でも冷静で気丈。顔が濃い後藤と福岡の三人のなかでは、美形の顔立ちに見える。竜馬たち郷士に対しては非情に接するが、気心の知れた友人には情に篤く、特に後藤を陰ひなたに支え続けた。史実では竜馬脱藩前から尊皇攘夷論を唱えているが、本作で尊皇派に転じたのはもっと後となっている。 福岡藤次(福岡孝弟) 声 - 森川智之 後藤、乾ともども、幼少期から登場し郷士を見下した上士として描かれる。乾が土佐軍の洋式部隊の指揮官になってからは後藤の右腕的存在として共に行動することが多くなる。 後藤・乾・福岡は竜馬・武市・以蔵と対になる存在になっており、3人とも幼馴染であり身分が上がってもプライベートでは対等な友人である。 山田広衛 声 - 椎橋重 通称“鬼山田”。「理不尽な暴力」を絵に描いたような性格であり、上士以外を「虫けら」と称し、完全に見下している。相手が子供であろうと容赦しないが、殺しはしなかった点では容堂ほど非情ではない。本作では幼少時から竜馬達と出会っており、竜馬が作中最初に経験した不当な差別の体現者である。幼少期から青年期において竜馬が経験した迫害のほぼ全てに関わっていたため、竜馬に常に悔しさを抱かせ、結果的に竜馬を奮い立たせる存在でもあった。 後に井口村刃傷事件にて中平忠次郎を酔った勢いではあるが、かなり理不尽な理由から惨殺したため、池田寅之進に兄弟の仇を討たれ死亡した。史実にあるように忠次郎と議論するわけでもなく、完全に悪として描かれている。作中では剣の腕はかなり高く、上士の中でも1・2位を争うほどだったと竜馬により語られている。 松井繁斎 声 - 津久井教生 通称“べんちゃら繁斎”。 通称通り、山田の機嫌をとるため常におべんちゃらばかりを口にする山田の腰巾着。基本的に山田と同類だが、あまり暴力に訴えることはなく山田の後ろからそれを眺めることを楽しんでいる小悪党である。 後に井口村刃傷事件にて寅之進にあっさり刺殺された。 佐々木三四郎(佐々木高行) 土佐藩・大監察。史実では郷士に対しても寛大だった海援隊の理解者とされているが、本作では完全に郷士を見下しており、後藤が竜馬と手を組んだ後でもそのことに納得せず、竜馬を認めなかったが、大政奉還案を聞かされた際には流石に感服していた。 吉田東洋 声 - 加藤精三 山内容堂の右腕的存在。中盤における竜馬たちの敵役として描かれる。郷士を「犬」と見下す一方でその力を警戒もしており、武市に集会の禁止を命じたり、容堂へ武市に対する懐柔策を進言するなどの行動もとっている。派手好きで自分の服は絹しか着用せず、上士以外は木綿以外認めないという徹底した差別を体現していた。後藤象二郎の義理の叔父でもあり、象二郎からはとても慕われていた。 大石神影流の使い手で剣の腕はかなり高く、自身の暗殺時は、那須ら3人を返り討ちにする勢いで優位に立つが、乱入してきた以蔵によって討たれる。 佐々木加代 声 - 井上喜久子 本作の中盤のヒロイン。竜馬より数歳年上。平井加尾をモデルとしているが、史実には存在しない架空の人物。 城代家老・佐々木南左エ門の娘。幼少期に竜馬と出会って彼に興味を持ち、天狗(ジョン)救出にも手を貸す。竜馬と容堂の事件以降は竜馬から「身分が違う」と避けられるようになりながらも、彼への恋心を抱くが、江戸の旗本に嫁ぐことになる。だが、竜馬への恋心を諦めきれず、また竜馬も加代に恋心を抱き続けていた為、嫁ぐ前に一度だけ竜馬を屋敷の自室に誘い抱かれた。竜馬は童貞・加代は生娘(処女)で共に初体験であったので不慣れだったが、無事に結合し破瓜の苦痛に耐えながらも竜馬と結ばれたことを涙を流して喜んだ。江戸に嫁いでしばらくは退屈な暮らしを送っていたが、夫が安政の大獄で処刑されて若くして未亡人となり、土佐の実家に出戻る。死別した旗本の夫との間に子供はいない。竜馬は脱藩した時に別れを告げ以後は生涯会うことは無かった。その後は消息不明で竜馬が終盤で土佐に戻った時も登場しない。 江戸にいたころの住居は、勝海舟の家と隣同士であった。 山内容堂 声 - 江原正士 土佐藩主。本作序盤から最後に至るまで最大の悪役。上士以外は虫けらとしか考えておらず、自身の行列を横切った子供をその場で処刑するよう命じるなど冷酷な人物として描かれる。藩主としてもかなり問題のある人物として描かれており、何の信念も持たず勤王・佐幕とただ時勢の有利な方にフラフラと藩論を傾ける。幕末の四賢侯の一人でありながら、四賢侯会議を無断で放り出し土佐に逃げ帰るなどといった行動から西郷、大久保一蔵、桂などからもほとんど信頼されていなかった。幕末の四賢侯の一人と言っても、松平春嶽曰く「他の藩主と比較すればマシという程度」でしかなかった。酒を飲んでいることが非常に多く、終盤では虫歯にも悩まされ、まともな政を行うことがほとんどない。竜馬もその点は熟知していたため、新政府職制案の名簿には薩摩・長州からは藩主をリスト入りさせたが容堂は入れなかった。 若殿だったころに竜馬と出会っているが、後に成人した竜馬と対面しても当の本人は全く憶えていなかった。作中、竜馬が明確に殺意を抱いて斬りかかった唯一の人物。しかし武市からは尊王攘夷を信念とする最高の藩主と盲信されており、当の容堂は真っ先に殺したいほど武市を憎んでいたが利用価値があったため放置していただけだった(懐柔するためにわざと優しく接し、箱ごと菓子の詰め折を与えたりもしていた)。
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