衝動
普段つとめて綺麗事を抜かしている僕ですが、今日はひさしぶりに人でごった返す横浜駅前を急ぎ歩く用事がございまして、急いでいるというのに人に阻まれながらよたよた歩かされていると、さすがに僕なぞも、目の前にいる人間、目の前を横切ろうとする人間、目の前にやってくる人間、それら全てかたっぱしから顔をぶん殴ってなぎ倒していきたい衝動に駆られるのであります。
腕を曲げて、ガン、とこう、上なりの放物線を描いて、振り抜くように顔面を殴り飛ばしたくなる。
あと満員電車なんかも、完全に満員だと逆にどうでもよくなるのだけど、満員のちょうど半分くらいの混雑率だと、急に目の前のおっさんをガツンと殴り倒したくなることがあるよ。
なんというか、要点は、イライラしたからとか他人が嫌いだとかそんな事ではなくて、「やっちまった」という衝動の達成による、日常のスイッチの切り替わりを欲するようなものなのかも知んない。つまり人に本心から優しくしながら、楽しい気分のまま次の瞬間に殴り倒す、みたいな話で、倫理観とかすっ飛ばしたところにあるどうしようもない一つの衝動だとは思う。
恐らくは、理性から逃れてみる事でこの世の自由を体感してみたい、そういった潜在的な欲求が、歪んだカタチで瞬間的に表れそうになる、という事なんだろう。どうもこの感覚というのはちょっと変質者に通じるものであるように思うし、なんか彼らが理解出来そうな気がしてやだなあ。こまったもんだ。
勿論普段はそんな衝動なんか無いのだけど、人混みの中だとそう感じることがあるのは、やっぱり他人が居る数だけ自分の中で倫理観の意識が強まるからなんだろうな。そのバインドに反発したくなるんだろう。
改めてこうして考えてみると、わりとダメな感じだ。どうしよう。