「絵巻で楽しむ源氏物語」
「週刊 絵巻で楽しむ源氏物語 五十四帖」というムック本(と言ってよいのかな)、全60冊を揃えて購入した。
タイトルが「五十四帖」なのに全60冊となっているのは、一帖に2冊を宛てているものが6帖(若菜上、若菜下、夕霧、総角、宿木、浮舟)あるから。
号 | 内 容 |
1 | 一帖 桐壷 |
2 | 二帖 帚木 |
3 | 三帖 空蝉 |
4 | 四帖 夕顔 |
5 | 五帖 若紫 |
6 | 六帖 末摘花 |
7 | 七帖 紅葉賀 |
8 | 八帖 花宴 |
9 | 九帖 葵 |
10 | 十帖 賢木 |
11 | 十一帖 花散里 |
12 | 十二帖 須磨 |
13 | 十三帖 明石 |
14 | 十四帖 澪標 |
15 | 十五帖 蓬生 |
16 | 十六帖 関屋 |
17 | 十七帖 絵合 |
18 | 十八帖 松風 |
19 | 十九帖 薄雲 |
20 | 二十帖 朝顔 |
21 | 二十一帖 少女 |
22 | 二十二帖 玉鬘 |
23 | 二十三帖 初音 |
24 | 二十四帖 胡蝶 |
25 | 二十五帖 蛍 |
26 | 二十六帖 常夏 |
27 | 二十七帖 篝火 |
28 | 二十八帖 野分 |
29 | 二十九帖 行幸 |
30 | 三十帖 藤袴 |
31 | 三十一帖 真木柱 |
32 | 三十二帖 梅枝 |
33 | 三十三帖 藤裏葉 |
34 | 三十四帖 若菜上(1) |
35 | 三十四帖 若菜上(2) |
36 | 三十五帖 若菜下(1) |
37 | 三十五帖 若菜下(2) |
38 | 三十六帖 柏木 |
39 | 三十七帖 横笛 |
40 | 三十八帖 鈴虫 |
41 | 三十九帖 夕霧(1) |
42 | 三十九帖 夕霧(2) |
43 | 四十帖 御法 |
44 | 四十一帖 幻<雲隠> |
45 | 四十二帖 匂兵部卿 |
46 | 四十三帖 紅梅 |
47 | 四十四帖 竹河 |
48 | 四十五帖 橋姫 |
49 | 四十六帖 椎本 |
50 | 四十七帖 総角(1) |
51 | 四十七帖 総角(2) |
52 | 四十八帖 早蕨 |
53 | 四十九帖 宿木(1) |
54 | 四十九帖 宿木(2) |
55 | 五十帖 東屋 |
56 | 五十一帖 浮舟(1) |
57 | 五十一帖 浮舟(2) |
58 | 五十二帖 蜻蛉 |
59 | 五十三帖 手習 |
60 | 五十四帖 夢浮橋 |
このシリーズの存在は山本淳子「平安人の心で『源氏物語』を読む」で知った。同書に、"この週刊誌に掲載の山本氏のエッセイ「御簾の内がたり」が下敷きになっている"とあったから。
その書評記事を書いた頃は、まだメルカリのようなフリーマーケットにはなんとなく不信感があって、古書を買う場合でもAmazonなど通販サイトで購入していたので、フリマは探さなかった。
その後、フリーマーケットを何度か使うようになって、気を付けるのは自己責任と割り切って、今回はフリーマーケットだったらあるのではと思って検索したら、やっぱりメルカリで売りに出ていた。
もっとも古書を買う場合でも、Amazonや楽天市場で出ているものを優先的に買うのだが(クリーニングなどがしっかりしてそう)、今回はそちらには本シリーズは出ていなかった(ただし他のサイトにはあったようだ、かなり安く)。
購入方法についてはこのぐらいにして、入手した本シリーズについて。
まず前の持ち主は乱暴に扱ったりはしていないようで、状態は良いものだったと思う。
本の途中になにやら会員紙のようなものが挟まっていたから、そのスジの人だったのだろう。
源氏物語の絵巻といえば、国宝に指定されているそれしか思い浮かばなかったけれど、それは54帖すべてが揃っているわけではないという。本シリーズではそれ以外のものからとったものも載せられている。
創刊号に記載の「売り文句」では、
国内外に散逸している源氏絵巻を一堂に集めて収録。全号揃えると傑作約500点がお手元に集まり、前例のない絢爛豪華な「源氏物語絵巻」が完成します。また、絵巻は豪華な美術印刷で金泥も鮮やか。迫力のパノラマ誌面でもお見せします。
もっとも私はこれから1号ずつ読むわけではなく、全巻揃っているから期待感はないけれど。
実際、創刊号「桐壺」で収録されている源氏絵は、国宝の源氏物語絵巻からではなく、〝幻の「源氏物語絵巻」〟というものからとられている。
〝幻の「源氏物語絵巻」〟とは、
このほか屏風絵などからも採録され(創刊号にも掲載がある)、シリーズタイトルは「絵巻で楽しむ」とあるが、絵巻を楽しむというより、このシリーズが一大絵巻という意味を込めているのかもしれない。
本シリーズに採録された絵の選定・監修・解説は恵泉女学園大学の稲本万里子教授がされたとのことで、同大学の教員紹介お知らせページに紹介されている。
Google検索:"稲本万里子教授 週刊 絵巻で楽しむ源氏物語五十四帖 site:keisen.ac.jp"
59~60号の紹介記事に、それまでの各号の記事へのリンクが張られているので、こちらが便利。
創刊号(したがってシリーズ)最初に掲載されたのは、桐壺の更衣が病を得て宮中から去るシーン。
〝幻の「源氏物語絵巻」〟(上巻絵第三段 作者不明 縦35.4cm×横133.2cm 江戸時代前期)
創刊号(「桐壺」)をざっと眺めてから、そもそもこのシリーズを知るもととなった山本淳子氏のエッセイ「御簾の内がたり」をチェックした。
「平安人の心で『源氏物語』を読む」の第1章がほぼそのまま掲載されている。(右写真)
というか「絵巻で楽しむ…」に掲載のエッセイを集めて、「平安人の心で『源氏物語』を読む」ができたそうだけど。
なお一ヵ所だけ異なるところがあった。最後から2つめの段落だが、「絵巻で楽しむ…」は、
ところで、ドラマ初回の感想記事に、"末摘花の邸も古びてはいて、破れがあっても、まひろの家のような、それこそ一切囲うものがないような状態ではない"と書いているけれど、これは本シリーズの「末摘花」掲載の絵で判断したもの。あとで追記しているが「蓬生」まで進むと、邸の傷みの描写がすさまじくなり、源氏絵ではほとんど廃屋のように描かれる。このあたり、時間経過もよく表しているようだ。
「光る君へ」は、源氏物語のストーリーを追うものではなさそうだが、平安装束や建物などを見るのには役立ちそうだ。
ただし、最も早い源氏絵は平安末期、国宝の源氏物語絵巻は12世紀に描かれたそうだが、多くは江戸時代に描かれたもののようだから、装束・建物が平安時代そのままとは言えないだろうけど。
(秀吉や家康を配した源氏絵もある)