湯煎の反対

少し暑さもましになってきたように思うけれど、夏向きの話。

IMG20230822172923-crop.jpg 古希の祝で日本酒のセットが贈られ たが、そのなかの純米吟醸酒は、やはり冷やで飲んでいる。

大吟醸でないのは、このメーカーでは独特の扁平精米を行っているからだと思う。吟醸・大吟醸の差は精米歩合の差だが、扁平精米だと無駄に削る部分が少ないので精米歩合は大きい(つまり多くを磨かずの残す)。このメーカーでも大吟醸はあるが同じ扁平精米を行っての大吟醸だから、ぎりぎりまで磨いているのだろう。


冬場なら、一升瓶からそのまま注いでもひんやりしているわけだけれど、夏場、キッチンの傍に置いてあると、どうしても生ぬるいお酒になってしまう。
安酒だったらお酒のグラスに氷を放り込んで冷やしてしまうところだが、それなりの純米吟醸酒であるから、そういう乱暴なことはしたくない。

そこで、徳利ごと氷水に浸けて冷やしていただく。湯煎の逆である。

ワイン用の氷ポケット付きのカラフェを見たことがあるけれど、そういうしゃれたものは持っていないので、湯煎用の徳利をそのまま使って、空いた海苔のプラケースに氷と水を入れて、そこへ徳利を突っ込む。

湯煎の逆ということだが、煎の文字は列火が付いていることでわかるように火を使う行為だから、氷煎とか冷水煎とかいうわけにはゆかない。
なんというんだろうと思ってネットをみていたら、同じような疑問を持つ人もいるようで、湯煎の反対語は一体なに?(トレンド雑学大辞典)に解説があった。

要するに湯煎の反対語はないそうだ。

ところで温めるのは簡単ですぐに温まるのだが、冷やすのはけっこう時間がかかる。
以前、天体望遠鏡の説明を受けたとき、担当者がそう言っていた。

夏場の観測は大変なんですよ。ドームは開けっ放しで冷房できないし、とか。


伝導によって物を温めたり冷やしたりするとき、その温度変化速度は、対象物と周囲(接触物)の温度差に比例するという。
であるなら、お酒を温める場合は80Kぐらい(湯煎の場合)、冷やす場合はせいぜい30K(室温のお酒と氷水の場合)の温度差だから、その速度もそれに応じることになる。

氷をお酒に放り込む場合は、融解熱によって冷やされるので、伝導による冷却とは異なる。

あわてないあわてない。

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