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2011/10/01(土) 05:20 大鬼
文部科学省が広域で実施している航空モニタリング測定について、当ブログ前回記事以降9月末までに計測された、茨城・山形・福島西部・群馬・埼玉・千葉の各県とそれらを含む広域での放射性セシウム土壌汚染マップをまとめた。

福島第一原発災害の発生から半年以上経ったが、いまだに首都圏全域の汚染状況は計測されておらず、プルトニウム等のα線核種についても広域での計測・情報開示はほとんど進展していない。より差し迫った課題である食品検査の徹底、基準値の厳格化、移住政策などについても日本の政治は冷淡な態度を続けており、誰も望んでいない永田町利権政治や財界の求める原発再稼働・原発輸出推進などに明け暮れている。民主主義の危機といっていいこの状況を大きく変えるには、原発容認派の政治家を大量に落選させるしかない。原発産業と経済至上主義によってこの国の食と環境と安全が台無しにされたこと、これから犠牲となる子供たちのこと、汚染マップを見ながらしっかりと考えたい。

<参考までに>
放射能空間線量については、毎時0.11マイクロシーベルト以上だと1年間で年間許容限度とされる1ミリシーベルトを外部被曝だけで越える。土壌汚染については、チェルノブイリではセシウム137の地表堆積(ベクレル/m2)が37000(37K)以上で汚染地域とされ、185000(185K)以上で補償つき任意移住が認められ、555000(555K)以上は強制移住、1480000(1480K)以上は強制移住&立入禁止ゾーンとされた。セシウム134と137はほぼ同量ずつと考えて良い。


広域汚染マップ(2011年9月30日までの計測分)

文科省航空モニタリング_広域110930

<画像をクリックすると拡大されます>


千葉県の汚染マップ


文科省航空モニタリング_千葉

北部に高濃度汚染地域が集中している。とりわけ我孫子・柏・流山・松戸にホットスポットが多い。また木更津周辺も若干濃度が高いエリアがある。すでに市民による首都圏150カ所土壌調査でホットスポットの存在が明らかにされているが、このマップと茨城県の汚染地図を合わせてみれば、鹿島灘から東京東部や横浜方面に向かって大量の放射能が流れ込んだ形跡がはっきり見えてくる。


茨城県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_茨城

福島に近い北部では日立市の一部まで高い濃度のエリアが存在する。南部は鹿島灘から東京方面へと伸びる汚染ラインを中心に広範囲に汚染されている。


埼玉県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_埼玉

群馬と東京奥多摩に接している西部エリアと千葉・東京葛飾に接している最東端に濃度の高いエリアが集中している。


群馬県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_群馬

今回最も衝撃的だった測定結果がこれ。福島に隣接していない県でもこれほどの高濃度汚染エリアが広がっていた。濃度をよく見ると、群馬県の放射能汚染は原発から30-60kmの福島県いわき市並といってもいいレベルだ。栃木県の高濃度汚染ラインの延長線上にある東部だけでなく、新潟に近い県北部の汚染がひどい。新潟南部といえば日本有数の米の産地がある。貧弱な食品検査ですらすでにセシウム米が多数検出されてきているが、米所の汚染は日本の食の根幹をゆるがす極めて重大な事態だ。また長野県に近い南西部にもホットスポットが点在しているが、そこは原発からの距離がなんと250kmを超えている。


福島県西部の汚染マップ

文科省航空モニタリング_福島西部

これまで会津若松より西のエリアの航空モニタリングデータがなかったので追加された地域。このマップだけでは分かりづらいが、広域マップの方を見ると猪苗代町から只見町へと伸びている汚染ラインが新潟南部を経て群馬北部へと到達しているように見える。しかも汚染濃度は福島西部よりも群馬北部の方が高い。原発からの距離だけが問題なのではないということが改めてよく分かる。


山形県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_山形

これまで計測された県の中では最も被害エリアが限定されているが、よく見ると山形市や新潟に隣接する小国町などにホットスポットが存在する。

なお政府が9月30日に発表した80km地点までのプルトニウム・ストロンチウム土壌調査の報告によるとセシウムとストロンチウムの拡散パターンはかなり異なるため、セシウムのみを計測している航空モニタリングの汚染マップで低い濃度が出ている地域でも他の放射性核種の濃度が低いとは限らない、という点には注意したい。


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