宮城県については、福島と隣接する県南部だけでなく、県北部の気仙沼・藤沢・栗原・大崎・加美などで汚染濃度が高くなっている。県中央部も、セシウム堆積量で見ると福島県西部や栃木県北部に匹敵するレベルになっている。栃木県については、北側半分が集中的に被曝しているようだ。特に那須・那須塩原・矢板・日光にはかなりの面積のホットスポットが存在する。広域で見ると、80km地点くらいまではほぼ全方位に超高濃度汚染地域が広がっており、加えて二本松・郡山・那須・日光を経ておそらく群馬県の高崎方面へ向かったと思われる超高濃度放射能雲の通過ラインが浮かび上がっている。また福島県南部・北茨城・日立・ひたちなかへと向かう海沿いの南向きのルートも見える。宮城県北部の高濃度汚染はおそらく岩手県南部へとつながっており、いったん太平洋上空に出た放射能が再上陸してできたように見える。原発から160km以上離れた宮城県北部や栃木県日光でも高濃度の汚染が見られることがはっきりした。福島だけが危ないという認識は改めなければならない。より精密な土壌調査でホットスポットを割り出し、いまだに情報が乏しいストロンチウムやアルファ線核種についても調査していく必要がある。首都圏や新潟の航空モニタリングも急いでやってもらいたい。
<参考までに>
空間線量については、毎時0.11マイクロシーベルト以上だと1年間で年間許容限度とされる1ミリシーベルトを外部被曝だけで越える。土壌汚染については、チェルノブイリではセシウム137の地表堆積(ベクレル/m2)が37000(37K)以上で汚染地域とされ、185000(185K)以上で補償つき任意移住が認められ、555000(555K)以上は強制移住、1480000(1480K)以上は強制移住&立入禁止ゾーンとされた。セシウム134と137はほぼ同量ずつと考えて良い。


福島県のセシウム土壌汚染マップ(計測日:2011年5月18~26日)

宮城県の汚染マップ


栃木県の汚染マップ


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