親がおかしい!(2)-零時過ぎの女の子
2005/09/19(Mon) Category : 親の諸相
その日、最寄の駅に着いたのは夜中の零時を過ぎていた。
マンションの前に来てギョッとした。
マンションは観音開きの扉があり、その向こうに自動ドアがあって2重になっている。その奥のエントランス・スペースは灯りがついているため外から見えるのだが、自動ドアの真向こうに人がいる―それが、小さいのだ…。
なんとレオタード姿のおちびちゃんが、バトンを持って手持ち無沙汰に“そこ”にいた!
時計は既に、0:15を指している。
ありえな~い!!
しかし、そう言えばいつぞやの休みの夕方、否、日も暮れた頃、通りで泣きべそかきながら練習をしていたのを見たことがある。そばには、ジャージを着てスポーツマンのようなお父さんがいた。オイオイオイ、こんなに暗くなってやりすぎじゃねぇの、と思いつつ傍らを通り過ぎたのだが、あの時の子だった…
放っておけるはずもない。
「練習してるの?」
声をかけた―。
まだ小2!
家にもちろん家族はいる。11時までテレビを見ていた(!)2つ上のお兄ちゃんは、勉強しろと怒られて今勉強しているという。
(エエーッ! 私、娘の時には9時に寝ろと言ってました…「今時」と言われながらも)
で、女の子の方は“外”へ出て練習しろ、と。
(出すか?普通! というか、夢見ている時間だろ! 小2だぞ、小2!)
が、それどころではなかった。
朝の4時まで練習したこともあるという!
その日は、朝から何かがあって出かけなくてはならず眠くてしょうがなかった、と普通に話す。
そう。
「悲痛に」ではなく「普通に」―それが、このこの置かれている状況の凄まじさを物語っている。
この子にとっては、この「異常」が「日常」なのだ…
昔から厳しい父親ではなかったようだ。
小学校に入って新体操(?)をやり始め、どうやらそこの先生が厳しいらしい。その先生に感化されて父親も厳しくなった。この子は、そう解釈していた。仕方がない、とこの状況を受け入れている風情。
頭のいい子だ。言葉もハッキリしていて、思っていることをきちんと話す。
『オイ!オヤジ! 何考えてんだおまえはYO! これ以上何望んでんだYO!!』
腹の中で、この子の父親に言う。
『お前がやることは、抱きしめてやることだろうが!』
『抱っこして、お前の腕の中で眠らせてやることだろうが!』
…先ほど別れた彼らのことがよぎる。
親がいても無視されるジゴク、
親がいて支配されるジゴク。
一方で、川嶋あいのように実の親を知らなくても愛情一杯受けて育った子もいる。
その内、お母さんが迎えに来るはずだ、と言う。
この子は、ただそのお迎えが来ることを、たった一人でポツンとここで、待ち侘びていたのだ。
お兄ちゃんが勉強させられた時刻と同じ頃とすれば、もう1時間以上も。
しばらく話をする内、階段を降りてくる足音がした。
女の子の顔が明るくなった。
あぁ、このお母さんもあきらめの中にいるなぁ…表情を見てそう思った。
母親が抵抗できなければ、子どもに逆らう術はない。
そして、帰るかと思いきや…、なんと!扉を押し、子どもを促して真夜中の外へと出て行った…
まだ、帰れる時間ではなかったのか?
この家族は、あの父親というサティアンの中にいる。
ブラックボックスとなった核家族は、一度父親が暴走してしまうと軌道修正がきかない。
「家族」がおかしい。
家族を救うために、家族を暴走させないために、異なる価値観が飛び交う中に「家族」を置かなくてはならない。ブラックボックスではダメだ。地域に開かれていなければダメだ。
地域を再生していかなくては……
縁側のある家に住みたい。
マンションの前に来てギョッとした。
マンションは観音開きの扉があり、その向こうに自動ドアがあって2重になっている。その奥のエントランス・スペースは灯りがついているため外から見えるのだが、自動ドアの真向こうに人がいる―それが、小さいのだ…。
なんとレオタード姿のおちびちゃんが、バトンを持って手持ち無沙汰に“そこ”にいた!
時計は既に、0:15を指している。
ありえな~い!!
しかし、そう言えばいつぞやの休みの夕方、否、日も暮れた頃、通りで泣きべそかきながら練習をしていたのを見たことがある。そばには、ジャージを着てスポーツマンのようなお父さんがいた。オイオイオイ、こんなに暗くなってやりすぎじゃねぇの、と思いつつ傍らを通り過ぎたのだが、あの時の子だった…
放っておけるはずもない。
「練習してるの?」
声をかけた―。
まだ小2!
家にもちろん家族はいる。11時までテレビを見ていた(!)2つ上のお兄ちゃんは、勉強しろと怒られて今勉強しているという。
(エエーッ! 私、娘の時には9時に寝ろと言ってました…「今時」と言われながらも)
で、女の子の方は“外”へ出て練習しろ、と。
(出すか?普通! というか、夢見ている時間だろ! 小2だぞ、小2!)
が、それどころではなかった。
朝の4時まで練習したこともあるという!
その日は、朝から何かがあって出かけなくてはならず眠くてしょうがなかった、と普通に話す。
そう。
「悲痛に」ではなく「普通に」―それが、このこの置かれている状況の凄まじさを物語っている。
この子にとっては、この「異常」が「日常」なのだ…
昔から厳しい父親ではなかったようだ。
小学校に入って新体操(?)をやり始め、どうやらそこの先生が厳しいらしい。その先生に感化されて父親も厳しくなった。この子は、そう解釈していた。仕方がない、とこの状況を受け入れている風情。
頭のいい子だ。言葉もハッキリしていて、思っていることをきちんと話す。
『オイ!オヤジ! 何考えてんだおまえはYO! これ以上何望んでんだYO!!』
腹の中で、この子の父親に言う。
『お前がやることは、抱きしめてやることだろうが!』
『抱っこして、お前の腕の中で眠らせてやることだろうが!』
…先ほど別れた彼らのことがよぎる。
親がいても無視されるジゴク、
親がいて支配されるジゴク。
一方で、川嶋あいのように実の親を知らなくても愛情一杯受けて育った子もいる。
その内、お母さんが迎えに来るはずだ、と言う。
この子は、ただそのお迎えが来ることを、たった一人でポツンとここで、待ち侘びていたのだ。
お兄ちゃんが勉強させられた時刻と同じ頃とすれば、もう1時間以上も。
しばらく話をする内、階段を降りてくる足音がした。
女の子の顔が明るくなった。
あぁ、このお母さんもあきらめの中にいるなぁ…表情を見てそう思った。
母親が抵抗できなければ、子どもに逆らう術はない。
そして、帰るかと思いきや…、なんと!扉を押し、子どもを促して真夜中の外へと出て行った…
まだ、帰れる時間ではなかったのか?
この家族は、あの父親というサティアンの中にいる。
ブラックボックスとなった核家族は、一度父親が暴走してしまうと軌道修正がきかない。
「家族」がおかしい。
家族を救うために、家族を暴走させないために、異なる価値観が飛び交う中に「家族」を置かなくてはならない。ブラックボックスではダメだ。地域に開かれていなければダメだ。
地域を再生していかなくては……
縁側のある家に住みたい。
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