破壊してくれた子への感謝
モノを次々に破壊していった
大切なモノも、高価なモノも、実家から送ってきたモノも
破壊されて決意がついた
捨ててしまうと、家がスッキリした
モノで重かった空間が軽くなった
モノがゴチャゴチャと自己主張していた空間に心が戻って来た
綺麗になった干潟に舞い戻ってきたシラサギのように
心が自由に遊び始めた
…そうか
わが子は、私のしがらみを粉砕してくれたんだ…
今は思う
モノは豊かさの象徴ではない
心の貧しさの象徴だ
モノに囲まれ、人が窮屈に暮らしている
モノに見張られ、心がノビノビとしない
持てば持つほど縛られる
なければないほど自由になる
だって、ほら、
はじめて家が自分の家になった気がした
自分が
自分の心の主人公になった気がした
子は、かつて親がやりたくてできなかったことを
代わりにやってくれる
子は、いつの間にか親が巻き込まれている闇から
親を救い出してくれる