【Reporter:はつしも】
2010年3月13日に横須賀線・湘南新宿ラインの
「武蔵小杉新駅」が開業してから、すでに5年以上が経過しました。
武蔵小杉駅の1日平均乗車人員は2009年度に76,831人だったものが2010年度に新駅効果で99,617人に増加し、その後も毎年上昇カーブを描いています。
武蔵小杉新駅は限られたスペースに建設されたこともあって改札口からホームまでのキャパシティが少なく、現在、
朝のラッシュ時には駅のロータリーまで伸びる長い行列ができています。
この行列を改善すべく、
新駅改札口の自動改札機が2015年8月26日(水)に新型に交換されるとともに1機増設され、6機体制になることが決まりました。
■武蔵小杉新駅改札口 自動改札機増設のお知らせ
■増設される自動改札機の構成
■武蔵小杉新駅の改札口
現在、武蔵小杉新駅改札口(新南口改札)には、
5機の自動改札機が並んでいます。
そのうち一番写真右側の有人窓口前の自動改札機が、車いすなどの通行を想定した広いものになっています。
これらの自動改札機がこのたび新型に交換され、
有人窓口と反対側に1機増設されることとなります。
■自動改札機が増設されるエスカレーター前
自動改札機が増設される壁際は、
現在一部が柵になっています。増設される自動改札機は、この部分を活用して新設されるようです。
全体の構成としては
上りエスカレーター前の2機が入場専用、残り4機が入出併用の自動改札機となります。
■JR東日本 各駅の乗車人員
http://www.jreast.co.jp/passenger/index.html
■武蔵小杉駅の乗車人員 過去5年間の推移
年度 |
乗車人員(人) |
前年度比 |
ランキング |
備考 |
2009 |
76,831 |
▲362 |
55位 |
3.13新駅開業 |
2010 |
99,617 |
+22,786 |
36位 |
|
2011 |
103,624 |
+4,007 |
31位 |
南武線快速運行開始 |
2012 |
108,046 |
+4,422 |
28位 |
3.26東横線10両化・副都心線直通 |
2013 |
115,262 |
+7,216 |
27位 |
|
ここで、
武蔵小杉駅の1日平均乗車人員の5年間の推移を見てみましょう。
2009年度末(2010年3月13日)に新駅が開業したことが寄与し、
2010年度にはこれが前年度比22,786人増加の99,617人になっています。
それで増加が一段落することはなく乗車人員は増加を続け、中でも2012年度末(2013年3月26日)に東横線・副都心線の相互直通運転が始まっても上昇カーブがさらに上向き、
2013年度には7,216人も増加している点が注目されます。
前掲のJR東日本のウェブページで一番古い
1999年度のデータまでさかのぼると、1日平均乗車人員は64,165人です。
そこから20年かけて、新駅開業の2009年度までの増加が12,666人ですから、
近年の数字の伸びがいかに著しいかがわかります。
これは武蔵小杉駅前における大規模な再開発や周辺地域、さらには沿線全体での人口増加によるものと思います。
こういった数値的な裏付けも、JR東日本に自動改札機増設の後押しをしたことでしょう。
■武蔵小杉駅新南口の行列
さて、そんな武蔵小杉新駅改札口「新南口」では、冒頭に申しあげたように
ラッシュピーク時になると長い行列ができています。
この行列、どのくらい続いているかというと、
駅前のスーパーマーケット「デリド武蔵小杉店」の入口を越えた先まで伸びていました。
■デリド武蔵小杉店前の行列
ここはデリド武蔵小杉の前で、「デリドコーヒー」のための客席が設置されているところです。
新南口までは、まだ距離があります。
■デリドの入口を越え、レジデンス・ザ・武蔵小杉のサブエントランス前へ
デリド武蔵小杉の出入口をこえて、やっと駅前マンション
「レジデンス・ザ・武蔵小杉」のサブエントランスが見えてきました。
「レジデンス・ザ・武蔵小杉」は駅直結といっても良いロケーションにありますが、この場合行列に並ぼうとすると、
「自宅エントランスから駅から反対側に歩いて一旦離れる」ことになります。
これは大変珍しいシチュエーションではないでしょうか?
■横須賀線高架下の駅入口
やっと
「新南口」の看板をこえて、横須賀線高架下の駅入口に到達しました。
このあたりから、
行列が2列~3列になりはじめます。
左から1列目、2列目が改札口前のエスカレーターに乗る行列、3列目以降がエスカレーターに乗らず、その先の階段等を利用する列になっています。
■新南口改札への曲がり角
行列が直角に曲がって、
「新南口」改札に入っていきます。
このあたりになると、右側に4列目ができはじめます。
■上りエスカレーターへの2列整列のお願い
改札口付近には、
上りエスカレーターへは2列をつくってほしいとのお願いが掲示されていました。
最初は小さい立札だったものが人波に隠れて見えないため、先日より大きな看板が設置されるようになりました。
これは、
行列のできていない3列目以降から改札内に入ってから、エスカレーター側に入ってくる方へのクレームがJR武蔵小杉駅に多数寄せられていたということによるものだそうです。
JR武蔵小杉駅には、
この行列について多くの改善要望が寄せられました。
今回の改札機増設は、この改善要望に対応するものとして前掲の告知にも記述されています。
それでは
果たして、改札機増設によって改善が見込めるのでしょうか。
実際にやってみないとわかりませんが、
個人的な予想としては効果は限定的なのではないか、と思っています。
■新南口改札のボトルネック
それはなぜかというと、
この行列は自動改札が捌ききれないことによって発生しているわけではなく、改札からホームへの最短ルートとなる上りエスカレーターのキャパシティが少なく、ここがボトルネックとなっているからです。
言ってみれば
自動改札機はエスカレーターの行列の途中にあるだけの存在であって、仮に自動改札が増えたとしても、エスカレーターがさばくペースが変わらなければ状況は大きく変わらないのではないか、という理屈です。
改札口から一番手前が上り専用エスカレーターで、その先には下り専用エスカレーターがあります。
その先の階段までには少々距離があるため、
改札口からホームに最短距離で向かう乗客が上り専用エスカレーターに集中するというわけです。
これは武蔵小杉新駅のスペースが限られているため、「上り下りエスカレーター+階段」という南武線ホームのような導線をつくることができず、
「上りエスカレーター」「下りエスカレーター」「階段」と1系統ずつをホームに縦に並べることしかできなかったことによるものです。
構造的な問題ですので、なかなか解決が難しいでしょう。
ただ、自動改札機を増やしたことによって、
一番手前の上りエスカレーターではなく、奥の階段などに現在よりも人を誘導するなどの運用面での改善は可能性があると思います。
■ラッシュ時の新駅ホーム
仮にホームへの階段やエスカレーターを増設するとなると、今度はホームがより狭くなることになります。
ホームはホームで混雑していますので、それも困りますね。
今後も当分武蔵小杉駅の乗車人員は増加を続けるものと思います。
ピーク時の行列がもう少し長くなってくるかもしれませんし、ホームの混雑の安全確保もより注意が必要になってくることでしょう。
まずは今回自動改札機が増設されること自体は良いことですし、
今後も必要な設備投資が行われることを期待したいと思います。
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