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2022/08/19

岸田内閣が安倍晋三・菅義偉の憲法無視姿勢を踏襲して、臨時国会召集要求をスルーしていることについて

日本国憲法第五十三条

 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

 

ところが、

立憲民主党など野党側は、閣僚と旧統一教会の関係について、政府の姿勢をただす必要があるとして、18日、憲法の規定に基づき、臨時国会の早期の召集を求める要求書を衆参両院の議長に提出しました。

立憲民主党の馬淵国会対策委員長は「旧統一教会問題はさまざまな政治家の関与が取り沙汰され、国民への説明責任を果たすのが岸田総理大臣の役割だ」と述べ、早期に召集して十分な審議が必要だという考えを示しました。

これに対し、自民党の高木国会対策委員長は「召集に関しては政府が判断することだ」と述べるにとどめました。

政府・与党は、早期の召集には応じない構えで、引き続き、教会側との関係があった議員がみずから説明し、関係を見直すことで対応していくことにしています。

NHK「旧統一教会問題で政府・与党 臨時国会の早期召集 応じない構え」より
2022年8月19日 4時46分

こんな明確な条項にも従おうとしない現政府は、菅前政権、安倍前々政権とともに、違憲政府だ。

同第九十九条

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

当然ながら岸田首相とその閣僚、および政府職員は「全員」、憲法の定める憲法尊重擁護義務に違反している。

 

同第十二条

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。(後段略)

 

この条文は直接的には基本的人権に関するものだが、53条後段の少数議員の国会召集要求権も主権者たる国民の参政権の間接的な保障なのだから、そのエンフォースも我々の「不断の努力」で実現すべきだろう。

となると、表現行為を通じて、あるいは司法を通じて、憲法を守るように政府に要求することこそが国民の憲法上の責務にもなる。

そして、行政府のあからさまな憲法違反行為について、他に取りうる適切な救済方法がないときには、そこから「抵抗権」という話になる。
司法が現政権の憲法違反を放置するなら、少なくとも法的には「反乱」を否定できなくなるぞ。

 

なお、南野森先生のYahoo!ニュース記事に、内閣法制局長官の過去の答弁と、それを捻じ曲げた産経新聞の記述がこてんぱんに批判されている。

内閣法制局長官が臨時国会召集要求に応じなくても違憲ではないと答弁したというのは本当か?

要するに、法制局長官は「臨時会の召集要求があった場合に、仮にその要求において召集時期に触れるところがあったとしましても、基本的には、臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならない」が、「この合理的な期間内に常会の召集が見込まれるというような事情がありましたら、国会の権能は臨時会であろうと常会であろうと異なると、異なるところはございませんので、あえて臨時会を召集するということをしなくても、憲法に違反するというふうには考えておりません。」と答弁した。

産経新聞はこれを元に「歴代内閣法制局長官の国会答弁でも、「臨時国会見送り」の違憲性は否定されており」と書いているのであり、トランプ流にいうならとんだフェイクニュースだ。

 

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