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2016/12/07

court:弁護士が法廷で他人の名前を書く

表記のようなニュースが弁護士さんたちの間で話題になっている。

弁護士「出頭カード」に他人の名前 東京地裁、不適切記載の再発防止求める 昨年以降、3件発覚
Avocatsmagistrats
要するにやり方が分かっていませんでした、ということのようだ。

今年5月には、裁判期日に若手弁護士が1人で出席。カードには、この弁護士が所属する弁護士法人の代表の名前が印刷されており、本来は若手が自分の名前を記入すべきところを代表の名前に丸をつけた。若手は「代表の名前に丸をすれば法人の所属弁護士が出席したことになると思った」などと話したという。

不適切ということにとどまっているが、弁護士会は、これが弁護士と裁判所との信頼に基づくシステムの崩壊につながるのではないかとおそれている。
東京弁護士会長は9月、「弁護士に対する信頼を前提として、身分証明を特段要求していない法廷実務の慣行を崩壊させかねない」とする緊急談話を発表、注意を呼びかけている。

実際、裁判所では、弁護士であれば手荷物検査もせずにパスというところに現れているように、いわば仕事仲間と扱う慣行があるし、そのことは日本法の継受元である西洋でもそうだ。

弁護士は独立した自由職業だが、同時に裁判所の機能を分担する職種、もっといえば司法権の担い手の一部という位置付けである。裁判所(官)と検察官と弁護士は、それぞれ独立しつつ、司法権の行使を相対的に担うという意味で、共同体の仲間であり、だからこそ当事者本人や証人、ましてや傍聴人などとは一線を画した扱いが許される。

そのような原理的な意味を持つ弁護士の特別扱いが、実務に慣れていない若手の間違いで崩壊するということはありえないことのように思うが、弁護士の位置付けがそういうものという前提を共有していないと、そうなりかねない恐れもある。

なお、実務上、民事法廷での本人確認がどのようになされているかは、圓道先生の企業法務のための 民事訴訟の実務解説 (BUSINESS LAW JOURNAL BOOKS)の117頁以下に書かれている。裁判所によってやり方が違うらしいので、若手のOJTが必須であることの一例でもある。

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