justice:食べログへの掲載を拒む権利はない
飲食店の検索サイト「食べログ」の口コミで損害を受けたとして、北海道で飲食店を経営する会社が、サイトに出ている店の情報を削除するよう求めた裁判で、最高裁判所は店側の上告を退ける決定を出し、情報の削除を認めない判決が確定しました。飲食店の評価や感想を口コミとして書き込める検索サイト「食べログ」を巡って、北海道で飲食店を経営する会社は、「料理が出てくるまで40分くらい待たされた」などと否定的な内容を書き込まれ損害を受けたとして、サイトを運営する東京のインターネット関連会社「カカクコム」に店の情報の削除を求めました。
1審の札幌地方裁判所は「店側の要求を認めれば、サイトの利用者が得られる情報が恣意(しい)的に制限されることになり、到底認められない」として、訴えを退けました。
店側は控訴しましたが、2審の札幌高等裁判所も「飲食店を経営する以上、社会的に妥当な『口コミ』であれば損失があっても受け入れるべきだ」として退けました。
このため、店側が上告していましたが、最高裁判所第3小法廷の岡部喜代子裁判長は、2日までに上告を退ける決定を出し、情報の削除を認めない判決が確定しました。
この件に関連して、以前このブログでは大阪の方で提起された訴訟を伝えたことがある。
大阪地判平成27年2月23日
報道の限りではあるが、妥当な判決と評価した。
今回の報道の事例は札幌の事件で、「店側の要求を認めれば、サイトの利用者が得られる情報が恣意(しい)的に制限されることになり、到底認められない」という、テレビの引用ではあるが思い入れたっぷりのような判決内容は妥当である。
ただし、大阪事件は控訴審で削除することを内容とする和解が成立したようである(accord:食べログ掲載訴訟に和解成立)ので、運営会社が情報削除を認める方向に動くのかと思っていた。
ところがどっこいということで、軽く驚いている。
一般的に、口コミサイトの情報は、口コミの対象となるお店の利益になる方向での問題点(ヤラセやステマ)と、お店に不利になる方向での問題点(営業妨害や不正競争行為)があり、CGMでみんなの意見は案外正しいというユートピア的な状態にはとどまっていられない悩みがある。
そういうことを踏まえた上でもなお、原則は上記の諸判決のような自由な書き込みを尊重する立場が妥当である。
病理現象である不正競争行為やステマは、それとして制限することを考えればよく、不正競争行為やステマがありうるからといって表現の場を一切合切奪うようなことになるのは本末転倒だし、お店に拒否権を与えるというのはステマの容認にもつながりかねないというものである。
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