Bankruptcy:ゲーム開発会社の倒産処理
これは倒産法の教材といってもよい良記事だ。
24歳でスマホゲーム起業。開発に2,000万円かけたが「資金難と大バグ」のコンボで会社終了。アプリ「きのこれ」元社長が語る会社倒産後の世界。
このツイートは、現代社会の「支払停止」の例として貴重だ。
また、非常に興味深いのが、後半に出てくるメールで競売という叙述だ。
競売については、まず弁護士からメールがくるんですよ。「株式会社Cmixが破産しました。ゲームの資産については、競売にかけられます」みたいな感じで。それに対して「興味があります」と回答すると、情報が80%くらい開示されるんです。例えば、キャラクターのイラストデータ、ゲームの売上金額、内部のデータなどです。
それを見て「入札するか」を判断します。ただ最後は「賭け」みたいなところはありますよね。致命的なバグがあるかもしれないですし、ゲームが動く保証もないわけですから。
最終的には「入札しよう」と決めたのですが、興味のある会社さんが何社かいらっしゃって、「競売」という形になりました。
そこから「競売」はどのように進むんですか? 「闇オークション」みたいな場所に集まるのでしょうか。
辻村:
「きのこれ」のときは「メールベースで価格を提示する」という形になりました。ドラマなどで見る「100万円!200万円!」という競りでなく、メールで淡々と進むような感じです。メールベースになった理由としては、大きな会社さんが入札していたためです。決裁するにはその都度、稟議を通さないといけなかったようで。価格については300万円からスタートしました。
さて、この会社の整理は、私的整理として行われたのであろうか? それとも裁判所の下での破産手続にいったのか?
登場人物が「弁護士さん」というだけなので、私的整理を弁護士さんのもとでやったのか、それとも申立代理人になってもらって、上記の競売を行ったのは管財人なのか、管財人だとすれば、その競売の方法がユニークでとても面白いのだが、多分そうではないのだろうなという推定が働く。
ちなみに、任意売却ベースでオンラインオークション的なことをする管財人は、ちらほらはいるようだが、なかなかその実態は明らかにならない。
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