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2015/03/07

jugement:捜査のためGPSを無断で車に取り付けた行為は適法(終局判決につき追記)

この問題については、このブログでもGPS端末を無断で取り付ける捜査手法の適法性と、日本ではGPSを無断で取り付ける操作手法が合法と解されているでも取り上げたところだが、大阪での訴えに判決が下されたことが報じられている。

GPS端末使用の捜査は適法 大阪地裁

事件の捜査の過程で、警察が被告や関係者の車などにGPS端末を付けて行動を監視していたことが明らかになり、弁護士などが「犯罪と関係ない行動まで監視されたのはプライバシーの侵害に当たり違法だ」と主張したのに対し、検察は「尾行と同じ任意捜査の範囲で問題ない」と主張していました。これについて、大阪地方裁判所の長井秀典裁判長は「使用されたGPS端末は24時間、位置情報が取得され記録されるものではなく、地図上の表示も、数百メートル程度の誤差が生じることがあった。捜査員は、尾行の補助として位置情報を使用し、記録として蓄積して

記事からはあまりはっきりしないが、刑事裁判において、違法収集証拠の排除を主張して、決定が出たということであろうか。
争い方としては、GPSを無断で取り付けて行動を記録したことをプライバシー侵害として、国家賠償を求めるということもありうるが、記事から推測される限りではそのようなものではなさそうである。

結論としてプライバシー侵害ではないとしたものだが、記事を見る限り、正確な位置情報を知らせる装置であるとすればプライバシー侵害となりうることを示唆したものとも読める。

この点からも、許容される基準を法的に明確にすべき問題であるということができよう。

追記:朝日のGPS捜査は「適法」 大阪地裁、窃盗事件で判断の記事はより明確だ。

27日の地裁決定などによると、府警と長崎、熊本両県警は被告ら4人が近畿や九州などで盗みを繰り返していたとみて、13年5~12月に被告らが使う計19台の車両に無断でGPSの端末を取りつけた。捜査員は位置情報が分かるインターネット上のサイトを通じて被告らの行動を確認したが、グループの一人がオートバイに付けられたGPS端末を見つけた。

 その後に起訴された被告の裁判で弁護側が「捜査員が自ら追跡する尾行とは異なり、相手の所有物に無断で取り付けた機器で監視する方法は憲法が保障するプライバシー権を侵害する」と主張。GPS捜査に基づいて撮影されたビデオ映像など約100点を証拠から除くよう申し立てた。

 長井裁判長は「捜査員は尾行のための補助手段としてGPSを使い、位置情報も記録として蓄積していない」とし、プライバシー侵害の程度は大きくないと指摘。端末は磁石で車両の外部に付けられ、車体を傷つけていない▽多くは公道上で設置された――と認め、「重大な違法はなかった」として証拠を採用した。

尾行とどこが違うかという議論に対しては、木谷明・元判事が盗聴に近いものと説明されている。

なお、記事には各地で表面化したGPS捜査として以下のように列挙している。

2006年 愛媛県警の捜査員の私有パソコンから捜査資料がインターネット上に流出。県警が殺人事件の参考人の車にGPSを取り付けていたことが発覚

2011年 兵庫県警が窃盗事件の捜査対象者の男性と知人女性の車にGPSを設置。男性の公判で違法性が争点となったが、被告側が裁判の長期化を避けて主張を取り下げる

2012年 福岡県警が窃盗事件の捜査対象者の男性の車にGPSを設置。覚醒剤事件で起訴された男性が公判で「違法」と訴えたが、福岡地裁は「覚醒剤事件と関連性はない」として判断せず

2014年 愛知県警が窃盗事件の捜査で男性の車にGPSを設置。男性が県に約140万円の損害賠償を求めて提訴

追記2:この事件について判決が報じられた。
容疑者の車にGPS、捜査は「適法」…大阪地裁
大阪地判平成27年3月6日

長井秀典裁判長は「プライバシー侵害の程度は大きくない」と指摘。6日の判決で、窃盗罪などに問われた無職の男(36)に懲役4年(求刑・懲役5年)の実刑を言い渡した。
(中略)
 判決によると、男は12年2月~13年9月、大阪や長崎など5府県で店舗荒らしなど8件を繰り返した。

 大阪府警は逮捕前の捜査で、男らの車両19台にGPS発信器を設置し、携帯電話で位置情報を取得して、男らの車両をビデオカメラで撮影。検察側は裁判で、その映像など約100点を証拠請求した。

 弁護側は「裁判所の令状なく無断で取り付けており、憲法が保障するプライバシー権の侵害」とし、証拠採用しないよう求めていた。

 証拠の採否に関する1月27日付の決定で、地裁は「犯人はナンバープレートを付け替え、高速道路の自動料金収受システム(ETC)を突破するなど高速度で広範囲を移動しており、尾行は困難でGPSは必要だった」と説明。尾行の補助手段で、記録も蓄積されておらず、プライバシーは大きく侵害していないとし、いずれも証拠採用した。

 この日の判決では、弁護側がGPS捜査は違法として量刑を軽くするよう求めていたのに対し、1月27日付決定を踏まえ「考慮する事情ではない」と退けた。

なお、記事中で「司法が捜査の妥当性に関する判断を示したのは初めて。」と書かれているが、刑事の本案判決の中では、ということであろうか。

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