jugement:弁護士Vs.行政書士:泥沼化した紛争
判決文では律義にルールに従い個人名を匿名化しているが、事務所名は匿名化されていないので、全く無意味な匿名化だ。
原告は「神田のカメさん法律事務所」の弁護士であり、被告は「かなめ行政書士事務所」の行政書士である。それぞれURLも無意味に省略されているが、ググってみれば、両方共出てくる。
判決文によれば、被告のブログにある記事の一部が虚偽の事実を指摘したもので、これが原告の営業上の利益を侵害しているので、その部分の削除を命じた上、損害賠償50万円の支払いも命じた。
しかし、この両者の争いは相当に泥沼化しており、それが損害賠償の額に反映されている。
どれほど泥沼化してるかということは直接判決文を参照してじっくり見て欲しいし、上記リンク先の両者のブログにも詳しい(原告ブログも参照)。
お決まりの名誉毀損に、著作権侵害と不正競争防止法違反の訴訟が相互に提起されている上、「弁護士と闘う!」が擁護する太田真也(神田のカメさん)氏の弁護士としての資質を問う!によれば、原告は被告代理人弁護士について懲戒請求をしているようだし、それ以前に既に被告が原告に懲戒請求をしているようである。そもそもの争いは、南洋という会社の詐欺疑惑(南洋の元代表者は刑事裁判にかけられている)
を批判する被告に対して、南洋からの削除請求の代理人に原告がついたということであろうか。
本件判決文は、損害賠償額算定に際して以下のように判示している。
原告は,テレビコマーシャルやインターネット上の動画,イベントブースへの出展等で広告・宣伝を行い,これらと連動したインターネ ット上のホームページを検索して閲覧させることにより,顧客の獲得に努めていたが,平成23年10月以降,原告のホームページを検索すると,検索結果として,原告の営業上の信用を害する前記9件の記事の一部が10位以内に表示されるようになり,閲覧者も相当数に及ぶことが認められ,これによれば,原告は,被告の信用毀損行為により,弁護士としての信用を毀損されたものと認められる。しかしながら,原告の売上高が減少するなどの実害が生じた形跡は格別窺えないし,被告は,南洋から投資の勧誘を受けた者からの相談に応じていて,原告が「手抜き」や「詐欺的取引の助長」,「スラップ」,「批判者の口封じ」をしているように見える面もあったものであり, 原告自身も,原告ブログ等に本件かなめくじ記事等を投稿して,被告の感情を害していたのである。
両者の泥沼化した紛争の一端が見えるようであるが、検索結果の現状をもって信用毀損を認定しつつも、実害が生じた形跡は見られないとしているところも興味深い。
この訴訟合戦はまだまだ続くのであろうか。
追記:
下記のようなコメントが有り、それに対して事実無根との抗議があったので、事実無根かどうかがわからない段階では、少なくとも個人名については削除しておく。
事務所のホームページ(HP)に交通事故に関する法的な相談を受けると記載したことが弁護士法違反(非弁活動)に当たるとして、兵庫県弁護士会は5日、行政書士・・法務事務所(・・)の・・・行政書士(43)に警告書を出したと発表した。送付は1月28日。
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