France:代訴士職の弁護士への統合
フランスには、代訴士という、イングランドのソリシターのような法律専門職が存在したが、1970年代の改革で控訴院(日本の高裁レベル)と破毀院(日本の最高裁レベル)にしか関わらないものとされ、極少数の職業となっていた。
ところが、来年の1月1日をもって、その残された代訴士職が弁護士に統合され、消滅する。
現在、代訴士は436人いるらしいが、その3分の2程度は弁護士になって仕事を続ける。残りは引退したり、司法官(裁判官または検察官)になりたいと申請する者も何人かはいるようだ。
公証人や競売士、倒産実務家になるという道もあるが、代訴士は関心がなさそうだという。
ちなみに、現在の代訴士に関する数字は以下の通り。
自然人としての代訴士は上記の通り、436人
代訴士事務所は235事務所
代訴士の平均年齢は50歳
代訴士事務所の従業員数は1850人
うち、解雇予定の従業員が812人
顧客は263500人
以上は、全国代訴士協会長Jean-Michel Divisia氏のインタビュー記事@dalloz。
代訴士というのは、日本でいうと司法書士に比定されるが、もともとの形態は訴訟における当事者の代理人となって裁判所に提出する書類を作成する他、弁論を行う者として弁護士を選任する立場であった。つまり、訴訟代理人は代訴士で、その職務の一部として特別のライセンスを持つ弁護士に委任するというやり方だった。
ところが地裁レベルでは、そうした役割分担が廃止され、弁護士が直接顧客と契約を結んで代理人となるようになった。
日本の司法書士とは全く異なる存在であった。
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コメント
医療では、医介補ってのがあった。
沖縄の島嶼部のように。
なぜ、弁介補って耳にしないんだろ・・・。
投稿: nanchatte | 2011/11/22 21:05