court:裁判所の建物のあり方
和歌山地裁庁舎が建て替えられているらしい。ところが・・
住民(というか有識者の建築の先生)が心配しているのは、お城の公園そばにあって、市民憩いの場なのに、現在より2倍の高さの建物が建てば景観が変わってしまう(駄目になってしまう)かも、という点だ。
にもかかわらず、
和歌山弁護士会の豊田泰史弁護士は、和歌山地裁が新庁舎の外観など詳細を示していないとし、「住民の意見を聴かずに計画を進めている」などと批判した。
ということである。
裁判所の建物というと、最高裁のようなコンクリート奇岩城のイメージがあるが、東京地裁・高裁や大阪地裁・高裁のような大型オフィスビルのイメージもある。東京地裁庁舎などは、内部的には色々見所もあるのだが、外見的には周辺の行政官庁と交換しても問題はないくらいで、全くつまらない。
これに対しては、検察庁・法務省が保存している赤レンガ建物が出色の出来である。
赤レンガといえば、神戸地裁庁舎を忘れることは出来ない。といってもまだ訪問する機会がなく、ネットや本で見るだけなのだが、赤レンガの旧庁舎にガラス張り建物を載せたハイブリッド型をしている。
この神戸地裁庁舎方式には賛否両論だろうが、少なくとも東京大阪のようなビジネスビルにしてしまうよりはマシであろう。フランス的でもある。
cf. Opera de Lyon
その他、保存系としては、このブログでも取り上げている札幌と名古屋の旧控訴院の他、熊本地裁赤れんが庁舎などもある。
ということで、建て替えと言ってもいろいろな選択肢があるが、地元景観に影響を与える可能性はたしかにある。賛否両論でまとまらなくなる可能性はあるが、だからといって裁判所が勝手に進めてしまえというのは現代社会にそぐわない発想だ。
写真で見る限り、神戸のような行き方にはなりそうもないが、それにしてもどのような建物にするのか、何十年に一度の機会であり、住民を巻き込んだ議論が望まれるというものである。
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コメント
第三者記録閲覧のために神戸地裁に行ったことがありますが、建物を見て絶句したクチです。個人的にはビジネスビルのほうが潔よい感じがします。熊本地裁には時間つぶしの傍聴で行ったことがありますが、法廷は別のビジネスビルの中でちょっと残念でした。東京地裁はしょっちゅう出かけていますが、中に見所があることは全然知りません。一般人でも見れる場所でしょうか。
投稿: 峰村健司 | 2011/01/31 00:58
例えば、1階のフロアにあるシャンデリアは旧庁舎のものを引き継いでいると記憶しています。
投稿: 町村 | 2011/02/01 00:43
天井を見上げたことなどありませんでした。早速眺めてみます。ありがとうございました。
投稿: 峰村健司 | 2011/02/01 22:19