jugement:雇い止め無効判決
雇止めがされた期間契約社員からの雇用契約上の地位確認請求について,親会社での雇用期間を含めて契約更新が重ねられ,雇用継続の合理的期待を有するに至っていること,3年を超えて更新しないという取り決めが周知されていなかったことなどを理由として,雇止めが無効であるとされた事例。
メディア企業に期間契約社員として雇用された原告Aは、6か月の契約を繰り返して、後に1年の期間となり、平成13年から20年まで勤めて雇い止めされた。また原告Bは平成16年から20年まで1年契約を繰り返して雇い止めされた。
そして契約社員は昇給昇進がないので、一般の社員との待遇が違って契約社員側に不満が生じるのを防ぐために、更新の最長期間を3年とするルールがあったが、これを説明会で言及したことがあったものの、十分説明したり周知したりしていなかった。
また、例外も多数存在し、厳格に適用されてはいなかったという。
こういう事情の下では、「期間の満了により直ちに雇用契約が終了するわけではなく,使用者が更新を拒絶するためには,社会通念上相当とされる客観的に合理的な理由が必要」と判示したわけである。
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コメント
個別ケースとしてこの判決は妥当だと思うのですが、現実の会社側の人事部の対応としては、「契約社員は3年で切っておかないと後でえらい目に会うぞ」という感覚を持つでしょうから、長期雇用への萎縮効果が生じて、契約社員については3年切りすることが加速して、さらに雇用情勢が悲惨になりそうな気がしますよね。。。
投稿: しんたろう | 2010/06/08 19:08