bankruptcy:帝国データバンクによる会社更生状況2009上
詳しい資料pdfもある。
特徴は、DIP型につられて民事再生ではなく会社更生を選ぶようになったらしいことと、迅速化は相変わらずめざましいこと、そして弁済率は極めて悲惨であることである。
2009年上半期の会社更生法の申請は31件で、上半期としては2002年の52件、2004年の33件に次ぐ過去3番目の高水準となり、年間件数では過去最多の2002年の64件に迫るペースで推移している。業種別では、「不動産業」(10件)、「製造業」(5件)の増加が目立つ。31件のうち、2008年12月から新たに導入された“DIP型”の申請が6件にのぼった。また、2004年1月から2009年6月までに会社更生法を申請した134件の手続き経過をみると、81件(60.4%)が認可決定を受け、このうち67件(50.0%)で終結決定が下りた。平均的な企業では、申請から1ヵ月内に開始決定が下り、開始決定から1年で認可決定、その後8ヵ月弱で終結決定が下りている。また、認可企業79件の平均弁済率は8.8%にとどまり、9年前調査の18.1%を大きく下回った。弁済率の分布でも「10%未満」に全体の7割が集中。業種別では、「不動産業」(3.2%)の落ち込みが目立った。
しかし、いまさらの感想だが、会社更生でもDIP型がありうるということの基本的な疑問はぬぐえない。上記のように、DIP型の申請は20%を占めているが、詳細資料によれば、「日本綜合地所(株)は4月20日付で創業社長が管財人を辞任しているうえ、アシストテクノロジーズジャパン(株)や(株)Sea Capitalは主要債権者の意向もあり、開始決定時に通常の管理型・会社更生手続きに移行」しているということなので、DIP型のまま推移したのは半分である。
全体の中に占める割合はそれほど多くはなく、今年の申請数の伸びの原因はやはりアメリカ発の金融危機による不況なのであろう。
牽連破産の数も少なく、会社更生自体は総じて成功を収めているといってよいかもしれない。ただ、小型の企業倒産が多くなっているので、同じDIP型の民事再生と客を奪い合っているわけである。
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