arret:通信社配信記事を信じてOK
jugement:通信社配信記事の名誉毀損において紹介した判決が、控訴審で覆された。
東京高判平成21年7月28日(東京新聞)
都築弘(つづき・ひろむ)裁判長は、記事について「医師の社会的評価を低下させた」と指摘。一方で、病院の調査報告書などを根拠としていることを挙げ「真実と信じた相当の理由がある」と判断、一審に続いて共同通信の賠償責任を否定した。
その上で、新聞社と通信社は、運営費用を負担し、記事提供を受けるといった相互関係があり、共同通信には「正確、敏速な配信をする必要な組織、態勢が整っている」と指摘。3社は求められる注意義務を共同通信が履行すると期待して依拠し、共同通信はその履行を引き受けていたとして、賠償責任はないと結論付けた。
まあ当然であろう。
その理由はjugement:通信社配信記事の名誉毀損に詳述したので、ここでは繰り返さない。
追記:なお、上告審判決が出ている。
最判平成23年4月28日民衆65巻3号1499頁(PDF判決全文)
新聞社が,通信社からの配信に基づき,自己の発行する新聞に記事を掲載した場合において,少なくとも,当該通信社と当該新聞社とが,記事の取材,作成,配信及び掲載という一連の過程において,報道主体としての一体性を有すると評価することができるときは,当該通信社が当該配信記事に摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由があるのであれば,当該新聞社が当該配信記事に摘示された事実の真実性に疑いを抱くべき事実があるにもかかわらずこれを漫然と掲載したなど特段の事情のない限り,当該新聞社が自己の発行する新聞に掲載した記事に摘示された事実を真実と信ずるについても相当の理由があり,以上の理は,新聞社が掲載した記事に,これが通信社からの配信に基づく記事である旨の表示がない場合であっても異なるものではない。
| 固定リンク
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- 民事裁判IT化:“ウェブ上でやり取り” 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023.11.09)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023.02.11)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023.02.10)
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
コメント