arret:同時履行の抗弁が信義則に反し許されないとされた事例
外車のオークション売買が錯誤により無効となった場合で、代金返還請求訴訟に対して、売主が買主の当該外車の引渡とその所有権移転登録とを反対給付とする同時履行の抗弁を主張した。
しかし、当該外車は二台の車を接合した複数車台番号のある車両で、そのままでは登録手続ができないのであり、所有権移転登録もできない。そのようなできない手続との引換給付を求めることは、信義則に反するというわけである。
結論は至極真っ当だ。
判決文には書かれていないが、シボレーを二台、何者かが接合したということは、少なくとも接合された側の車両は盗難車両なのであろう。
補足意見で、買主への移転登録手続を抹消すれば足りると指摘されている。それができるのなら、それとの同時履行はできないのかという点が疑問ではある。
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