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ROKのイカれたクーデター計画の実態:戒厳令を正当化する為にDPRKを攻撃せよ(抄訳)

2024/12/14のベン・ノートン氏の解説動画の抄訳。多少補足した。12/03にROKで起きた軍事クーデター未遂の顛末とその背景、そしてそれが今日のより大きな地政学的状況に於て持つ意味。

 ROKコンプレックスを慢性的に患っている日本のネトウヨはここぞとばかりに「やっぱり韓国は民主主義じゃない、日本よりも劣った国だ」と欣喜雀躍しているが、これは目クソが鼻クソを嗤う様なもので、日本もまたROK同様に米帝の属国であり捨て駒であり、ROKは日本よりも若干前線に近いことを思い出しておくべきだろう。日本で軍事クーデターが起こらないのは、自国の属国化に危機感を募らせている日本人が少ないからだと言えなくもない。その意味では、米帝の傀儡がクーデターを起こさねばならない程、帝国の覇権にとって民意が脅威となっているROKと、今も米帝の傀儡政党が半ば愛想を尽かされつつものうのうと政権を握っていて大きな反対運動が起こらない日本と、果たしてどちらがより「民主的」な国だと言えるのかは議論の余地が有るだろう。ROKは過去にヴェトナム、アフガニスタン、イラクと、3回も自国の若者達の命を帝国の祭壇に捧げているが、米占領軍問題が今だに沖縄の基地問題や治外法権問題に限定されている日本と違って、ROKの方が多少は自国の主権に関する問題意識が発達しているのかも知れない。だがそれも、今だに米国の占領軍に自国を支配することを許していないDPRKには及ぶべくも無い。
South Korea's insane coup plot exposed: Attack North Korea to justify martial law




 2024年12月は地政学的にクレイジーな月で、多くの人はシリアで米国とトルコとイスラエルの攻撃によってシリア政府が打倒されたことに注目しているが、ROK(大韓民国/南朝鮮)では親米の現役大統領が軍事クーデターを起こし、政敵を逮捕し、戒厳令を発して、民主主義を停止して自らの軍事独裁を正当化する為にDPRK(朝鮮民主主義人民共和国/北朝鮮)との戦争まで引き起こそうとした。

 これはその重要性の割に注目が集まっていないので、ここでその詳細を説明する。



 ROKの立ち位置

 ROKは現在地球上で最も米国に近い同盟国のひとつであり、米国から確固とした支持を得ている右派の尹錫悦大統領が率いている。彼はトランプに近しく、自身のことを「一種の極右ポピュリスト」と称しているが、バイデンはそんなことは気にしていない。
 
 尹はワシントンの外交政策支配層のお気に入りだが、それはこの独裁的指導者がDPRKや中国に対して強硬姿勢を取り、日本との関係改善を図っているからだ。

 西洋の情報空間では、ROKと日本は中国の邪悪な権威主義体制に敵対する忠実な民主主義同盟国だと云うことになっている。

 だがROKが民主主義を採用したのは1988年になってからだ。それ以前は殆どが、米国が支援する軍事独裁制の連続だった。同様に日本もまた根本的に一党支配の国であり、極く短期間の例外を除いて、1955年以来右派の自由民主党が率いて来た(「55年体制」と呼ばれる)。つまりアジアに於ける米国の最も緊密な同盟諸国は2つとも非民主主義国なのだ。

 だが米国はそんなことにはお構い無く、両国を正式な三国軍事同盟に引き込もうとしており、近年のワシントン最大の敵である中国を孤立・弱体化させる為に、両国を利用しようとしている。



 次々明らかになるイカれたクーデター計画の実態

 米国国営メディアは「ROKの指導部危機は、米国の中国への対抗努力を危うくする」と不満を述べているが、これは「指導部危機」などではなく軍事クーデターだ。

 尹が2024/12/03に仕掛けたクーデターは、益々そのイカれた実態が明らかになって来ているが、前国防相の金龍顕は、戒厳令を正当化する為に、DPRKに戦争を仕掛けることまで計画していたと報じられている。

 具体的には、DPRKがゴミの入った風船を飛ばした場所を攻撃し、平壌に無人ドローンを飛ばすと云うものだ。この風船と云うのは、元々ROKの方がプロパガンダ資料を満載した風船を非武装地帯を超えてDPRKの領内に送り込んだことを受けて、DPRKが報復としてゴミの入った風船をROK領内に送ったことを指している。これは明らかに攻撃を意図したものではなく、皮肉を返したに過ぎないのだが、ROK国防相はこれを口実として、DPRKに軍事的挑発を仕掛けることを企んでいた。実際10月にDPRKは、ROKが非武装地帯を超えてドローンを飛ばして来ていると非難している。当時西洋のマスコミはこれはフェイクニュースだと主張したが、結局これは事実だった訳だ。

 また尹は戒厳令を宣言した際、野党議員達がDPRKの工作員として活動していると主張した。野党も与党も議員達は夜中に議会に集まって戒厳令を撤回する投票を行ったが、その一方で、軍にはその議員達を「引き摺り出す」よう命令が下されていた———これは何十人もの将軍や軍高官が証言している。軍は議会への道を物理的に封鎖したが、議員達は文字通り壁を乗り越えて中に入って投票を決行した。

 尹は逮捕すべき議員達のリストを作っていたが、その中には野党だけではなく、彼自身の政党の指導者まで含まれていた。中でも最大野党「共に民主党」代表の李在明は、「中国寄り」だとして非難されている。ROKの国家情報院副長官に拠ると、大統領は「この機会を利用して彼等を逮捕し、一掃しようとした。」米国はこの犯罪を支持しているが、それは尹が反中国であり、これは「中国寄り」の政敵達を片付ける良い機会だからだ。
 
 それだけではない。もっとイカれたことも企まれていた。ニュース・サイトのブルー・ルーフはこう報じている。

 「軍は、李在明を含む主要な自由主義指導者達を逮捕する為、戦争の際にDORKの主要指導者達を暗殺することを主な任務とする特殊部隊HID部隊を派遣した。彼等は通常は非武装地帯付近に居るが、12/03はソウルの直ぐ外側に居た。」

 更に

 「HID部隊はROKの軍服を着用しておらず、その代わり偽のDPRKの軍服を与えられた。計画では、HID部隊に李達を暗殺させ、それが失敗した場合は、『救出』したROK兵士達に、李とHID部隊の両方を殺害させる手筈になっていた。」

 つまり尹はDPRKを偽装した偽旗作戦により政敵を暗殺し、それが失敗した場合はプランBによって政敵と実行犯部隊の両方を抹殺することを考えていたのだ。これが成功すれば、どちらにせよ責任は全てDPRKに負わせることが出来る。

 更にイカれた話として、クーデターが失敗した後で、金前国防相はソウル東部拘置所に拘束されていたが、彼はそこのトイレで自分の下着の紐を使って自殺を図った。これは彼の逮捕が発表される数分前のことだった。

 また、クーデター未遂は余りに突然のことで世界中を驚かせたが、これは事前に入念に計画されていた証拠が次々浮上している。軍の高官達はクーデターの数日前から、「北朝鮮による差し迫った挑発」に警戒するよう命令を受けていた。

 更に9月の時点で、尹がクーデターを企んでいるのではないかとの噂が出回っていた。当時「共に民主党」が戒厳令について心配していることは大統領府や与党やメディアによって、証拠が無い単なる憶測だ、「イカれた陰謀論」だと却下されたが、実際に起こったのは正に野党が懸念していたことだった。

 

 クーデターの動機

 では何故尹は何ヵ月も掛けてクーデター計画を練っていたのか?と当然誰もが疑問に思う。

 その理由は幾つか考えられるが、彼は極めて人気が無く、腐敗問題で訴追に直面していた。

 尹と彼の妻、そして何人かの彼の政治的同盟者達は、贈賄や納税逃れの容疑で捜査の対象となっていた。

 また尹は大統領としては死に体(レームダック)であって、彼の右派の「国民の力」党は議席を1/3ちょいしか占めていない少数与党だった。彼が大統領に当選した時も、過半数の票は得ていない。2024年4月の時点で野党が地滑り的勝利によって議席の2/3を占めてしまった為、尹は基本的にどんな法案も通過させることが出来なくなった。

 また尹は極めて人気が無く、クーデター直前の支持率は僅か17%だった。実のところ2022年に大統領に就任して2ヵ月で支持率は30%台にまで落ち込んでおり、その後回復することは無く、2024年12月の時点で不支持率は80%を超えていた。クーデター失敗後には、支持率は11%と云う過去最低記録を打ち立てた。今だに彼を支持しているのは一部の極右か、非常に裕福なオリガルヒ達だけだ。




 財閥が支配するROKの実態

 彼が不人気だった理由のひとつは、彼の政策が労働者階級の大多数の利益に反するものだったからだ。彼は一部の極く少数のエリート階級の為に国を動かしていた。2024年1月には、企業は従業員に1日21.5時間働かせることが出来る様になった———これは書き間違えではない、1日21.5時間労働がROKでは許されるのだ。


 現在の法律では、労働時間は週52時間までと定めている。だが労働界は、この制度には抜け穴が有って、最大で週90.5時間、1日21.5時間まで働くことになる可能性が有ると指摘している。

 世界の殆どの人が、ROKのこうした側面について知らない。彼等はROKを、富裕な国、先進的なテクノロジーを持つ産業化が進んだ自由な国だと思っている。だが現実には、ROKは極く一握りの企業オリガルヒによって支配されている。ROKは建国当時から1987年まで、右派の軍事独裁制によって統治されて来た。最初に選挙が行われたのは1988年になってからだ。そしてROKは一応選挙で選ばれた政府を持っていると云うことになってはいるが、その体制は正にオリガーキー(寡頭制)的な特徴を持っている。

 ROKの経済は、「재벌(チェボル)」と呼ばれる財閥、即ち家族経営の大規模企業コングロマリットによって完全に支配されている。彼等の富は余りに桁外れなので、その影響は国内の生活のあらゆる側面に及んでいる。過去15年間、五大財閥の売り上げを合計すると、ROKのGDPの半分以上に匹敵し(2012年には70%)、「彼等のビジネスはROK人の生活の至るところにまで浸透している———病院や生命保険、アパート複合施設やクレジットカード、小売店、食料やエンターテインメイトやメディア、エレクトロニクスについては言うまでも無い。」

 財閥は政治家達と親密な関係を築き上げており、政治システムを動かすのは基本的には彼等だ。だからROKは現実には民主制ではなくて企業寡頭制だ。一応選挙で指導者を選ぶと云うことにはなっているが、その幻想が最早維持出来なくなった今、選ばれた指導者自身が民主主義を転覆しようと試みた訳だ。



 米国の属国としてのROK

 では最も緊密な同盟国のひとつが民主主義を解体して軍事独裁制を打ち立てようとしたことに対する米国の反応を見てみよう:ダンマリだ。米国政府は尹の所業について批判するどろこか何も言わない。単に、我々はROKを支持する、我々はROKの法律を支持する、彼等は法を遵守して国内の論争を解決すべきである、云々………とお茶を濁して、米韓日が協力する必要性を強調しただけ。米国が支援する指導者が軍事独裁制を作ろうとしたことについて、一言の批判も無い。

 何故だろうか? それはROKが最も緊密な米国の同盟相手であり、基本的には1945年以来、米軍に占領されているからだ(日本と同じ様に)。

 実のところ、ROKは自国を占領する米軍の費用を賄ってやらなければならない(日本と同じ様に)。ロイターの報道では、2024年時点でROKに駐留する米軍は28,500人だが、ROKは1990年代から、米軍配備のコストを分担している(軍事施設で雇う労働者への支払い、軍事施設の建設、物流支援等)。自分達の占領者を自分達で賄ってやる———これが米国が言う「自由」の中身だ。

 驚いたことに、元駐韓米国大使ドナルド・P・グレッグは1989年に上院外交委員会の公聴会で、実際にROKを「クライアント(client)」と呼んだことが有る。

 「我々の関係が何年も掛けて進化するにつれ、、それはパトロンとクライアントの関係から離れて来ました。」

 つまり米国は公式の場でROKを属国(cliant state)として扱っていることを認めたのだ。

 米国は1987年まで何十年もの間、ROKの一連の右派軍事独裁制を一貫して支持して来た。だから今の独裁的指導者を支持したとしても何等驚くべきことではない。

 2023年に尹は米国を訪問して議会でスピーチを(英語で)行い、「民主主義」について一席ぶった。

 「ROK(元の演説では「South Korea」ではなく単に「Korea」と呼んでいる。つまり「North Korea」と云う国など存在しない、と云うスタンスを表明している)と米国は、世界中で自由と民主主義を守る為に力を合わせて来ました。第2次世界大戦以降、ROKは自由の戦士達を派遣して来ました。我々は米国と肩を並べて、アフガニスタン、イラク等で戦いました。」

 つまり尹はROKが米国のイラクとアフガニスタン(それにヴェトナム)に対する侵略戦争を手伝ったことを自慢している。つまり彼の言う「自由と民主主義」とは、米国が他国を侵略するのを助けることらしい。

 この独裁者は更に偽善的な「お前が言うな」発言を行っている。彼の実際のスピーチから引用しよう。

 「我々の民主主義は危険に曝されています。世界の多くの場所で、虚偽のプロパガンダや偽情報が、真実と世論を歪めています。それらは民主主義を脅かしています。………その様な全体主義的勢力は、隠蔽と偽装によって、自らが民主主義のや人権の守護者であるかの様に見せ掛けるでしょう。………ですが現実には、彼等は自由と民主主義を否定します。………我々は力を合わせて、力と欺瞞に訴える勢力と戦わねばなりません。彼等は民主主義と法の支配を破壊しようとしています。」
WATCH: South Korea’s Yoon warns disinformation threatens democracy around the world


 さて尹はクーデターが失敗すると戦術を変え、「北朝鮮の工作員」の代わりに「中国のスパイ」を非難し始めた。戒厳令を発したのは、ROKを脅かす「中国のスパイ達」を取り締まらねばならなかったからだと云うのだ。

 つまりここでも、米国が独裁者を非難しないのは、彼が米国に忠実であり中国を弱体化させる米国の取り組みの代理人であるからだと云うことが再確認される。自分達の役に立つ限りは独裁者だろうが軍事クーデターを起こそうがどうでもいいのだ。

 ワシントンDCのシンクタンクの論文はこの点を率直に書いている。彼等は中国を孤立させる為に尹を利用したいのだ。この点は共和党も民主党も意見が一致している。米国は超党派で、中国を孤立させる為に極右の反民主的指導者達と力を合わせるべきなのだと。これが新冷戦の基本戦術だ。

 ワシントンの多くの人が尹のことが大好きなのに対して、前述の野党指導者の李在明のことは嫌っている。彼等は李が中国に対して「ソフト過ぎる」と見做している。李の「共に民主党」は左派ではなく、精々中道左派と云ったところなのだが、彼等は中国やDPRKを挑発して紛争を起こすことは望んでいない。親米反中の極右と違って、彼等は平和と安定を望んでいる。李は米国と日本と軍事同盟を結ぶことは「不必要」であるとまで言っており、彼はROKがもっと「プラグマティック」に振る舞うことを望んでいる。

 李のこのプラグマティックな姿勢を理由に、尹の極右親米与党「国民の力」党は李が中国に対して「卑屈な」態度を取っていると非難した。

 李は米国との同盟を解消しろとか、米占領軍を追い出せとか言っている訳ではない(ROKの本物の左派/革命的左派/反帝国主義左派はそう主張しているが)、彼に単にROKを独立させていたいだけだ。彼は穏健派だが、完全に米国の傀儡である訳ではない。だから彼は「中国に対して卑屈」だなどと中傷されるのだ。

 これに絡んでROKの親米保守はSNSで大量のフェイクニュースや偽情報を流している。彼等は例えば李達が毛沢東の胸像の前に平伏している写真を合成して拡散させた。御主人様の米国に忠実な極右はこの種のガキっぽい冷戦プロパガンダが大好きだ。



 日本の植民地支配の過去は美化される

 地政学的に言って、もうひとつのキー・プレイヤーは日本だ。ROKの右派は親米であるだけではなく親日でもあるが、これは多くのROKを怒らせている。ROKにとって日本は、欧州に於けるナチスドイツ(当時日本は実際にナチスドイツの同盟相手だった)の様なものだからだ。日本は朝鮮を植民地化し、数々の残虐な人道に反する罪を犯した。

 ところが大統領に就任すると、尹は米国と日本への接近を始め、戦時中の日本の強制労働の犠牲者達への賠償を支払うことにすら同意した。「1910〜45年、日本は朝鮮半島を植民地支配していた為、戦争中は約15万人の朝鮮人が日本の工場や鉱山で強制労働させられた」が、尹はこれらの日本の植民地犯罪に関して、ROKが日本の代わりに被害者達への賠償を行ってやると請け合ったのだ。

 ROKの活動家達は何十年も、日本が朝鮮人を奴隷にして搾取したのだから、日本が賠償を払わなければならないと言い続けて来た。ところが尹は曾ての植民地支配者である日本との関係を改善する為に、自国民の税金を使って日本からその責務を免除してやった。勿論これは一般市民の間では非常に不評なのだが、尹が見ているのは自国民ではなく、ワシントンに居る御主人様達の顔色だ。

 親米親日右派による歴史の改竄はこれだけに止まらない。2023年にはROKの軍事学校が、キャンパス内に設置されていた朝鮮独立運動の英雄達の胸像を撤去し、満州で大日本帝国に仕えた将軍の胸像に置き換えた。その理由は、日本に対して祖国解放の為に戦った英雄達は共産主義者や社会主義者だったからだ。ところが右派はこの歴史を抹消し、朝鮮を植民地化した大日本帝国を美化することによって、米国に媚びようとしているのだ。



 米国は中国とDPRKに戦争を仕掛けたい

 一方また尹政権はROKをNATOに統合する為に、NATOへの接近を続けて来た。NATOは「北大西洋条約機構」なので、太平洋に面したROKがこれに加わる道理は無いのだが、尹は気にしていない。尹政権下でROKは初めて(第1次石破内閣下の日本もだが)、NATOの国防閣僚会議に出席している。これはつまりROKと日本は、ウクライナの様にNATOの非公式のメンバーになったと云うことだ。

 では何故米国はROKをNATOに統合したいのだろうか? それは明らかに、中国とDPRKを相手取った戦争に備える為だ。

 2024/04/10、米欧州軍司令官兼NATO欧州連合軍最高司令官、クリストファー・G・カヴォリ将軍は下院軍事委員会で証言した。彼は「敵国の枢軸(axis of adversaries)」と云う言葉を発明し、中国、イラン、DPRK、ロシアをこの4ヵ国に指定した。

 2024/08/20にはニューヨーク・タイムズが、ロシア、中国、DPRKとの核対決に備えるよう、バイデンが米軍に命令を出したと報じている。

 2023年には米国は原子力潜水艦をROKの釜山港に派遣しており、これはROK国内で多くの反発を招いた。平和活動家達はこれが新たな軍拡競争やエスカレーションに繋がるリスクを懸念している。

 恐ろしいのは、米国が戦争を煽る一方で、核戦争が起こっても結構だと考える人が相当数居ることだ。2019年に英国の企業が行った世論調査に拠ると、米国人の1/3は、それで百万の罪の無い人々が殺されることを知りながら、米軍がDPRKに対して先制核攻撃を仕掛けることを支持している。これは正にイカれているとしか言い様の無い衝撃的な結果だ。これは勿論彼等が何十年にも亘って洗脳されて来たからだが、彼等は「北朝鮮の人々は洗脳されている」と洗脳されて来た訳なので、皮肉としか言い様が無い。

 ひとつ言っておかなければならないのは、DPRKの軍事予算は、ニューヨーク市警の予算よりも少ないと云うことだ。若しNY市警が軍隊だったとしたら、それは世界で20番目に潤沢な予算を持っている軍隊になる。

 DPRKは確かに核兵器を持っているが、それは彼等が怖がっているからで、その目的は抑止だ。DPRKは自国の存亡が脅かされる様な時でなければ核兵器を使わないと明言している。DPRKはどの国も攻撃する計画は持っていないし、1953年に朝鮮戦争(朝鮮人公の5人に1人以上が殺された)が一時停止してからは、(ROKと違って)如何なる戦争にも関与して来なかった。

 残念なことに西洋では、人々は基本的にDPRKについて全く何も知らない。狂った邪悪な国家だとしか聞かされていないからだ。そして人々は屢々「忘れられた戦争」と呼ばれる朝鮮戦争についても殆ど知らない。この戦争では300万〜400万の朝鮮人が殺されたが、その70%は民間人だった。歴史家のブルース・カミングスは、「DPRKはアメリカの爆撃を、ホロコーストとして見ている」と指摘している。

 ワシントン・ポストの様な主流派のメディアでさえ、DPRKが米国に向ける敵意は事実に根差したものであり、米国は平然とそうした事実を忘れ去るが、DPRKは決して忘れることは無いと指摘している。米国の指導者達でさえ、米空軍による爆撃が如何に無慈悲で無差別なものであったかを認めている。カーティス・ルメイ将軍(東京大空襲や原爆投下を指揮し、後に日本国から勲一等旭日大綬章を授与された戦争犯罪者)は1984年にこう発言している(正確な発言全文とされるものはこちら):

 「3年かそれ以上の間に、我々は、そうだな———人口の20%を殺してやった。」

 後の国務長官ディーン・ラスクは、米国は「北朝鮮で動くもの全て、積み重なったレンガ全て」を爆撃したと述べている。

 米軍はまた水力発電所や灌漑ダムまで破壊したが、これは農地に洪水を引き起こし、穀物を破壊した。

 「爆撃の残虐性は人種差別的で正当化不能であると世界中の他の場所では批判されているものの、これは米国本土では大した話題にはならない。」

 従ってDPRKが米国に対して、ヨーロッパ人がナチスドイツに向けるのと同じ様な眼差しを向けるのは、全く不思議なことではない。米国はDPRKに対して、ナチスドイツがヨーロッパに対してやった様なことをしたのだ。

 だが歴史を振り返り、他の人々の目から物事を捉え直して、その人達の視点を理解する作業に関して、残念なことに西洋の多くの政治家達は、正にその正反対のことばかりしている。米国だけではない。例えば英国の国防相は、西洋全体が次の5年で、ロシア、中国、イラン、DPRKを相手取った戦争に備えるべきだと発言している。全く正気とは思えない発言だ。



 まとめ

 今日、世界は非常に危険な状況に置かれている。各地で様々なイカれた出来事が起こっており、次に何が起こるのかは誰にも分からない。だが我々は今回取り上げた様なこうした重要な諸問題について、分析と報道を提供し、今何が起こっているのかを人々が理解する手助けをすることを約束する。
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プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

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