ゴラン高原とジニー・エナジー
シリアのゴラン高原は1967年の6日間戦争(第3次中東戦争)の際、イスラエルがエジプトとヨルダンを破った後でシリアから奪った土地だ。ここには肥沃な土地と水資源が有る。
国連は安全保障理事会決議242号やそれ以降の幾つかの決議でイスラエルの撤退を求めたが、イスラエルは自国民を送り込んでゴラン高原の植民地化を進め、1981年にはゴラン高原の大部分(約1,200平方km)の併合を一方的に宣言した。
2011年にイスラム過激派と繋がる代理勢力を利用した米英やその湾岸の同盟諸国によるシリア侵略戦争が始まると、イスラエルはゴラン高原への関心を再び高め、2013年にイランがシリア政府側で介入すると、シリアへの爆撃を始める様になった。
それと同時に、石油不足に悩んでいたイスラエルはゴラン高原での初の掘削許可(3年予定)を、ジニー・エナジー(Genie Energy)と云う企業に与えた。
環境団体や地元の団体は、掘削によってゴラン高原の田園地帯やその下のガリラヤ湖(イスラエルの飲料水の大部分の水源)が汚染されるのではないかと懸念し、人権団体は、ゴラン高原は占領地なので掘削は国際法に違反していると非難したが、こうした抗議は成果を挙げなかった。
2015年、ジニー・エナジー系列の子会社である石油・ガス探査会社アフェクは、ゴラン高原に「数十億バレル」の石油と天然ガスが眠っていることを突き止めた。発見された油層の厚さは350mで、これは世界中の平均的な厚さの10倍に相当する。
同社の2014年の報告書に拠ると、ゴラン高原の地下に眠るものはイスラエルのエネルギー自立を可能にし、「非友好的な資源への依存から脱却し、自由世界のエネルギー供給の多様化に貢献する」可能性が有ると考えている。
ジニー・エナジーの戦略諮問委員会には錚々たるメンバーが名を連ねている。
・ディック・チェイニー(元米副大統領)
・ルパート・マードック(メディア王)
・ジェイムズ・ウールジー(元CIA長官)
・ラリー・サマーズ(元米財務省長官)
・マイケル・スタインハート(ヘッジファンド・マネージャー)
・ジェイコブ・ロスチャイルド(投資銀行家)
・メアリー・ランドリュー(元米上院議員)
彼等はイスラエルの国際法違反や人道犯罪のことを全く気にしていないらしく、アフェクはゴラン高原はイスラエル国の一部であると主張している。
また、マードックは2013年に、「イスラエルは、混乱と過激主義に悩まされている地域に於ける民主主義の最大の同盟国です」と発言している。
ゴラン高原のノヴ入植地に住むジニー・イスラエルの会長エフィー・エイタムは、元軍司令官で国家宗教党のメンバーだが、彼はイスラエルのパレスチナ市民を、イスラエルに癌を引き起こす「時限爆弾」だと発言している。また2004年のインタビューでは、パレスチナ人は「暗闇の深淵から現れた生き物」であり、「我々は連中を全て殺さなければなりません」とも述べ、「これは余り外交的ではないことは承知しています。パレスチナ人全員ではなく、頭の中に悪意を持っている連中のことを言っているのです」と付け加えた。
イスラエルはゴラン高原の防衛を強化したが、同時にシリア侵略の首謀者である米国は不法に米軍を送り込み、シリア国土の30%を占領し、石油資源と農産物が豊富な北東部を占領した。戦前はここでの石油生産は国内の約90%を占めていた為、これはシリアにとっては大打撃だった。
米国の石油会社とそのロビイスト達は何十年もの間、ゴラン高原はシリアが統治している方が自分達の利益になると考えて来たが、シリアでの侵略を始め、2015年にそこにロシアが介入する様になると、イスラエルの影響力が強まった。
2019/03/22、トランプ大統領はゴラン高原に対するイスラエルの主権を完全に認めるとツイートした。イスラエルのネタニヤフ政権は即座にこの発表を歓迎した。彼の政敵達すらこれを歓迎した。
シリアのゴラン高原から得られる利益は、シリア人民の利益にはならず、イスラエル人民の利益にすらならず、ジニー・エナジーが掻っ攫うことになる。
国連は安全保障理事会決議242号やそれ以降の幾つかの決議でイスラエルの撤退を求めたが、イスラエルは自国民を送り込んでゴラン高原の植民地化を進め、1981年にはゴラン高原の大部分(約1,200平方km)の併合を一方的に宣言した。
2011年にイスラム過激派と繋がる代理勢力を利用した米英やその湾岸の同盟諸国によるシリア侵略戦争が始まると、イスラエルはゴラン高原への関心を再び高め、2013年にイランがシリア政府側で介入すると、シリアへの爆撃を始める様になった。
それと同時に、石油不足に悩んでいたイスラエルはゴラン高原での初の掘削許可(3年予定)を、ジニー・エナジー(Genie Energy)と云う企業に与えた。
環境団体や地元の団体は、掘削によってゴラン高原の田園地帯やその下のガリラヤ湖(イスラエルの飲料水の大部分の水源)が汚染されるのではないかと懸念し、人権団体は、ゴラン高原は占領地なので掘削は国際法に違反していると非難したが、こうした抗議は成果を挙げなかった。
2015年、ジニー・エナジー系列の子会社である石油・ガス探査会社アフェクは、ゴラン高原に「数十億バレル」の石油と天然ガスが眠っていることを突き止めた。発見された油層の厚さは350mで、これは世界中の平均的な厚さの10倍に相当する。
同社の2014年の報告書に拠ると、ゴラン高原の地下に眠るものはイスラエルのエネルギー自立を可能にし、「非友好的な資源への依存から脱却し、自由世界のエネルギー供給の多様化に貢献する」可能性が有ると考えている。
ジニー・エナジーの戦略諮問委員会には錚々たるメンバーが名を連ねている。
・ディック・チェイニー(元米副大統領)
・ルパート・マードック(メディア王)
・ジェイムズ・ウールジー(元CIA長官)
・ラリー・サマーズ(元米財務省長官)
・マイケル・スタインハート(ヘッジファンド・マネージャー)
・ジェイコブ・ロスチャイルド(投資銀行家)
・メアリー・ランドリュー(元米上院議員)
彼等はイスラエルの国際法違反や人道犯罪のことを全く気にしていないらしく、アフェクはゴラン高原はイスラエル国の一部であると主張している。
また、マードックは2013年に、「イスラエルは、混乱と過激主義に悩まされている地域に於ける民主主義の最大の同盟国です」と発言している。
ゴラン高原のノヴ入植地に住むジニー・イスラエルの会長エフィー・エイタムは、元軍司令官で国家宗教党のメンバーだが、彼はイスラエルのパレスチナ市民を、イスラエルに癌を引き起こす「時限爆弾」だと発言している。また2004年のインタビューでは、パレスチナ人は「暗闇の深淵から現れた生き物」であり、「我々は連中を全て殺さなければなりません」とも述べ、「これは余り外交的ではないことは承知しています。パレスチナ人全員ではなく、頭の中に悪意を持っている連中のことを言っているのです」と付け加えた。
イスラエルはゴラン高原の防衛を強化したが、同時にシリア侵略の首謀者である米国は不法に米軍を送り込み、シリア国土の30%を占領し、石油資源と農産物が豊富な北東部を占領した。戦前はここでの石油生産は国内の約90%を占めていた為、これはシリアにとっては大打撃だった。
米国の石油会社とそのロビイスト達は何十年もの間、ゴラン高原はシリアが統治している方が自分達の利益になると考えて来たが、シリアでの侵略を始め、2015年にそこにロシアが介入する様になると、イスラエルの影響力が強まった。
2019/03/22、トランプ大統領はゴラン高原に対するイスラエルの主権を完全に認めるとツイートした。イスラエルのネタニヤフ政権は即座にこの発表を歓迎した。彼の政敵達すらこれを歓迎した。
After 52 years it is time for the United States to fully recognize Israel’s Sovereignty over the Golan Heights, which is of critical strategic and security importance to the State of Israel and Regional Stability!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) March 21, 2019
シリアのゴラン高原から得られる利益は、シリア人民の利益にはならず、イスラエル人民の利益にすらならず、ジニー・エナジーが掻っ攫うことになる。
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