クリスマスの日にシリアから届いた声:「私達全員が敗北しました」(抄訳)
2024/12/27のリック・スターリングと「クサイ」両氏の記事の抄訳。一人のシリア人観察者によるダマスカス陥落後のシリアの様子の報告。BBCの様な西洋のプロパガンダ機関は「首都ダマスカスでは、盛大なパーティーが催され、人々が陽気に新年を祝った」などと報じているが、問題は御用メディアが報じない事実の方だ。シリア人はこんな目に遭わなければならないどんな罪深い所業を行ったと云うのだろうか。帝国の最大の輸出品は、「自由と民主主義」とラベルの貼られた地獄だ。
A Voice from Syria on Christmas Day: “All of us are lost.”
以下は、ダマスカスに居る友人のクサイ(本名ではない)との話し合いから得た重要なポイントだ。彼は翻訳者、大学教授だ。
シリアの状況は変化し続けているが、西洋メディアの報道とは食い違う残虐行為を見たければ、ジャーナリストのティム・アンダーソンのXアカウント@TimAnd2037を見て欲しい。
シリアは世俗主義
「私はイスラム教徒ですが、クリスマスを祝います。シリアは世俗主義の国です。私達は他の全ての宗教や宗派を祝います。………私達は愛、犠牲、平和等から学ぶからです。ですから、これは私達の伝統と言えるものなのです。これが終わらないことを願います。」
ダマスカスの状況
「アサドが発った後の最初の4日間は混乱、略奪、窃盗でした。その後、ダマスカスには一種の平和が訪れました。
ですが今日、状況は再び非常に危険になっています。」
アレッポの状況
「アレッポでは、少数派の宗教施設のひとつが禁止されました。この所為でデモが起きましたが、2人が殺されました。公判前審理が行われましたが、昨日は帰宅途中の裁判官3人が殺されました。
状況は悪化しています。一部の人々達は今やこう言っています:『我々は人々を武装させるつもりだ。あなた達は我々を守ることが出来ない。あなた達は我々の敵だ。』これが今日の危険な状況です。」
夜間外出禁止令
「12時間の夜間外出禁止令が出ています。外出は禁止されています。
以前は、物事は落ち着いていて静かなものでした。ですが今日では違います、物事は悪化しています。制御不能にならないことを願っています。」
食料、電気、燃料
「アレッポでは、1日30分か1時間しか電気が通っていません。
アレッポでは当初、新しい支配者達が発電機を持ち込み、2、3日はもっと電気が通っていました。彼等がシリア全土を占領するまでは。
今では、人々は滅多に電気を使えません。
私はダマスカスの良い地域のひとつ、ドゥマールの公営住宅に住んでいます。電気は12時間毎に1時間、1日2時間しか通っていません。
食料価格は最近は下がりました。ですが多くの人はお金が無く、支払うことが出来ません。
新政府は、シリアでは人々は給料を前払いで貰っていたので、今月の給料は貰えないと言いました。12月の初めに既に給料を貰っているのだから、給料は出さないと言ったのです。
だからこの所為で人々は今、本当に飢えています。
交通費は4~5倍に値上がりしました。多くの人々にとって、仕事に行く価値は殆ど有りません。新指導部は、現在これを調査しており、給料を3~4倍に引き上げる予定だと言っています。
ですが私達の見るところ、これらは全て人々を落ち着かせる為の偽りの試みに過ぎません。彼等はシリアの残りの地域を占領する前に、アレッポの人々にここは楽園だと約束しました。彼等は人々に月額250米ドル相当の給料を与えると言いました。これは大増額だったので、人々は大変喜びました。
さて、シリアの残りの地域を占領した後、彼等は、OK、我々にはやらなければならないことが沢山有るからこれは出来ない、給料については調べて様子を見ることにする、と言ったのです。」
シリア産業への脅威
「トルコ製品の流入が今、シリア産業を脅かしています。トルコ製品はより低価格、より良い品質でシリアに入って来ています。
シリアの産業は、西洋の制裁、燃料や電気の高騰、その他の要因によってダメージを受けています。ですからトルコの産業と競争することは出来ません。
丁度昨日、業界の或る指導者が新政府に、輸入品に課税するよう要請しました。シリアの産業には何等かの保護が必要です。ですから今後どうなるか私達には分かりません。シリアでは噂が至る所で飛び交っています。」
治安
「これまでのところ、警備員はHTSから来た人達だけです。非常に少数です。
最近、以前の兵士や警官達に復帰するよう発表が行われました。新指導部は、以前に採用された兵士や警官全員と和解すると述べました。彼等はこれらのセンターに行って、あなたが反政府派に犯罪や拷問等を行っていないと確認出来たら、新しい警察スタッフに採用すると言いました。どうなるか見てみましょう。」
大学
「彼等は大学の名前を他の名前に変更しました。バース党やアサドに関連するものを全て他の名前に変えたのです。
公立大学は現在開いています。毎日、大学内で昼間の祈りが行われています。彼等は全ての講義を中止し、この祈りを行い、全ての人々が集まって祈ります。ですが祈るかどうかは自由です。参加は強制ではありません。
ええそう、今のところイスラムのルールは強制されていません。例えば、女性はヒジャブやスカーフ無しで街に出ることが出来ます。
私立大学は略奪され、授業は延期された儘です。授業は01/04に再開される予定です。」
西洋と同盟諸国がダマスカスにやって来る
「新しい統治者達は世界中から代表団を迎えています。ですが今のところ、ここから良いことは何も生まれていない様です。
人々の忍耐は限界に近付いています。裕福な国々が私達の所にやって来ても、誰も燃料や石油、必要な物資を持って来ないのです。
早急な解決策が無いのに、何故彼等は来るのでしょう? 米国、カタール、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン、その他多くの国々から代表団が来ています。人々はこう言います、OK、今こうした関係を持つのは良いことだが、その効果は如何程のものか? 何故何も変わらないのか?」
シリア人は帰国するのか出国するのか?
「多くの友人達が、国を出られる様になったら直ぐに出発すると言っています。イスラエルがシリア領土に進出している今、彼等は状況が非常に暗いと見ています。
そして残念ながらイスラエルがシリア軍の軍事能力を全て破壊してしまったので、今や私達には抵抗する力が有りません。
ですから人々は、状況が良くならないことを知っています。人々は非常に恐れています。多くの人は仕事に行くお金も、赤ちゃんに食事を与えるお金も、何もするお金も有りません。
国外から人々は戻って来ているのか? これは難しい質問です。当初、約2万人のシリア人がトルコから村に戻ったと推定されていました。トルコはシリア人の帰還を促しています。これはプログラム全体の一部です。ですが他のシリア人達は去りました。特にシーア派イスラム教徒。
私は大勢知っています、特に兵士だった人達。彼等は自分達の身の安全を恐れてレバノンに去りました。」
何故シリア軍は崩壊したのか?
「これについては本当のデータがないので、謎です。アサドはロシアから、もう彼を守れないと知らされたと言う人も居ます。そこで彼は軍に、降伏すべきで反撃する必要は無いと伝えたとか。色々な話が有ります。
どれが真実なのでしょう? 残念なこと、アサド大統領は声明を何も残しませんでした。率直に言って、人々は大変腹を立てています。」
アサドの出国に対する国民の反応
「バシャール・アル=アサドが国を去ったことを知った時、兵士達は国の為に戦っていました。これは彼の側からすれば無責任な話でした。彼を頼りにし、彼を信じていた人達が居たのに、突然彼は全てを捨てたからです。少なくとも彼は国民に対し、私は去る、あなた方は降伏してもいいと告げるべきでした。彼は本当に人々を敵に回しました。彼は兵士や高官、その他の誰にも、自分が去ることを警告しませんでした。
もうひとつ、セドナヤ刑務所からの映像は本当に恐ろしいものでした。そして、これが全ての人々が政権を敵に回した理由です。セドナヤ刑務所からの生中継映像が流れたからです。ですから彼等はこの生中継を見たのです。何故これらの人々を拷問しなければならないのでしょう?
それで、このふたつのことが有って、人々は彼を敵に回したのです。
アレッポが陥落した時、彼は全く声を上げませんでした。全く姿を現しませんでした。彼は全く人々を励まそうとしませんでした。我々はアレッポを取り返す、とは一度も言いませんでした。普通の人なら誰でも何か言うものでしょう。ですが彼は象牙の塔に住んでいました。
トルコ外相の話では、彼等は陥落の2日前に彼に連絡を取り、交渉する為に話をしたかったそうです。ですが彼は拒否しました。
何故彼がこれらの過ちを犯したのかは私には分かりません。彼の過ちによって、全てが失われました。
人々に何も言わずに去るなんて。彼がシリア人を団結させてくれると信じて命を失った人々、子供達を犠牲にした人々に。私達は、彼にはシリア人を団結させることが出来たことを知っています。出来た筈なんです。ですが彼の犯したこれらの過ちによって、私達全員が敗北しました。」
A Voice from Syria on Christmas Day: “All of us are lost.”
以下は、ダマスカスに居る友人のクサイ(本名ではない)との話し合いから得た重要なポイントだ。彼は翻訳者、大学教授だ。
シリアの状況は変化し続けているが、西洋メディアの報道とは食い違う残虐行為を見たければ、ジャーナリストのティム・アンダーソンのXアカウント@TimAnd2037を見て欲しい。
Same planet, different worlds. pic.twitter.com/z6TsDkI4Zf
— tim anderson (@timand2037) May 14, 2024
シリアは世俗主義
「私はイスラム教徒ですが、クリスマスを祝います。シリアは世俗主義の国です。私達は他の全ての宗教や宗派を祝います。………私達は愛、犠牲、平和等から学ぶからです。ですから、これは私達の伝統と言えるものなのです。これが終わらないことを願います。」
ダマスカスの状況
「アサドが発った後の最初の4日間は混乱、略奪、窃盗でした。その後、ダマスカスには一種の平和が訪れました。
ですが今日、状況は再び非常に危険になっています。」
アレッポの状況
「アレッポでは、少数派の宗教施設のひとつが禁止されました。この所為でデモが起きましたが、2人が殺されました。公判前審理が行われましたが、昨日は帰宅途中の裁判官3人が殺されました。
状況は悪化しています。一部の人々達は今やこう言っています:『我々は人々を武装させるつもりだ。あなた達は我々を守ることが出来ない。あなた達は我々の敵だ。』これが今日の危険な状況です。」
夜間外出禁止令
「12時間の夜間外出禁止令が出ています。外出は禁止されています。
以前は、物事は落ち着いていて静かなものでした。ですが今日では違います、物事は悪化しています。制御不能にならないことを願っています。」
食料、電気、燃料
「アレッポでは、1日30分か1時間しか電気が通っていません。
アレッポでは当初、新しい支配者達が発電機を持ち込み、2、3日はもっと電気が通っていました。彼等がシリア全土を占領するまでは。
今では、人々は滅多に電気を使えません。
私はダマスカスの良い地域のひとつ、ドゥマールの公営住宅に住んでいます。電気は12時間毎に1時間、1日2時間しか通っていません。
食料価格は最近は下がりました。ですが多くの人はお金が無く、支払うことが出来ません。
新政府は、シリアでは人々は給料を前払いで貰っていたので、今月の給料は貰えないと言いました。12月の初めに既に給料を貰っているのだから、給料は出さないと言ったのです。
だからこの所為で人々は今、本当に飢えています。
交通費は4~5倍に値上がりしました。多くの人々にとって、仕事に行く価値は殆ど有りません。新指導部は、現在これを調査しており、給料を3~4倍に引き上げる予定だと言っています。
ですが私達の見るところ、これらは全て人々を落ち着かせる為の偽りの試みに過ぎません。彼等はシリアの残りの地域を占領する前に、アレッポの人々にここは楽園だと約束しました。彼等は人々に月額250米ドル相当の給料を与えると言いました。これは大増額だったので、人々は大変喜びました。
さて、シリアの残りの地域を占領した後、彼等は、OK、我々にはやらなければならないことが沢山有るからこれは出来ない、給料については調べて様子を見ることにする、と言ったのです。」
シリア産業への脅威
「トルコ製品の流入が今、シリア産業を脅かしています。トルコ製品はより低価格、より良い品質でシリアに入って来ています。
シリアの産業は、西洋の制裁、燃料や電気の高騰、その他の要因によってダメージを受けています。ですからトルコの産業と競争することは出来ません。
丁度昨日、業界の或る指導者が新政府に、輸入品に課税するよう要請しました。シリアの産業には何等かの保護が必要です。ですから今後どうなるか私達には分かりません。シリアでは噂が至る所で飛び交っています。」
治安
「これまでのところ、警備員はHTSから来た人達だけです。非常に少数です。
最近、以前の兵士や警官達に復帰するよう発表が行われました。新指導部は、以前に採用された兵士や警官全員と和解すると述べました。彼等はこれらのセンターに行って、あなたが反政府派に犯罪や拷問等を行っていないと確認出来たら、新しい警察スタッフに採用すると言いました。どうなるか見てみましょう。」
大学
「彼等は大学の名前を他の名前に変更しました。バース党やアサドに関連するものを全て他の名前に変えたのです。
公立大学は現在開いています。毎日、大学内で昼間の祈りが行われています。彼等は全ての講義を中止し、この祈りを行い、全ての人々が集まって祈ります。ですが祈るかどうかは自由です。参加は強制ではありません。
ええそう、今のところイスラムのルールは強制されていません。例えば、女性はヒジャブやスカーフ無しで街に出ることが出来ます。
私立大学は略奪され、授業は延期された儘です。授業は01/04に再開される予定です。」
西洋と同盟諸国がダマスカスにやって来る
「新しい統治者達は世界中から代表団を迎えています。ですが今のところ、ここから良いことは何も生まれていない様です。
人々の忍耐は限界に近付いています。裕福な国々が私達の所にやって来ても、誰も燃料や石油、必要な物資を持って来ないのです。
早急な解決策が無いのに、何故彼等は来るのでしょう? 米国、カタール、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン、その他多くの国々から代表団が来ています。人々はこう言います、OK、今こうした関係を持つのは良いことだが、その効果は如何程のものか? 何故何も変わらないのか?」
シリア人は帰国するのか出国するのか?
「多くの友人達が、国を出られる様になったら直ぐに出発すると言っています。イスラエルがシリア領土に進出している今、彼等は状況が非常に暗いと見ています。
そして残念ながらイスラエルがシリア軍の軍事能力を全て破壊してしまったので、今や私達には抵抗する力が有りません。
ですから人々は、状況が良くならないことを知っています。人々は非常に恐れています。多くの人は仕事に行くお金も、赤ちゃんに食事を与えるお金も、何もするお金も有りません。
国外から人々は戻って来ているのか? これは難しい質問です。当初、約2万人のシリア人がトルコから村に戻ったと推定されていました。トルコはシリア人の帰還を促しています。これはプログラム全体の一部です。ですが他のシリア人達は去りました。特にシーア派イスラム教徒。
私は大勢知っています、特に兵士だった人達。彼等は自分達の身の安全を恐れてレバノンに去りました。」
何故シリア軍は崩壊したのか?
「これについては本当のデータがないので、謎です。アサドはロシアから、もう彼を守れないと知らされたと言う人も居ます。そこで彼は軍に、降伏すべきで反撃する必要は無いと伝えたとか。色々な話が有ります。
どれが真実なのでしょう? 残念なこと、アサド大統領は声明を何も残しませんでした。率直に言って、人々は大変腹を立てています。」
アサドの出国に対する国民の反応
「バシャール・アル=アサドが国を去ったことを知った時、兵士達は国の為に戦っていました。これは彼の側からすれば無責任な話でした。彼を頼りにし、彼を信じていた人達が居たのに、突然彼は全てを捨てたからです。少なくとも彼は国民に対し、私は去る、あなた方は降伏してもいいと告げるべきでした。彼は本当に人々を敵に回しました。彼は兵士や高官、その他の誰にも、自分が去ることを警告しませんでした。
もうひとつ、セドナヤ刑務所からの映像は本当に恐ろしいものでした。そして、これが全ての人々が政権を敵に回した理由です。セドナヤ刑務所からの生中継映像が流れたからです。ですから彼等はこの生中継を見たのです。何故これらの人々を拷問しなければならないのでしょう?
それで、このふたつのことが有って、人々は彼を敵に回したのです。
アレッポが陥落した時、彼は全く声を上げませんでした。全く姿を現しませんでした。彼は全く人々を励まそうとしませんでした。我々はアレッポを取り返す、とは一度も言いませんでした。普通の人なら誰でも何か言うものでしょう。ですが彼は象牙の塔に住んでいました。
トルコ外相の話では、彼等は陥落の2日前に彼に連絡を取り、交渉する為に話をしたかったそうです。ですが彼は拒否しました。
何故彼がこれらの過ちを犯したのかは私には分かりません。彼の過ちによって、全てが失われました。
人々に何も言わずに去るなんて。彼がシリア人を団結させてくれると信じて命を失った人々、子供達を犠牲にした人々に。私達は、彼にはシリア人を団結させることが出来たことを知っています。出来た筈なんです。ですが彼の犯したこれらの過ちによって、私達全員が敗北しました。」
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