ポーランドは1980年代以来最悪の政治危機に藻搔いている(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ポーランドのトゥスク元首相は政権復帰から1ヵ月もしない内に1980年代以来最悪の政治危機を引き起こしたが、ポーランドの主権の将来はこの政治危機の結果によって決まるだろう。
Poland Is In The Throes Of Its Worst Political Crisis Since The 1980s
憲法危機に揺れるポーランド
ポーランドのドナルド・トゥスク元首相は政権復帰から1ヵ月もしない内に、自国を1980年代以来最悪の政治危機に陥れた。
2023/12/22、オルド・イウリス法文化研究所は報告書で、トゥスクが計画している司法とメディアの「改革」は憲法違反であると結論付けた。
簡単に言うと、彼は元与党議長ヤロスワフ・カチンスキが繰り返し警告した通り、「ドイツの工作員」であるトゥスクは、ポーランドの主権をドイツ主導のEUに従属させたいと考えている。
これらの「改革」が憲法上の危機だと表現するのは言い過ぎではない。シモン・ホロウニア新国会議長は2024/01/09、「憲法危機」を理由に議事を一週間中断したからだ。
危機の原因
この危機は、経済的罰則を伴う不法移民の輸入を義務付けるEUの新たな移民協定をポーランドが黙って遵守したからではないし、トゥスクが国営メディアを強制的に押収したからでもない。全ての原因は、警察が大統領官邸内で元閣僚2人を逮捕したことだった。彼等は職権濫用して容疑者を罠に掛けた罪で最高裁から有罪判決を下されていたのだが、その後アンジェイ・ドゥダ大統領から恩赦を受けていた。
ドゥダは旧与党「法と正義(PiS)」の出身で、2025年春に予定されている大統領選挙までは現職を継続することになっている(但しその前に何等かの理由で罷免されれば別だが)。
トゥスクはこの2人を大統領官邸でのイヴェントに招待したドゥダを司法妨害の罪で非難した。
カチンスキと彼の仲間達は逆にこの件でトゥスクを非難し、01/11に予定されている「ポーランド解放の為の抗議」に参加するよう国民に訴えた。彼等はまた現状を1980年代の戒厳令時代と比較し、自分達の党(PiS)が新たな「連帯」運動(ポーランドの「民主化」を主導した反共組織)であると仄めかした。
若しPiSが、権威主義的支配に対する全国規模のストライキ、抗議活動、その他の形態の非暴力抵抗と云う「連帯」の政策を再現するのであれば、その比較は適切なものとなるだろう。但しその後で起こるであろう経済的混乱は、トゥスクが弾圧を強化する口実になるし、それは再び、新たな戒厳令に繋がるかも知れない。
ポーランドの将来はこの政治危機の結果によって決まる
ポーランドの将来はこの政治危機の結果によって決まるだろう。事実上のドイツの傀儡国家に成り下がってリベラル・グローバリスト的政策を押し付けられるか、伝統的な保守ナショナリスト的な生き方を守る為に主権を取り戻すかだ。
新たな「連帯」が敗北すれば、ポーランド社会はトゥスクのイデオロギー的使命の結果として、根本的且つ不可逆的に変革されることになるだろう。トゥスクは以下のことを構想している:
・無数の不法移民(同化や社会への統合を拒否する文明的に異なる移民を含む)を受け入れる。
・中絶に関する全ての制限(恐らく出産に至るまで)を撤廃する。
・LGBTプロパガンダを広める(子供の精神に対するあらゆる害を伴う)。
トゥスクは間違い無く、ポーランド全土にドイツ軍が継続的に駐留する可能性を開くことになる「軍事シェンゲン」にも従うだろうが、これが実現したらポーランドは二度と立ち直ることは出来ないだろう。
地元の警察、諜報機関や軍のメンバーが新たな「連帯」を支持することにでもなれば、彼はこれらの「政治的に信頼出来ない」分子を粛清し、「適切な後任」が見付かるまでドイツに代理を要請するかも知れない。
従ってトゥスクが発令するかも知れない戒厳令は、ソ連に絶対支援を要請しようとしなかったヴォイチェフ・ヤルゼルスキ将軍の戒厳令よりも更に悪いものになる可能性が有る。そしてそれはカチンスキが警告した「第四帝国」の到来を告げることになるかも知れない。
Poland Is In The Throes Of Its Worst Political Crisis Since The 1980s
憲法危機に揺れるポーランド
ポーランドのドナルド・トゥスク元首相は政権復帰から1ヵ月もしない内に、自国を1980年代以来最悪の政治危機に陥れた。
2023/12/22、オルド・イウリス法文化研究所は報告書で、トゥスクが計画している司法とメディアの「改革」は憲法違反であると結論付けた。
簡単に言うと、彼は元与党議長ヤロスワフ・カチンスキが繰り返し警告した通り、「ドイツの工作員」であるトゥスクは、ポーランドの主権をドイツ主導のEUに従属させたいと考えている。
これらの「改革」が憲法上の危機だと表現するのは言い過ぎではない。シモン・ホロウニア新国会議長は2024/01/09、「憲法危機」を理由に議事を一週間中断したからだ。
危機の原因
この危機は、経済的罰則を伴う不法移民の輸入を義務付けるEUの新たな移民協定をポーランドが黙って遵守したからではないし、トゥスクが国営メディアを強制的に押収したからでもない。全ての原因は、警察が大統領官邸内で元閣僚2人を逮捕したことだった。彼等は職権濫用して容疑者を罠に掛けた罪で最高裁から有罪判決を下されていたのだが、その後アンジェイ・ドゥダ大統領から恩赦を受けていた。
ドゥダは旧与党「法と正義(PiS)」の出身で、2025年春に予定されている大統領選挙までは現職を継続することになっている(但しその前に何等かの理由で罷免されれば別だが)。
トゥスクはこの2人を大統領官邸でのイヴェントに招待したドゥダを司法妨害の罪で非難した。
カチンスキと彼の仲間達は逆にこの件でトゥスクを非難し、01/11に予定されている「ポーランド解放の為の抗議」に参加するよう国民に訴えた。彼等はまた現状を1980年代の戒厳令時代と比較し、自分達の党(PiS)が新たな「連帯」運動(ポーランドの「民主化」を主導した反共組織)であると仄めかした。
若しPiSが、権威主義的支配に対する全国規模のストライキ、抗議活動、その他の形態の非暴力抵抗と云う「連帯」の政策を再現するのであれば、その比較は適切なものとなるだろう。但しその後で起こるであろう経済的混乱は、トゥスクが弾圧を強化する口実になるし、それは再び、新たな戒厳令に繋がるかも知れない。
ポーランドの将来はこの政治危機の結果によって決まる
ポーランドの将来はこの政治危機の結果によって決まるだろう。事実上のドイツの傀儡国家に成り下がってリベラル・グローバリスト的政策を押し付けられるか、伝統的な保守ナショナリスト的な生き方を守る為に主権を取り戻すかだ。
新たな「連帯」が敗北すれば、ポーランド社会はトゥスクのイデオロギー的使命の結果として、根本的且つ不可逆的に変革されることになるだろう。トゥスクは以下のことを構想している:
・無数の不法移民(同化や社会への統合を拒否する文明的に異なる移民を含む)を受け入れる。
・中絶に関する全ての制限(恐らく出産に至るまで)を撤廃する。
・LGBTプロパガンダを広める(子供の精神に対するあらゆる害を伴う)。
トゥスクは間違い無く、ポーランド全土にドイツ軍が継続的に駐留する可能性を開くことになる「軍事シェンゲン」にも従うだろうが、これが実現したらポーランドは二度と立ち直ることは出来ないだろう。
地元の警察、諜報機関や軍のメンバーが新たな「連帯」を支持することにでもなれば、彼はこれらの「政治的に信頼出来ない」分子を粛清し、「適切な後任」が見付かるまでドイツに代理を要請するかも知れない。
従ってトゥスクが発令するかも知れない戒厳令は、ソ連に絶対支援を要請しようとしなかったヴォイチェフ・ヤルゼルスキ将軍の戒厳令よりも更に悪いものになる可能性が有る。そしてそれはカチンスキが警告した「第四帝国」の到来を告げることになるかも知れない。
Poland's de facto far-right leader, Jarosław Kaczyński, falls back on the "defense" of those who have none: he says the European Union is acting like a “German fourth reich” by opposing his efforts to undermine the independence of Poland's judiciary. https://t.co/JHjfbOHvBm pic.twitter.com/c4lLRcUrRo
— Kenneth Roth (@KenRoth) December 27, 2021
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