リヤドで開催されたウクライナに関する秘密会談は不発に終わったが、重要なことが明らかになった(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/01/09、ブルームバーグはサウジアラビアが2023年12月中旬にウクライナに関する会談を主催したことを報じた。ロシアはまたしても排除されたが、彼等はこの内容の詳細を知っていた。知らせたのは恐らくインドであり、これは両国が如何に信頼し合っているかを示している。
Last Month’s Secret Talks On Ukraine In Riyadh Were A Dud But Revealed Something Important
リヤド秘密会談
2024/01/09、ブルームバーグはサウジアラビアが2023年12月中旬にウクライナに関する会談を主催したことを報じた。但し夏のジェッダの会談の時とは異なり、今回はメディアには秘密にされていた。
US and Allies Met Secretly With Ukraine on Peace Plan
インド、サウジ、トルコが、ウクライナとG7諸国にロシアとの和平交渉を再開するよう圧力を掛け続けた為、今回もまた前回同様不発に終わった。
これら3ヵ国と、前回より出席者は少なかったが(ブラジル、中国、UAEは欠席した)他のグローバル・サウス諸国はまた、ロシアへの制裁も拒否した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、あの会談はPRの為の見せ物だと一蹴した。
但しスプートニクの記事は、この秘密会談の存在を最初に知らせたのは、他ならぬ彼女の上司であるセルゲイ・ラヴロフ外相であることを読者に思い出させた。当時の彼の実際の発言(2023/12/28)は以下の通りだ:
「(グローバル・サウス諸国との)良好な関係を踏まえると、G7と主要発展途上諸国によるこの様な会談が10日前にまた行われたと言っても構わないでしょう。世界の大多数の国全てが参加した訳ではありません。招待を断った国も居ました。会談は完全に秘密裏に行われました。それについては何も報告を受けた訳ではありません。リークも有りませんでした。………その会談に出席した我々の親しい同盟国や関係者達は、ロシアに関わる問題を我々に秘密にすると約束した訳ではありませんでした。」
つまりロシアは会談に出席はしていなかったが、会談の詳細については全て把握していたのだ。
ロシアに知らせたのは恐らくインド
ロシアに会談の内容を知らせたのは恐らくインド、サウジ、トルコ(のどれか)だろう、この中でもインドが最有力候補だ。インドとロシアは数十年に亘って特別な戦略的パートナーシップを結んで来たが、この関係は近年、グローバルな次元へと進化しているからだ。
これは大袈裟に言っているのではない。2023年末にインドのジャイシャンカール外相はモスクワに駆け込み訪問を行ったが、その際ラヴロフ外相はこう発言している。
「我々はインドの同僚達に心から感謝しています。彼等は公平且つ公正な国際協力の原則に則って、地域的及びグローバルな問題を議論し解決する為に、責任有るアプローチを採用しようと努力しています。このアプローチは、ウクライナ及びその周辺での展開に対するインドの典型的な姿勢を表しています。」
参考までに、以前のジェッダ会談に関する分析を挙げておく。
There’s Nothing Wrong With India Attending The Western-Centric Ukrainian Peace Talks In Jeddah
ジェッダ会談はゼレンスキーにとって裏目に出た(抄訳)
India Showcased Its Neutrality At Last Weekend’s Western-Centric Peace Talks On Ukraine
インドはウクライナ紛争に関して、西洋の圧力に対して毅然として立ち向かい、原則的中立の立場を堅持したが、これらの会談は、インドが自らの立場をグローバル・サウス諸国や西洋諸国の広い層の聴衆に対して宣伝する為のプラットフォームとして機能した。つまりインドは(ジェッダでの時は中国もそうだが)この紛争に関して、西洋が主張する様なゼロサムの立場を取る必要は無いのだと世界中に知らしめたのだ。この展開はキエフにとっては正に裏目に出た訳だ。
これらの背景を考えると、ロシアに会談の詳細を教えたのはインドであろうと自信を持って結論付けることが出来る。これは両国が互いを如何に信頼しているかを示している。
Last Month’s Secret Talks On Ukraine In Riyadh Were A Dud But Revealed Something Important
リヤド秘密会談
2024/01/09、ブルームバーグはサウジアラビアが2023年12月中旬にウクライナに関する会談を主催したことを報じた。但し夏のジェッダの会談の時とは異なり、今回はメディアには秘密にされていた。
US and Allies Met Secretly With Ukraine on Peace Plan
インド、サウジ、トルコが、ウクライナとG7諸国にロシアとの和平交渉を再開するよう圧力を掛け続けた為、今回もまた前回同様不発に終わった。
これら3ヵ国と、前回より出席者は少なかったが(ブラジル、中国、UAEは欠席した)他のグローバル・サウス諸国はまた、ロシアへの制裁も拒否した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、あの会談はPRの為の見せ物だと一蹴した。
但しスプートニクの記事は、この秘密会談の存在を最初に知らせたのは、他ならぬ彼女の上司であるセルゲイ・ラヴロフ外相であることを読者に思い出させた。当時の彼の実際の発言(2023/12/28)は以下の通りだ:
「(グローバル・サウス諸国との)良好な関係を踏まえると、G7と主要発展途上諸国によるこの様な会談が10日前にまた行われたと言っても構わないでしょう。世界の大多数の国全てが参加した訳ではありません。招待を断った国も居ました。会談は完全に秘密裏に行われました。それについては何も報告を受けた訳ではありません。リークも有りませんでした。………その会談に出席した我々の親しい同盟国や関係者達は、ロシアに関わる問題を我々に秘密にすると約束した訳ではありませんでした。」
つまりロシアは会談に出席はしていなかったが、会談の詳細については全て把握していたのだ。
ロシアに知らせたのは恐らくインド
ロシアに会談の内容を知らせたのは恐らくインド、サウジ、トルコ(のどれか)だろう、この中でもインドが最有力候補だ。インドとロシアは数十年に亘って特別な戦略的パートナーシップを結んで来たが、この関係は近年、グローバルな次元へと進化しているからだ。
これは大袈裟に言っているのではない。2023年末にインドのジャイシャンカール外相はモスクワに駆け込み訪問を行ったが、その際ラヴロフ外相はこう発言している。
「我々はインドの同僚達に心から感謝しています。彼等は公平且つ公正な国際協力の原則に則って、地域的及びグローバルな問題を議論し解決する為に、責任有るアプローチを採用しようと努力しています。このアプローチは、ウクライナ及びその周辺での展開に対するインドの典型的な姿勢を表しています。」
参考までに、以前のジェッダ会談に関する分析を挙げておく。
There’s Nothing Wrong With India Attending The Western-Centric Ukrainian Peace Talks In Jeddah
ジェッダ会談はゼレンスキーにとって裏目に出た(抄訳)
India Showcased Its Neutrality At Last Weekend’s Western-Centric Peace Talks On Ukraine
インドはウクライナ紛争に関して、西洋の圧力に対して毅然として立ち向かい、原則的中立の立場を堅持したが、これらの会談は、インドが自らの立場をグローバル・サウス諸国や西洋諸国の広い層の聴衆に対して宣伝する為のプラットフォームとして機能した。つまりインドは(ジェッダでの時は中国もそうだが)この紛争に関して、西洋が主張する様なゼロサムの立場を取る必要は無いのだと世界中に知らしめたのだ。この展開はキエフにとっては正に裏目に出た訳だ。
これらの背景を考えると、ロシアに会談の詳細を教えたのはインドであろうと自信を持って結論付けることが出来る。これは両国が互いを如何に信頼しているかを示している。
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