ISISの解放;シリアの刑務所に関する神話創作の目的とは?(転載)
2024/12/12のイラン・メディアのParsTodayの日本語記事。HTSが制圧したシリアで刑務所が「解放」されているのは事実だが、シリア前政府の圧政と非人道性を宣伝する為に、多くの偽情報が拡散されている。それが覆い隠しているのは、多くのISISが今や野放しになっていると云う恐るべき事実だ。
*このサイトはアクセス不能にされる可能性が高いので、念の為全文転載しておく。
ISISの解放;シリアの刑務所に関する神話創作の目的とは?
最近メディアやSNSで取り上げられている最も重要な議論の一つは、「サイドナヤ刑務所」と呼ばれるシリア首都ダマスカス市の中央刑務所に関するものです。この刑務所は今月8日の早朝に占拠され、そこに収監されていた囚人全員が釈放されました。
最近、シリアが地域・国際情勢の中軸となっている一方で、同国の刑務所と思しき多くの動画や映像がハリウッド的な手法で公開されています。しかしそのほとんどはフェイクニュースや捏造であり、これによりシリアに潜伏するテロリストや西側諸国の犯罪はわきに追いやられ、しかも地域でシオニストが占領を続行するための安全地帯ができてしまっているのです。
これを口実に、イランの政治紙「スィヤーサテ・ル―ズ」は「シリア刑務所の廊下からのアメリカとイスラエルの脱出」と題した記事で、最近この刑務所に関して持ち上がっている一連の憶測を取り上げています。この問題については、パールストゥデイの以下の記事に掲載されています。
サイドナヤ刑務所の地理的位置
サイドナヤ刑務所はダマスカスの北方30㎞に位置しており、1987年に建設されました。この刑務所は三角形の形状で建てられており、2つの部分から構成されています。第1の部分はいわゆる「赤い建物」で、政治犯と民間人の囚人が収容され、「白い建物」である第2の部分は戦犯の収監に充てられています。
この刑務所はシリア国防省傘下の同国公安警察の監督下にあり、特に2011年の事件後やシリア国内でのテロ活動が激化して以降、この刑務所の囚人に対しては厳しい措置が数多く取られてきた。この刑務所の一部の被拘禁者は、裁判も受けられずに数か月間も拘留されていると報告しています。
人権団体は、シリアでは2011年以前から政治犯に対する一部の拷問があったと主張していましたが、国際的な報告やシリアの反政府団体の発表によれば、同国の主要刑務所では収監者数が増加している上、シリアでは過去10年間で、主にテロ組織のメンバーだった収監者の処刑や拷問も増加しています。
シリア人権監視団は2021年1月、この刑務所に約3万人が収監されていると発表しました。しかしその一方で、より現実的な報告では、その数は1万人から2万人の間であると推定されています。国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルも2017年2月、2011年から2015年の間、つまりシリアでのテロ組織の活動開始後、約5000人から1万3000人がこの刑務所で処刑されたと報告しました。
シリア人収監者への拷問に関する超自然的な伝説の裏幕
シリアの刑務所での拷問は否定できない事実はあるものの、サイドナヤ刑務所の収監者のうちの相当数は、最近同国首都ダマスカスで活動を開始したテロ組織の共鳴者です。これらの面々は、過去にはISISやシリアテロ組織タハリール・アル・シャームの旧バージョンたる「ヌスラ戦線」のメンバーでした。2011年以来、彼らはシリアの民間人やさまざまな人々に対して多くの犯罪を引き起こしてきました。過去10年間には多くの人が彼らの映像や動画を見ており、シリア国民は彼らに対して非常に醜悪な記憶を持っています。
しかし、シリアの政権交代という混乱の中で、元囚人の中には、同国のバッシャール・アル・アサド前政権に対する自分たちの活動や闘争を強調したり、さらには新政府の菓子の分け前を受け取るなど、さまざまな目的に基づいて、この刑務所での拷問や秘密裏の独房の存在を誇張している者もいます。
これらの噂の中で最も重要なものの 1 つは、刑務所の調理場から地下室に通じ、赤い建物にまで達し、地下10階まで数百人の囚人が拘禁されていた秘密の扉に関するものです。どちらかといえば伝説に類似しているこうした主張の一方で、民間防衛軍によるこのような区域の捜索は失敗に終わり、刑務所内にそのような独房が存在することは基本的に否定されています。
アラビア語国際チャンネルのアル・アラビーヤは、アサド前シリア政権の治安刑務所で行われている残忍な拷問と呼ばれるものについて、誤った超越的なニュースを発信する最も重要なメディア情報源の一つです。この点に関して、アルアラビーヤは自身のフェイスブック上のページにおいて、シリアにはまだ特定されていない秘密刑務所が数十カ所あると主張していましたが、この点はシリアを支配する複数の組織からも否定されています。
この点に関するアルアラビーヤの報道は、その多くが信頼するに足る情報源もなく、内部告発者やその地位や立場にも言及せずに行われています。このことは、同チャンネルの報道は事実に基づいているというよりも、このニュースに視聴者をくぎ付けにするためのプロパガンダ脅迫に基づいていたことを物語っています。
噂の拡散の裏幕にある目的
突然のいかなる政変や情勢変化においても、このような噂が浮上するのは自然なことのように思われ、国家の世論は過去の統治時代に存在した舞台裏を知ることに特別な関心を示しています。しかし、現在拡散している噂やその方向性やその膨大な量、そしてこれらの活動を監督するメディア因子の体質からは、これらの工作の舞台裏にある組織的な思惑が見て取れます。
シリア中央政権を支配するテロリストらが「イスラム聖戦士の潮流」を自称している一方で、彼らはシオニスト政権の軍事侵略に対し、口頭上といった散発的なやり方でさえも、一切の行動を示しておらず、またダマスカス近郊に進出したイスラエル軍の軍事駐留を示唆的、暗にも非難していません。世論は、これらの組織集団の言動に一種の矛盾を感じています。こうした状況は、世論の視線をシオニストの行動から外させるためにプロパガンダ的な脅迫の創出を必要としているのです。
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ISISの解放;シリアの刑務所に関する神話創作の目的とは?
最近メディアやSNSで取り上げられている最も重要な議論の一つは、「サイドナヤ刑務所」と呼ばれるシリア首都ダマスカス市の中央刑務所に関するものです。この刑務所は今月8日の早朝に占拠され、そこに収監されていた囚人全員が釈放されました。
最近、シリアが地域・国際情勢の中軸となっている一方で、同国の刑務所と思しき多くの動画や映像がハリウッド的な手法で公開されています。しかしそのほとんどはフェイクニュースや捏造であり、これによりシリアに潜伏するテロリストや西側諸国の犯罪はわきに追いやられ、しかも地域でシオニストが占領を続行するための安全地帯ができてしまっているのです。
これを口実に、イランの政治紙「スィヤーサテ・ル―ズ」は「シリア刑務所の廊下からのアメリカとイスラエルの脱出」と題した記事で、最近この刑務所に関して持ち上がっている一連の憶測を取り上げています。この問題については、パールストゥデイの以下の記事に掲載されています。
サイドナヤ刑務所の地理的位置
サイドナヤ刑務所はダマスカスの北方30㎞に位置しており、1987年に建設されました。この刑務所は三角形の形状で建てられており、2つの部分から構成されています。第1の部分はいわゆる「赤い建物」で、政治犯と民間人の囚人が収容され、「白い建物」である第2の部分は戦犯の収監に充てられています。
この刑務所はシリア国防省傘下の同国公安警察の監督下にあり、特に2011年の事件後やシリア国内でのテロ活動が激化して以降、この刑務所の囚人に対しては厳しい措置が数多く取られてきた。この刑務所の一部の被拘禁者は、裁判も受けられずに数か月間も拘留されていると報告しています。
人権団体は、シリアでは2011年以前から政治犯に対する一部の拷問があったと主張していましたが、国際的な報告やシリアの反政府団体の発表によれば、同国の主要刑務所では収監者数が増加している上、シリアでは過去10年間で、主にテロ組織のメンバーだった収監者の処刑や拷問も増加しています。
シリア人権監視団は2021年1月、この刑務所に約3万人が収監されていると発表しました。しかしその一方で、より現実的な報告では、その数は1万人から2万人の間であると推定されています。国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルも2017年2月、2011年から2015年の間、つまりシリアでのテロ組織の活動開始後、約5000人から1万3000人がこの刑務所で処刑されたと報告しました。
シリア人収監者への拷問に関する超自然的な伝説の裏幕
シリアの刑務所での拷問は否定できない事実はあるものの、サイドナヤ刑務所の収監者のうちの相当数は、最近同国首都ダマスカスで活動を開始したテロ組織の共鳴者です。これらの面々は、過去にはISISやシリアテロ組織タハリール・アル・シャームの旧バージョンたる「ヌスラ戦線」のメンバーでした。2011年以来、彼らはシリアの民間人やさまざまな人々に対して多くの犯罪を引き起こしてきました。過去10年間には多くの人が彼らの映像や動画を見ており、シリア国民は彼らに対して非常に醜悪な記憶を持っています。
しかし、シリアの政権交代という混乱の中で、元囚人の中には、同国のバッシャール・アル・アサド前政権に対する自分たちの活動や闘争を強調したり、さらには新政府の菓子の分け前を受け取るなど、さまざまな目的に基づいて、この刑務所での拷問や秘密裏の独房の存在を誇張している者もいます。
これらの噂の中で最も重要なものの 1 つは、刑務所の調理場から地下室に通じ、赤い建物にまで達し、地下10階まで数百人の囚人が拘禁されていた秘密の扉に関するものです。どちらかといえば伝説に類似しているこうした主張の一方で、民間防衛軍によるこのような区域の捜索は失敗に終わり、刑務所内にそのような独房が存在することは基本的に否定されています。
アラビア語国際チャンネルのアル・アラビーヤは、アサド前シリア政権の治安刑務所で行われている残忍な拷問と呼ばれるものについて、誤った超越的なニュースを発信する最も重要なメディア情報源の一つです。この点に関して、アルアラビーヤは自身のフェイスブック上のページにおいて、シリアにはまだ特定されていない秘密刑務所が数十カ所あると主張していましたが、この点はシリアを支配する複数の組織からも否定されています。
この点に関するアルアラビーヤの報道は、その多くが信頼するに足る情報源もなく、内部告発者やその地位や立場にも言及せずに行われています。このことは、同チャンネルの報道は事実に基づいているというよりも、このニュースに視聴者をくぎ付けにするためのプロパガンダ脅迫に基づいていたことを物語っています。
噂の拡散の裏幕にある目的
突然のいかなる政変や情勢変化においても、このような噂が浮上するのは自然なことのように思われ、国家の世論は過去の統治時代に存在した舞台裏を知ることに特別な関心を示しています。しかし、現在拡散している噂やその方向性やその膨大な量、そしてこれらの活動を監督するメディア因子の体質からは、これらの工作の舞台裏にある組織的な思惑が見て取れます。
シリア中央政権を支配するテロリストらが「イスラム聖戦士の潮流」を自称している一方で、彼らはシオニスト政権の軍事侵略に対し、口頭上といった散発的なやり方でさえも、一切の行動を示しておらず、またダマスカス近郊に進出したイスラエル軍の軍事駐留を示唆的、暗にも非難していません。世論は、これらの組織集団の言動に一種の矛盾を感じています。こうした状況は、世論の視線をシオニストの行動から外させるためにプロパガンダ的な脅迫の創出を必要としているのです。
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