石綿含有仕上塗材の除去作業
(1)建設業労働災害防止協会による石綿含有建材別作業レベル区分
1)レベル1
2)レベル2
3)レベル3
(2)石綿含有仕上塗材の処理方法の概要
(3)石綿含有仕上塗材の処理工法の選定
1)既存仕上塗材層をすべて除去する場合の処理工法の選定
(1)建設業労働災害防止協会による石綿含有建材別作業レベル区分
1)レベル1
●建材の種類
・石綿含有吹付け材
●建材の商品例、製造時期
〇吹付け石綿(~1975)
・トムレックス、
・ノザワコーベックス等
〇石綿含有吹付けロックウール(~1987)
・スプレーテックス、
・ノザワコーベックスR等
〇湿式石綿含有吹付けロックウール(~1989)
・トムウェット、
・バルカーウェット等
〇パーライト吹付け(1965~1989)
〇バーミキュライト吹付け(~1989)
●発じん性
・著しく高い
●具体的な使用箇所の例
①耐火建築物のはり、柱など
・建築基準法の耐火建築物(3階建以上の鉄筋構造の建築物、床面積の合計が200m2以上の鉄筋構造の建築物等)などのはり、柱などに、石綿とセメントの合剤を吹付けて所定の被膜を形成させ、耐火被膜用として使われている。
・昭和38年頃から昭和50年初頭までの建築物に多い。
・特に柱、エレベータ周りでは、昭和63年頃まで、石綿含有吹付け材が使用されている場合がある。
②ビルの機械室、ボイラ室等の天井、壁など
・ビルの機械室、ボイラ室等の天井、壁またはビル以外の建築物(体育館、講堂、温泉の建物、工場、学校等)の天井、壁に、石綿とセメントの合剤を吹き付けて所定の被膜を形成させ、吸音、結露防止(断熱用)として使われている。
・昭和31年頃から昭和50年初頭までの建築物に多い。
●必要な対策
・著しく発じん量が多い作業で、作業場所の隔離や高濃度の粉じん量に対応した防じんマスク、保護衣を適切に使用するなど、厳重なばく露防止対策が必要なレベル
●作業の種類
・石綿含有吹付け材の除去作業
2)レベル2
●建材の種類
・石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材
●建材の商品例、製造時期
①耐火被覆材
〇石綿含有耐火被覆板(~1983)
・トムボード、
・リフライト等
〇石綿含有ケイ酸カルシウム板2種(~2004)
キャスライトL、H
ケイカライト等
②断熱材
〇屋根用折板石綿断熱材(~1983)
・フェルトン
〇煙突石綿断熱材(~1990)
・カポスタック等
③保温材
〇石綿保温材(~1991)
〇けいそう土保温材(~1955)
〇パーライト保温材(~1980)
〇水練り保温材(~1988)
●発じん性
・高い
●具体的な使用箇所の例
①ボイラ本体及びその配管、空調ダクト等
・ボイラ本体及びその配管、空調ダクト等の保温材として、石綿保温材、石綿含有けい酸カルシウム保温材等を張り付けている。
②建築物の柱、はり、壁等
・建築物の柱、はり、壁等に耐火被覆材として、石綿耐火被覆板、石綿含有けい酸カルシウム板第二種を張り付けている。
③断熱材
・断熱材として、屋根用折版裏断熱材、煙突用断熱材を使用している。
●必要な対策
・比重が小さく、発じんしやすい製品の除去作業であり、レベル1に準じて高いばく露防止対策が必要なレベル
●作業の種類
・石綿を含有する保温材、断熱材、耐火被覆材等の除去作業
3)レベル3
●建材の種類
・その他の石綿含有建材(成形板等)
●建材の商品例、製造時期
①内装材耐火間仕切り
〇スレート、パルプセメント板、スラグ石膏板、押出し成形板(~2004)
〇石綿含有岩綿吸音板( ~1987)
〇石綿含有石膏ボード(~1986)
〇ケイカル板1種(~2004)
〇石綿含有壁紙(~1987)
②床材
〇ビニル床タイル(~1988)
〇フロア材(~1990)
③外装材
〇スレート、サイディング等(~2004)
〇ケイカル板1種(~2004)
④屋根材
〇住宅化粧用スレート(~2004)
⑤煙突材
〇石綿セメント円筒(~2004)
●発じん性
・比較的低い
●具体的な使用箇所の例
①建築物の天井、壁、床
・建築物の天井、壁、床などに石綿含有成形板、ビニル床タイル等を張り付けている。
②屋根材
・屋根材として石綿スレート等を用いている。
●必要な対策
・発じん性が比較的低い作業で、破砕、切断等の作業においては発じんを伴うため、湿式作業を原則とし、発じんレベルに応じた防じんマスクを必要とするレベル
●作業の種類
・レベル1,レベル2以外の石綿含有建材(例えば成形板など)の除去作業
(2)石綿含有仕上塗材の処理方法の概要
●"吹き付けられた石綿等"とは?
・石綿又は石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物
・吹付け工法で施工されたもの。
〇吹付け工法以外は?
・建築用仕上塗材の場合、こて塗り、ローラー塗り等の施工方法によっても、できる限り作業内容の確認を行い、必要に応じて作業場所の隔離や電動ファン付き呼吸用保護具の着用等の石綿飛散防止対策を行う。
●石綿含有仕上塗材
・石綿含有仕上塗材自体は塗膜が健全な状態では石綿が発散するおそれがあるものではないが、除去方法によっては飛散するおそれがある。
・石綿を飛散させない適切な工法、養生などの措置を選択することで必ずしも吹付け石綿などの除去工事と同様の集じん・排気装置などの設備による負圧処理等の措置を要さず当該措置と同等以上に石綿の飛散を防止できる。
●適用範囲内の作業
・2006年8月までに施工された石綿含有仕上塗材の改修工事、解体工事。
・改修工事において、石綿含有仕上塗材の主材層を除去、または洗浄する場合。
・解体工事において、石綿含有仕上塗材を除去する場合。
●適用範囲外(石綿関連作業ではない)の作業
①石綿を含有していない一般的な仕上塗材の改修工事・解体工事
・上塗材が施工されていない薄塗材・厚塗材で、劣化が認められない既存仕上塗材層表面の汚れを水洗いまたは15MPa以下の高圧水洗で洗浄する処理。
②上塗材が施されている複層塗材・厚塗材で、上塗材には白亜化、エフロレッセンス、剥がれ、膨れ、割れの何れかが認められるが、主材層は劣化しておらず、上塗材表面の汚れ、付着物または脆弱な上塗材の部分を、水洗いもしくは15MPa以下の高圧水洗(集じん装置付き高圧水洗含む)で洗浄・除去する処理。
・過去に実施された改修工事において、石綿含有仕上塗材の表層に石綿を含有しない改修塗装系が施されており、既存仕上塗材層の洗浄・除去に当たって石綿含有仕上塗材主材層に全く影響を及ぼさない処理。
●仕上塗材処理工法の区分
区分Ⅰ:隔離工法(保護具:電動ファン付以上)
区分Ⅱ:石綿則第6条但し書き該当工法(隔離不要、保護具:防じんマスク以上)
区分Ⅲ:石綿関連作業に該当せず
(3)石綿含有仕上塗材の処理工法の選定
・仕上塗材の種類、劣化状況、処理効果、粉じん発生、隔離養生の要否、施工費用、廃水中の石綿処理、開口部、出隅、入り隅、周辺環境など基に選定する。
1)既存仕上塗材層をすべて除去する場合の処理工法の選定
①区分Ⅰ
・超高圧水洗工法(100MPa以上)
・高圧水洗工法(30~50MPa程度)
・超音波ケレン工法
・ディスクグラインダーケレン工法
②区分Ⅱ
・集じん装置付超高圧水洗工法(100MPa以上)
・集じん装置付ディスクグラインダー工法
・剥離剤併用超高圧水洗工法(100MPa以上)有機系塗材のみ
・剥離剤併用高圧水洗工法(30~50MPa程度)有機系塗材のみ
・剥離剤併用手工具ケレン工法:有機系塗材のみ
・剥離剤併用超音波ケレン工法:有機系塗材のみ
・超音波ケレン工法(HEPAフィルタ付掃除機併用)
1)レベル1
2)レベル2
3)レベル3
(2)石綿含有仕上塗材の処理方法の概要
(3)石綿含有仕上塗材の処理工法の選定
1)既存仕上塗材層をすべて除去する場合の処理工法の選定
(1)建設業労働災害防止協会による石綿含有建材別作業レベル区分
1)レベル1
●建材の種類
・石綿含有吹付け材
●建材の商品例、製造時期
〇吹付け石綿(~1975)
・トムレックス、
・ノザワコーベックス等
〇石綿含有吹付けロックウール(~1987)
・スプレーテックス、
・ノザワコーベックスR等
〇湿式石綿含有吹付けロックウール(~1989)
・トムウェット、
・バルカーウェット等
〇パーライト吹付け(1965~1989)
〇バーミキュライト吹付け(~1989)
●発じん性
・著しく高い
●具体的な使用箇所の例
①耐火建築物のはり、柱など
・建築基準法の耐火建築物(3階建以上の鉄筋構造の建築物、床面積の合計が200m2以上の鉄筋構造の建築物等)などのはり、柱などに、石綿とセメントの合剤を吹付けて所定の被膜を形成させ、耐火被膜用として使われている。
・昭和38年頃から昭和50年初頭までの建築物に多い。
・特に柱、エレベータ周りでは、昭和63年頃まで、石綿含有吹付け材が使用されている場合がある。
②ビルの機械室、ボイラ室等の天井、壁など
・ビルの機械室、ボイラ室等の天井、壁またはビル以外の建築物(体育館、講堂、温泉の建物、工場、学校等)の天井、壁に、石綿とセメントの合剤を吹き付けて所定の被膜を形成させ、吸音、結露防止(断熱用)として使われている。
・昭和31年頃から昭和50年初頭までの建築物に多い。
●必要な対策
・著しく発じん量が多い作業で、作業場所の隔離や高濃度の粉じん量に対応した防じんマスク、保護衣を適切に使用するなど、厳重なばく露防止対策が必要なレベル
●作業の種類
・石綿含有吹付け材の除去作業
2)レベル2
●建材の種類
・石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材
●建材の商品例、製造時期
①耐火被覆材
〇石綿含有耐火被覆板(~1983)
・トムボード、
・リフライト等
〇石綿含有ケイ酸カルシウム板2種(~2004)
キャスライトL、H
ケイカライト等
②断熱材
〇屋根用折板石綿断熱材(~1983)
・フェルトン
〇煙突石綿断熱材(~1990)
・カポスタック等
③保温材
〇石綿保温材(~1991)
〇けいそう土保温材(~1955)
〇パーライト保温材(~1980)
〇水練り保温材(~1988)
●発じん性
・高い
●具体的な使用箇所の例
①ボイラ本体及びその配管、空調ダクト等
・ボイラ本体及びその配管、空調ダクト等の保温材として、石綿保温材、石綿含有けい酸カルシウム保温材等を張り付けている。
②建築物の柱、はり、壁等
・建築物の柱、はり、壁等に耐火被覆材として、石綿耐火被覆板、石綿含有けい酸カルシウム板第二種を張り付けている。
③断熱材
・断熱材として、屋根用折版裏断熱材、煙突用断熱材を使用している。
●必要な対策
・比重が小さく、発じんしやすい製品の除去作業であり、レベル1に準じて高いばく露防止対策が必要なレベル
●作業の種類
・石綿を含有する保温材、断熱材、耐火被覆材等の除去作業
3)レベル3
●建材の種類
・その他の石綿含有建材(成形板等)
●建材の商品例、製造時期
①内装材耐火間仕切り
〇スレート、パルプセメント板、スラグ石膏板、押出し成形板(~2004)
〇石綿含有岩綿吸音板( ~1987)
〇石綿含有石膏ボード(~1986)
〇ケイカル板1種(~2004)
〇石綿含有壁紙(~1987)
②床材
〇ビニル床タイル(~1988)
〇フロア材(~1990)
③外装材
〇スレート、サイディング等(~2004)
〇ケイカル板1種(~2004)
④屋根材
〇住宅化粧用スレート(~2004)
⑤煙突材
〇石綿セメント円筒(~2004)
●発じん性
・比較的低い
●具体的な使用箇所の例
①建築物の天井、壁、床
・建築物の天井、壁、床などに石綿含有成形板、ビニル床タイル等を張り付けている。
②屋根材
・屋根材として石綿スレート等を用いている。
●必要な対策
・発じん性が比較的低い作業で、破砕、切断等の作業においては発じんを伴うため、湿式作業を原則とし、発じんレベルに応じた防じんマスクを必要とするレベル
●作業の種類
・レベル1,レベル2以外の石綿含有建材(例えば成形板など)の除去作業
(2)石綿含有仕上塗材の処理方法の概要
●"吹き付けられた石綿等"とは?
・石綿又は石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物
・吹付け工法で施工されたもの。
〇吹付け工法以外は?
・建築用仕上塗材の場合、こて塗り、ローラー塗り等の施工方法によっても、できる限り作業内容の確認を行い、必要に応じて作業場所の隔離や電動ファン付き呼吸用保護具の着用等の石綿飛散防止対策を行う。
●石綿含有仕上塗材
・石綿含有仕上塗材自体は塗膜が健全な状態では石綿が発散するおそれがあるものではないが、除去方法によっては飛散するおそれがある。
・石綿を飛散させない適切な工法、養生などの措置を選択することで必ずしも吹付け石綿などの除去工事と同様の集じん・排気装置などの設備による負圧処理等の措置を要さず当該措置と同等以上に石綿の飛散を防止できる。
●適用範囲内の作業
・2006年8月までに施工された石綿含有仕上塗材の改修工事、解体工事。
・改修工事において、石綿含有仕上塗材の主材層を除去、または洗浄する場合。
・解体工事において、石綿含有仕上塗材を除去する場合。
●適用範囲外(石綿関連作業ではない)の作業
①石綿を含有していない一般的な仕上塗材の改修工事・解体工事
・上塗材が施工されていない薄塗材・厚塗材で、劣化が認められない既存仕上塗材層表面の汚れを水洗いまたは15MPa以下の高圧水洗で洗浄する処理。
②上塗材が施されている複層塗材・厚塗材で、上塗材には白亜化、エフロレッセンス、剥がれ、膨れ、割れの何れかが認められるが、主材層は劣化しておらず、上塗材表面の汚れ、付着物または脆弱な上塗材の部分を、水洗いもしくは15MPa以下の高圧水洗(集じん装置付き高圧水洗含む)で洗浄・除去する処理。
・過去に実施された改修工事において、石綿含有仕上塗材の表層に石綿を含有しない改修塗装系が施されており、既存仕上塗材層の洗浄・除去に当たって石綿含有仕上塗材主材層に全く影響を及ぼさない処理。
●仕上塗材処理工法の区分
区分Ⅰ:隔離工法(保護具:電動ファン付以上)
区分Ⅱ:石綿則第6条但し書き該当工法(隔離不要、保護具:防じんマスク以上)
区分Ⅲ:石綿関連作業に該当せず
(3)石綿含有仕上塗材の処理工法の選定
・仕上塗材の種類、劣化状況、処理効果、粉じん発生、隔離養生の要否、施工費用、廃水中の石綿処理、開口部、出隅、入り隅、周辺環境など基に選定する。
1)既存仕上塗材層をすべて除去する場合の処理工法の選定
①区分Ⅰ
・超高圧水洗工法(100MPa以上)
・高圧水洗工法(30~50MPa程度)
・超音波ケレン工法
・ディスクグラインダーケレン工法
②区分Ⅱ
・集じん装置付超高圧水洗工法(100MPa以上)
・集じん装置付ディスクグラインダー工法
・剥離剤併用超高圧水洗工法(100MPa以上)有機系塗材のみ
・剥離剤併用高圧水洗工法(30~50MPa程度)有機系塗材のみ
・剥離剤併用手工具ケレン工法:有機系塗材のみ
・剥離剤併用超音波ケレン工法:有機系塗材のみ
・超音波ケレン工法(HEPAフィルタ付掃除機併用)