この親にしてこの子あり、と言うが、この子にしてこの親あり、とも言えるな。美馬の気味悪さは親からの遺伝というわけだ。ただし、可哀想な話ではある。
親の将軍も美馬同様チキンハート(予告で生駒のことを指していたが、この親子にも当てはまる)で怖がりだったのだ。将軍は政争や暗闘に明け暮れる毎日を送っていたようで、そのストレスでどうにかなっていたと思われる。で、思わずというか、息子を刀で斬りつけるなんて暴挙に出た。全て恐怖のせいだと“正直”に言っていたところがどうにも救いがない。息子のことも恐れていたみたいだ。
この後、美馬は将軍に疎まれながら成長したようで、十年前の九州遠征で遂に粛清されかかったというわけだ。将軍は、それで遠征軍を壊滅までさせようとしたのだから、思い切ったというか、無茶苦茶というか……
恐怖ってヤツはここまで人の判断力を狂わせてしまうものか。
ともかくも、これが今の美馬を生み出した。思うに彼はずっと虐待を受けてきたようなもので、性格が歪んでしまうのも当然と言えば当然。
誰か味方になる者でもいればよかっただろうが、それもなかったみたい。狩方衆は復讐の同志――と言うか道具?――なので彼の心を救う味方とは言えない。無名ならばその可能性はあったような気がするが、その機会も美馬は自分で捨て去ってしまう。
実に哀れな親子だ。全ては心の弱さが生み出した悲劇だ。
思うに、美馬はよく「強さ」を口にしていたが、これは彼の弱さを象徴している。彼の言う強さが本物でないことは誰でも分かる。異常に歪んでいて、違和感に満ちていたからだ。もしかしたら、本当の自分の弱さを知っていたが故に、それを否定したかったのかもしれず、本物が理解できないからこその言葉だったのかもしれない。或いは、決して自分が本物の強者となり得ないものと自覚していたからこそなのかもしれない。
ある意味、親子喧嘩。こんなものに巻き込まれる臣下や民はたまったもんじゃない。
美馬は権力とかには興味がないようで、将軍を殺して彼の体制を破壊したことで満足したようだ。将軍の椅子に座った彼は何処か燃え尽きたみたいにも見え、やり切った感がマザマザと表れている。
後はカバネに呑まれた地獄だけが残る。ホントたまったもんじゃありませんな。
脳裏には幸せだった日々の記憶が……
美馬の心の中では、父親を慕う気持ちは残っていたみたいだ。だからこそ憎しみが消えなかったのかもしれない。
無名は遂に融合群体の核とされてしまった。美馬の言いなりになり、ロボットのように動いていたが、どうも意識は残っていたものと思われる。しかし肉体の制御はできないのか、彼女はやはり美馬の望みの通りに動く。
蝶の件は今まで何度も象徴的に描かれたが、今回その意味がはっきりと分かった。これは母親から伝えられたもので、或いはこの世界の信仰を表すものかもしれない。
幻視なのか、無名は無数の蝶の姿を目撃し、自身にも表れていると自覚した。
これは死を覚悟したものであり、このままいくと破滅エンドしかない。
それを止めんと立ち上がる生駒、チキンハートから見事に帰還。
にしても、このヒト、イケメンだったんだなw
右腕に貫き筒を括り付けて――と言うより、ビスを打ち込んで固定していたぞ。痛そうー((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ところで指はなくなっているはずだが、どうやって貫き筒を作動させた? 神経接続でもしたのか? うーん、サイバー!
だがそれでは足りない。科学者から黒血漿を貰って自分に打つ。
これはウィルスの活性度を急上昇させ、カバネリの肉体を著しく強化させる効果がある。だが生命を激しく消耗させるもので、打たれた者は程なく燃え尽きると言う。
美馬を殺し、無名を救う。もうそのためだけの命だ!
しかしこれ……、まるっきりデビルマンだなw
来栖はしっかりと生きていました。ついでに科学者先生も。
この科学者、どうも科学的なことにしか関心はないようで、美馬の復讐とかはどうでもよかったらしい。要するにカバネ研究を続けるのにいい環境だったのだろう。来栖が生きたまま連れていたのは(飼い犬でも引っ張るみたいだった)、その知識が役に立つと思ったからだろう。
ところでこの人たち、カバネのいる間を徒歩で(或いはバイクで?)やって来たみたいだけど、大変だったろーな。大群にでも遭遇していたら、さすがに来栖の剣技でも叶わなかったろうし。上手く避けてきたのだろう。
菖蒲様、美馬に人質を取られて仕方なくだったが、大虐殺の片棒を担がされてしまっている。上手く解決できたとしても、後で責任を追及されるかもしれんな。
逞生はやはり死んでしまったのか。石の謎パワーなんて御都合はやっぱないんだな。