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みみなし的生活

オトはコトバ。コトバはオト。

水銀燈 -銀様補完計画-

薔薇人形の中で概して男子に人気があるのは翠星石と水銀燈のようである。
翠星石は典型的なツンデレとして、銀様ファンが多いのはマゾ男子が多いからだろう。

そんな、マゾ男子の人気を一挙に集めるサドっ気満々の銀様に不似合いな

「乳酸菌摂ってるぅ?」

は、あまりにも有名な台詞だが、果たして乳酸菌に血圧を下げる効果はあるのだろうか?

ぐぐってみると、どうやら、「ラクトペプタイド」という物質に血圧を下げる効果があるらしいが、「ラクトペプタイド」で検索すると、7件しかヒットしない。
しかも、食品関係のページばかりで、学術的な調査結果が載っているページが無い。
じゃぁやっぱり、乳酸菌と血圧の関係は、お約束の似非科学?
気取って言った台詞にしちゃぁ、これじゃあまりにも情けないじゃないか、銀様。
ヤクルトの宣伝にほいほいっと引っかかってしまうそこらへんのオバちゃん達と一緒である。

「無様ね」

そう、あなたが。

これじゃ銀様がかわいそうなので、銀様の純潔を守るべく日本細菌学界に質問のメールを送ってみた。
いかにも厨房っぽい文章で。
はたして、銀様の純潔は保たれるのであろうか?
ていうか返事は来るだろうか?
# きっとローゼンヲタから同じように問い合わせのメールいっぱい届いてるんだろうな。がんがれ細菌学会


ところで、薔薇人形の水銀燈は知ってても、HIDの水銀灯は知らない人が多いのではないだろうか。
水銀灯とはその名の通り、ガラス管の中に気化させた水銀を封入し、水銀蒸気に放電させ発光させる、放電管の一種である。
エジソンの伝記を読んだ人なら知ってるだろうけれど、白熱電球の発明以前にアーク灯が既に存在していたので、水銀灯も白熱電球以前に存在したと考えがちだけれど、ヘイウィトが実用的な水銀灯が発明されたのは白熱電球の発明の少し後(20世紀に入ってから)である。
要するに、薔薇人形の水銀燈が製作されたのも20世紀に入ってからと考えるのが自然かもしれない。
しかし、薔薇人形のようなアンティーク・ドールが流行したのは19世紀。
人形師ローゼンは、新素材のゴムやセルロイドに人気を奪われ、すっかり下火になったアンティーク・ドールを生涯かけて作っていたのである。
その執着心、大したもんじゃぁないか。
# まぁ、職人ってのはそういう人のこと言うんだろうけれど...。
薔薇人形たちは、21世紀に入りアンティーク趣味がサブカルとして復活するまで、ずっと眠りつづけていたのだろう。

一方HIDの方の水銀灯は眩しいくらい元気に現役である。

純潔な(※1)水銀灯は演色性(※2)が悪いため、一般家庭の照明には不向きだが、発光効率が良く、大電力のものが比較的容易に製作可能なため、光量が必要な場所でよく使われている。
光っている様子を見たいなら、公園や体育館へ行ってみるといい。
そのへんの照明は大抵水銀灯だから。
# ただし最近は下記のような理由からハロゲンランプなどに置き換わっているところが多い。

点灯させてみると青白い強力な光を発する。
そう、ローゼンメイデンのオープニングで銀様が座っている街灯のような、本当にああいう色である。
始動直後は少し赤紫がかっていて、これまた不気味な美しさがある。
まさに銀様だ。
しかし、見惚れていると日焼けする。目がつぶれる。
水銀灯は青白い光とともに、強力な紫外線も発しているからだ。
そんなわけで水銀灯は、殺菌ランプとしても使われている。
まさに銀様だ。
乳酸菌も死んじまうぜ銀様。

機械的な構造も、水銀と放電電極が封入された内管と、その周りの配線、それらを被う外管と、点灯していなくても妖艶で不気味な美しさがある。
それから、水銀灯を点灯させるには安定期が必要で、始動(※3)にはグロー放電→アーク放電というプロセスが必要な上、電源電圧の変化に敏感で、±5%程度変化しただけで立ち消えてしまうこともあり、また、一度消灯すると、室温まで冷却されるまで始動できないなど扱いが難しく、気位の高い銀様の性格そのままである。

しかし管自体の値段はそんなに高くない。
というかむしろ安い。安いんですよ銀様。

「うるさい!」

もともと、安価に作れるのが放電管の特徴。
それこそ40W型なら1000円以下で買える
高くないので新品を買いましょう。
ジャンク(=中古品)はやめたほうがいいです。

「私はジャンクなんかじゃない!」
って主張しているのはジャンクの可能性が高いです。
ちゃんと箱入りの新品を買いましょう。
さもないと銀様の祟りに見舞われます。
まず、放電管はみんなそうだけれど、古いものは始動に時間がかかる。
そして、電力を馬鹿食いする。
電力会社からの請求書を見て、怒った銀様の恐ろしさを思い知るでしょう。
それから、外管にひびが入ってたりすると点灯中に割れてガラスが降ってくる。
滅多に無いだろうけど、もし内管が割れると「苦い雫(=液化した水銀)」も降ってくるので危ない。
嘗めちゃだめだよ。

とりあえずこれこれがあれば点灯できるから、あとは真鍮版とガラス加工して、ローゼンのオープニングに出てくるような街灯作ってみようかな。
オープニングに出てくるような丸い球もあるけれど、これはバラストレスなので光り方が違う気がするのでパス。
作ったら銀様のフィギュアも欲しくなるかも。
# って、普通は順番が逆だろ

こんなんもありました。
水銀遅延線
水銀灯にしても、水銀遅延線にしても、水銀スイッチにしても、半導体が未発達な頃は水銀が貴重な電子デバイスの材料だったんですね。
今はRoSHだとか言って目の敵にされてるけど。

※1
優美さもロマンもあったもんじゃない、全く無駄な話だが、歴代の科学者たちは水銀灯の演色性の悪さを何とかしようとさまざまな工夫を試みてきた。
その結果、演色性が改善された、メタルハライドランプやフィラメントとの複合ランプなどの、「穢れた血」が生まれた。
色も自然光に近いし始動後すぐ明るくなるし、まったく美しさもなにもあったもんじゃない。
これくらいならまだマシなほう、高圧ナトリウムランプを見て、「水銀灯だ」と思ってしまう奴がいたら、流石の銀様も泣いちまうだろう。

※2
その電球が発する光でモノを見たとき、どれだけ太陽光(自然光)下で見たときの色に近く見えるか、即ちどれだけ自然な色で見せることができるかを表すもの。

※3
安定状態で点灯させるまでに必要なプロセス
  1. 2007/02/14(水) 17:57:59|
  2. 薔薇乙女
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