南総合産業技術研究所(通称「南研」)公衆無線LAN事業部(以下 Nan-Ken Wireless)は4月1日より月額500円のGSM携帯電話サービスを開始することを表明した。
代表取締まられ役社長 南真夏(みなみまなつ)氏(19歳)が掲げる「自由・平等・平和」「日本初のまともなキャリア」をスローガンとしたこのサービスは、わずか500円の基本料金にプリペイド方式でサービスを追加することにより、非常に柔軟性のあるサービスを提供する。
まず、500円の月額基本料に含まれているのは以下の2つ。
・回線契約
・公衆無線LAN使用料
各家庭に設置されたアクセスポイントを使用して公衆無線LANのサービスを提供するFONのユーザーであるfoneroは、FONのユーザーIDとパスワードでNan-Ken Wirelessのアクセスポイントを使用できる。
もちろん公衆無線LANは上限無しでいくらでも利用可能。
Skypeなどの使用も推奨されている。
基本料金だけでは通話やSMSやGSMのパケット通信は利用できない。
GSMのサービスを利用するためには「クレジット」と呼ばれるサービスを利用するために必要なポイントのようなものをあらかじめ購入しておく必要がある。
クレジットは2種類ある。
「トーククレジット」は通話及びSMSの送信に使用できるクレジット。
3種類用意されており、60分/500円、120分/1000円、240分/2000円をそれぞれ購入できる。
1分あたり約8.3円となり、国内キャリアで一番安価な通話料金となる。
SMSを利用した場合は、1通1円で計算される。
ソフトバンクモバイルの携帯電話宛に送信することもでき、その場合も同じく1通1円となる。
国際SMSも利用可能で、料金は後日Nan-Ken Wirelessウェブサイトで公表される。
「パケットクレジット」はGPRSのパケット通信に利用できるクレジット。
こちらも3種類用意されており、10MB/100円、20MB/200円、100MB/1000円をそれぞれ購入できる。
端末が対応していればBluetoothやUSBなどでパソコンを接続してダイアルアップモデムとして利用できる。
パソコンを接続しての利用もパケットクレジットが利用可能で、別料金は発生しない。
また、端末単体で利用する場合と料金は変わらない。
どちらのクレジットも月内に何度も購入可能で購入上限は無い。
ただし、購入後6ヶ月間1度も使わないと失効する。
クレジットを使用するためには、「チャージ」と呼ばれる作業が必要である。
文字通り、クレジットを自分の契約しているSIMカードに「補充」するのである。
チャージ上限は無く、どれだけでもチャージ可能。
例えば、1年分の通信量を見越して全て前払いするといったことも可能である。
チャージは、オンラインで可能なほか、端末からSMSを利用してチャージを行うこともできる。
クレジットは、ソフトバンクモバイルのプリペイドカードと同じようにコンビになどで購入可能な他、Nan-Ken OnLine Storeでも購入可能。
OnLine Storeで購入したクレジットはその場でチャージすることも可能。
購入したクレジットは他人に譲渡することも認められているため、親しい友人や恋人など、よく通話する相手に「通話料をプレゼント」するといったことも可能。
国内の他のキャリアのように自社で端末は販売せず、顧客は、SIMロックされていない「SIMフリー」の携帯電話を各自用意することになる。
SIMフリーの携帯電話はNokia Japanのオンラインストアや各種通販で購入できる。
使用できる機種に特に制限は無く、GSM900/1800/1900対応の携帯電話ならどれでも利用できるが、Nak-Ken WirelessはWiFi対応の携帯電話(Nokia E61、HTC hermesなど)の利用を推奨している。
また、解約済みの他社携帯電話(通常SIMロックがかかっているもの)を利用する方法もある。
Nan-Ken Wirelessが開発したDummy-System技術により実現したDummy-Plug SIM(DPS)を解約済みのソフトバンクやNTTドコモの携帯電話に挿入すると、携帯電話側が「ソフトバンク(或いはNTTドコモ)のSIMがささっている」と誤認して、動作が可能になるというもの。
DPSの開発チーム主任研究員である安藤慶録氏によると、「ユーザーはお金を払って"製品"である携帯電話を購入している。製品とサービスは別のもの、ユーザー自身が購入した携帯電話を自由な契約の下で使えないのはおかしい。キャリア側がSIMロックを解除するメソッドを提示しない限り、こうするしかなかった」と話す。
現時点でDPSを利用できることが実証されている機種は、NTTドコモのM1000、M702iG、NM850iG、ソフトバンクモバイルのX01HT、X01NK、702NK、702NKⅡ、705NKのみ。
この点について安藤氏は「その他の端末は技術的にDPSを使用することができない、あるいは苦労して対応させる価値がないと、僕が判断した機種」と話す。
今後の対応に期待したい。
また、ソフトバンクモバイルやNTTドコモからの激しい反発が予想され、非常に楽しみなところである。
サービスイン記念キャンペーンとして、4月中にNan-Ken Wirelessと契約したユーザーで、希望者にはLaFoneraがプレゼントされる。
数の制限は無い。
この点について南氏は「マーチンさんがくれるって言ったの♪」と嬉しそうに話す。
気になるエリアだが、4月1日のサービス開始時では、東名阪エリア、各県の県庁所在地で利用可能な他、有名な観光地は既にエリア化されているところが多い。
南氏は、「本当はいきなり人口カヴァー率100%とかやってみたかったけど、そこまでやる余裕はなかった。これでも結構がんがったほう」と話す。
東名阪エリアの一部でしか利用できないeMobileよりは、広い範囲で使えると言えるだろう。
今後のエリア展開について南氏は、「ジャンクみたいに安い基地局と民生向けの光回線使ってるからエリア展開は早いよ。んーとね、お値段言っちゃうとね、1台あたり150万円ぽっち。アクティブアンテナ搭載してるから設置計画無しでどこでも置ける。置けるトコから置きまくっちゃうからとりあえず6月のエリア拡大お楽しみにっ」と話す。
圧倒的な低価格とPC接続なども利用できる自由度を前面に出すNak-Ken Wireless。
香港やヨーロッパの携帯電話事業者にかなり近い色合いを見せる。
十二分に既存キャリアの強敵になりそうな予感はするが、総合カタログすら発行しない、サポートは基本的にEMailでの受付など、玄人向けの色が濃い。
この点について南氏は、「カタログ1枚刷る金があるなら、私は料金をより低価格にすることを考える。わかる人だけ利用してくれればいい。それで十分採算は合う。事業欲はあまりない。私はただ、腐りきった日本の携帯電話市場に穢れ無き価格競争を持ち込みたいだけ。Nan-Kenより安価なサービスが登場することも十分あり得るし、そうなったら私の思惑通り」、「私はあまり事業者としての自覚を持っていない。あくまで消費者の延長だと考えている。消費者として、より安く、より自由なサービスを求めていて、財政的な支援と技術的な支援の両方に私はたまたま恵まれていたから、結果的にこういう会社を興しただけ」さらには、「もしGoogleがYahooに対抗して携帯電話事業をはじめたいと言い出したら私は喜んでこの会社を売却する」とも話した。
Nan-Ken Wirelessの加入者が増えるかどうかは、どれだけ教養のある消費者が増えるかどうかにかかっているような気がする。
reported by みみなし
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- 2007/02/28(水) 01:19:42|
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