しっとう?岩田亜矢那

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意味がわかると怖い話2944 「眠り姫」

2019å¹´11月19æ—¥ 10時46分38秒 | æ„å‘³ãŒã‚ã‹ã‚‹ã¨æ€–いコピペ
「あぁ…。
カール王子、アナ、お祖父様、
お祖母様…

アナ、貴女の傷が早く良くなることを願うわ…。
王子…ごめんなさい。
私、今日という日を幼い頃から夢見ていたのに…
私、必ず眼を覚ますわ…
それまでは、さようなら。
あぁ、お祖父様お祖母様………」

私は、そっと眼を閉じ、
とても長い、長過ぎる眠りの中に落ちていった…。

姫っ。姫様ぁ。
あたりは悲しみの声で包まれた。
中でもカール王子の悲しみといったら、それは例えようも無いものだった。

「姫っ。姫っ。
あぁ、愛する姫よ。
貴女の瞳をもぅ見ることはできないのか?」

「王子様、そんなに悲しまないで下さい。
私が、私が必ず姫様を目覚めさせてみせます。」

「あぁ、アナ、そなたは大魔法使いの血族であったな。
だが、先ほど姫が、あの忌まわしき魔法に掛けられた時、
そなたは、何も出来なかったではないか。」

「王子、それは間違っておる。
あの魔法使いが現れた時、
倒したのはそなただか、
アナは身を盾にして姫を守ったのだぞ。
その時に姫の命が亡くなっててもおかしくはなかった…。
アナ、ワシは心から感謝しておる。」

「そんな…私なぞにもったいないお言葉…。」

「いいえ、アナ。
あの子を守るためとはいえ、
貴女にこんな大きな傷を負わせてしまって…。
私からも感謝するわ。」

「ありがとうございます。
でも、王子様のおっしゃる通り、私は何も出来ておりません。
掛けられた魔法を、死から眠りに変えただけ。
一刻も早く姫様を目覚めさせてみせます。」



…私とカール王子、そして、アナ。
私たちは、幼い頃からずっと一緒で幸せに育ってきた。
そして、今日、結婚式を挙げ、
幸せな日々がずっと続く…
そう信じてた。

あの魔法使いが現れるまでは…


「姫、死ね。」
黒いカラスのような人?が突然現れて、私に刃を向けた。
斬られたと思った瞬間、
アナが私の身代わりとなって…

騒ぎを駆け付けた王子が切りつけた…
するとその黒い魔法使いは、私に向かって何かを叫び、
跡形も無く、消えてしまった。


アナの傷は、見た目に反して軽く、命に関わるものではなかったので、安心した。
けれど、そのアナから聞かされた言葉に、
私は愕然とした…。
「お姫様。お姫様は、先ほど
死の魔法を掛けられました。
このままでは、数時間もたないでしょう。
こちらの薬を飲んで下さい。
魔法を消すことは出来ませんが、死を眠りへと変えることができます。
数年、数十年になるかもしれませんが、必ず目覚めることが出来ますから。
私、出来るだけ早くお姫様が目覚められるように、
この魔法を解くよう頑張りますから。」

皆の見守る中、私はアナから渡された薬を飲み、深い眠りに落ちた。…



あぁ、王子、
貴方のその澄みきった青空のような蒼色の瞳、漆黒の髪…
忘れない。忘れないわ。
愛してる…
ずっとずっと…




……
………。
「………姫っ。姫っ。」

何だか、悪い夢を見ていた気がする…。
重たい目を開けたら、
心配そうに覗き込む王子とアナ、お祖父様の顔があった。
「姫、目覚めたのですね。
良かった。」

そういえば、私、眠り続けて…
まだ頭がハッキリしない。
私、どのくらい眠り続けていたのかしら…
よく見ると、王子やアナの髪には、白いモノが混じっている。
王子の瞳も深い海の底の色のようだわ。
私、とてもお待たせしてしまったのね…。

思わず泣き出した私に、王子は、そっとキスをして
「姫、ずっと長いこと見つめておりました。
私と結婚してくれますか?」
「えぇ。喜んで。」




幸せそうな姿を見ながら、複雑な表情を浮かべ、
老王は、そっとその場を離れた。

「…王、姫に伝えなくて、
良いのですか?」

「…良いのだ。
ワシは歳を取り過ぎた。
ワシらの孫と姫。
まるで姫が眠りに付く前のワシらのようではないか。
すべては、王姫。
そなたのおかげじゃ。
ビクトリア姫が眠り込んでから、
自暴自棄になっていたワシを支えてくれて…
感謝しておる。」

「カール王。もったいないお言葉です。」

二人の姿が涙でボヤけて見えなくなっても見つめ続ける老王に、
アナ王姫は、そっと寄り添い続けた。