Balada triste de trompeta / 気狂いピエロの決闘 / The Last Circus [スペイン映画]
Latin Beat Film Festival 2011 / 第8回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2011 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭: Cabinaの上映作品。
第8回 ラテンビート映画祭 | LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2011 in TOKYO, YOKOHAMA & KYOTOより:
スペイン映画界のヒットメーカー、イグレシア監督が手掛けた異色のラブ・ストーリー。イグレシア監督は、スペインで名誉ある「最優秀映画監督賞」を受賞。また、2010年のベネチア国際映画祭ではコンペ部門審査委員長のタランティーノから絶賛され、見事、銀獅子賞と脚本賞をダブル受賞した。
おはなし
1937年、ハビエル少年の父はサーカスの人気道化師であった。父は内戦の渦に飲み込まれるようにして共和国側で戦うことを余儀なくされ、捕らえられて“戦没者の谷”建設の強制労働に従事する中、ハビエルの眼前で無残な死を遂げた。
1973年、中年にさしかかったハビエルは、父の面影を胸にサーカスで“泣き虫ピエロ”として働くようになっていた。サーカスで一番の人気者、“陽気なピエロ”を演じるのはセルヒオという男であった。酒を飲むたびに残忍な性格を剥き出しにするこの男は、恋人であるエアリアルパフォーマーのナタリアにも容赦なく暴力をふるう。しかし、子どもたちの人気を集める彼には団長もものを言うことができずにいる。
ハビエルはよりによって、このナタリアに恋心を抱いてしまった。
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先日のツイート
忙しい時は何かの作業中にBG“V”としてDVDを繰り返し再生するという形で“鑑賞”するしかない。そんな“チラ見”の時にも“Balada triste ~(The Last Circus)”のOPには釘付けになったよ。凄くかっこいいだろ
オープニングタイトルがとても気に入った。こういうことはこれまであまりコメントしたことがないな。これは惹かれたよ。「ああ、きっと私はこの作品を気に入るし、知人のあの人やあの人にも薦めよう」と、OPを見ただけでも強く思ったわ。
アレックス・デ・ラ・イグレシアの作品なので、ちょっと痛みを感じる作りになっています。人の体に傷がつく音が、生理的な恐怖を与えてくれるというか。その代わりというか色合いは抑えてくれてあったので、私のように血が嫌いな人でもあんまり抵抗無く見ていられる。
ハビエルの父が、泣き虫ピエロのマヌエルと組んで子どもたちを笑わせ喜ばせているシーンから映画は始まる。
爆撃の音が轟きその笑い声を掻き消す。と、そこへ殺気立った兵士の一団が乗り込んで来る。庶民の暮らしをぶち壊してなだれ込んできて、子どもたちの笑顔を恐怖と涙で塗りつぶし夢も希望も踏みにじり、大人達を次々と殺戮に駆り立てる……という描かれ方をしているのが、フランコ側ではなくて共和国側であることがおもしろい。アリ・ババ39さんはこれをアレックス・デ・ラ・イグレシアの「バランス感覚」なのだとおっしゃった。
そうだと思う。こういうシーンでフランコ側を狂った狼のように、そして共和国側をぷるぷる震える白い子ウサギのように描くことは、ある意味―――乱暴に言えば―――“馬鹿の一つ覚え”だろうとも思う。
共和国側のエンリケ・リステル大佐が叫んでいたでしょう、「我々につかない者は反乱軍の者とみなす ……略…… あの扉を開けたら、ヤツらをぶっ殺すんだ、ぶっ殺さないと俺たちがぶっ殺されるんだからな。簡単な話だ」って。殺るか殺られるかだから。そして、同じ国の民同士、へたすれば親子・兄弟の間でさえも敵味方にわかれて裏切り合い殺し合わなきゃいけないのが内戦のむごさ・痛ましさでしょう。
だから我が国も、内戦は「ダメ。ゼッタイ。」。
DVDやラテンビート映画祭で何度か観ているんだが、この作品、考える時間が必要な作品だよね。私はまだぼんやりとしかわかってないな。見終わるたびになんだかしくしく泣いているにもかかわらず、どうして泣いているのかハッキリとわかっていない。
ハビエルという青年の悲しみに満ちた人生と狂気、セルヒオという男の残虐と絶望、間に立つナタリアという女の弱さと狡さと浮気癖。……これらを内戦以後のスペインにあてはめて考えればいいと思うのだけど、それでもまだところどころわからなくなってしまう。やや消化不良気味だけど、今回はこの辺で。
一つ思ったのは、「アレックス・デ・ラ・イグレシアは高さのあるところでの大立ち回りが好きなんだよな」ということ。
いくつかメモ
・映画『気狂いピエロの決闘』 - シネマトゥデイ
・気狂いピエロの決闘 - goo 映画
戦没者の谷(バリェ・デ・ロス・カイードス)
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映画館 Cine Luchana's
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