Monday, December 26, 2011

Ausente / プールサイド [アルゼンチン映画]

premios goyaLatin Beat Film Festival 2011 / 第8回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2011 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭: Cabinaの上映作品。

第8回 ラテンビート映画祭 | LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2011 in TOKYO, YOKOHAMA & KYOTOより:
高校教師のセバスティアンは、目を怪我したと言う生徒マルティンを病院に連れていく。治療後、車で自宅へ送ろうとするが、マルティンは「家のカギを失くし、親と連絡もとれない」と巧みに嘘をつき、セバスティアンの家へ上がり込む。人目もはばからず、裸で部屋を歩き回るマルティンにセバスティアンは戸惑いを覚えるが…。……略…… 2011年のベルリン国際映画祭ゲイ&レズビアン映画部門(テディ賞)で見事大賞を受賞した。


これは困ったね……。うーむ。「嫌いではない」。私がもともとGLBT作品には比較的やさしい目線になりがちであるということを差っ引かないといけないかもしれないが。

嫌いではないよ、ないけど……書くことがほとんど無いのはどうしたことか。朝一番の上映だったから頭が起きていなかったんだろうか? 一人で観てしまって、直後に友達同士で語らったりせず印象を刻みつける作業が欠けたためだろうか。

好きな系統の作品なんだがなあ。印象的だったことは……と、メモ帳を見てみてもこれといってめぼしいメモが無い。


友人は数日前の上映日に鑑賞を済ませてあった。これから『プールサイド』を観ようという私にただ一つ、「たぶん『こ…れ…は…ど…う…な…の…?』って思うクダリがあるから」ってコメントしてた。そのコメントの意味はわかりかねたが私もあえて尋ねずに鑑賞に臨んだ。だが、観ていて「ああ、このことか。はははは」とわかったよ。音楽がおどろおどろしすぎたんだ。


音楽が怖すぎる、大仰」ってやっぱりメモしてある。


音楽は邪魔だったね。あんなホラー映画のように見せる必要はなかったでしょ、あのシーン。


今年のラテンビート映画祭、アルゼンチン作品はこれだけだったんだよね? ひょっとすると「同性愛的な作品をなにか一つ」と探した結果これを持ってきたのかもしれないが、もしもそういう理由にこだわったとしたならばそれは読みが違うと思う。

同性愛的だろうが異性愛的だろうが家族愛的だろうがなんだろうが、私は面白い作品を持ってきてほしかった。面白いかどうかにこだわって選定してほしかった。


アルゼンチン作品ということならば、愛というか隣人愛というかいや偏愛というか愛憎というか……が実に面白く描かれている『El hombre de al lado [アルゼンチン映画]: Cabina』なんかを持ってきてもらいたかったよ、望むべくんば。映画館に観客の含み笑いがじわじわ拡がる様子を味わいたかった。

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Monday, August 08, 2011

『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~3~

(第1章: 『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~1~: Cabina
(第2章: 『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~2~: Cabina


ディエゴの部屋は知識のミニ宝庫

A:  ディエゴの部屋に一歩足を踏み入れると、ダビドでなくとも口をポカンです。キューバの守護女神カチータCachitaは前述しました。字幕にあるような聖母マリア像ではない。

B:  中央上部の人物が先ほどのホセ・マルティですね。

A:  その真下で葉巻をくわえているのがホセ・レサマ=リマ、『パラディソ・楽園』の著者、レサマ式ランチが狂言回しになっている。

B:  ダビドが君の「お父さん?」と訊いた人。入る早々目に飛び込んでくる官能的な抽象画は誰のですか。

A:  セルバンド・カブレラ=モレノ(1923~81)というキューバの画家の絵です。ピカソの「青の時代」の雰囲気があった。ニューヨークで美術を学び、スペインやフランスで活躍、ミロやクレー、キュービズム、印象主義、表現主義の影響を受けている。キューバで知ってる画家といえば彼しかいない(笑)。

B:  彼が選ばれたわけは何ですか。

A:  1954年にアレアとフリオ・ガルシア=エスピノサが共同監督して「エル・メガノ」という20分のドキュメンタリーを撮った。それに彼の描いた木炭画のシリーズが使用されたようで、それかな。(⇒ El mégano (1955) - IMDb

B:  アレアの画家へのオマージュが込められている。

A:  それに革命前も後も繊細なエロティシズムあふれる絵を描いた。勿論、革命後は農民、民兵、ゲリラ兵、一般女性も描いて生き延びましたが、革命後も絡み合う男の裸像、剥きだしのペニスを描いた。でも猥褻な感じを受けません。現在多くの作品が世界各地の美術館に所蔵されています。

B:  あの部屋には細かな仕掛けがあるんですね。

A:  2008年生誕85年を祝ってハバナで開催された展覧会には、官能的な方は展示されませんでした。他にソプラノのリタ・モンタネル、フェルナンド・オルティス、フリアン・デル・カサルなど。

B:  オルティスは前述しました。フリアン・デル・カサルはロマン主義のデカダンな詩人と言われています。

A:  19世紀のペシミスティックな感受性豊かな詩人、1863年生れ、30歳という短命でした。モデルニスモの詩「風にそよぐ葉」「降る雪に」「胸像と抒情詩」など。ディエゴと同じホモセクシュアルでした。

B:  アールヌーヴォーのランプ、中国製らしき陶磁器の薬瓶も並んでいた。

A:  オスカー・ワイルドの『サロメ』やフロベールの『マダム・ボヴァリー』の挿絵を描いたビアズリーも。ビアズリーも26歳の若さで一生を駆け抜けた。

B:  ワイルドも同性愛者でしたね。大拙の禅の影響か、ディエゴの法被は泣かせる。

A:  欧米では禅は宗教ではなく哲学です。ドアの内側に眼の形の張り紙があった。“Te estan mirando”、いつも誰かがお前を見張っているという意味。

B:  ナンシーの部屋にはビートルズの写真が貼ってあったが、こちらはマリリン・モンローでした。

A:  敵の杯ウィスキーもあるしね。ただしラジオカセットはソ連製だそうで、部品を輸入しキューバで組み立てた。これを持っているのはオカマ、というのも主にオペラを聴いたりバレエを見たりするのはオカマだから。

B:  ストレートも見たり聴いたりする(笑)。


A:  原作にあっても映画にセリフとして出てこない人でも、ディエゴの部屋などにさりげなく登場しているのが分かります。映画はかなり楽観的な終わり方をしてますが、ICAICの最終検閲を考えると頑張ったと言えるかも。

B:  両方の根底にパスの楽観主義があるからだと思う。小説の読者と映画の観客では質も量も格段に違いますが、互いの多様性を認め合うことの必要性というテーマは同じです。

A:  キューバでは、政治や社会を論じるときの教科書になっている、とパスも語っています。

B:  革命の行きすぎは映画の中でも語られますが、助監督のフアン・カルロス・タビオもUMAPに行かされたそうです。


A:  舞台となった1979年、製作された1993年、キューバも変化している。パスもビデオテープではあるがハリウッド映画を見ることができるようになり、スピルバーグをテープで見ていると。

B:  欲を言えば、二人の心の葛藤がもっと描かれていたなら、普遍的な心理ドラマになったかもしれない。ちょっと物足りない。

A:  欧米に続いてアメリカでも同性婚を認める州が増えている。「夫と妻」欄も「配偶者1と2」になる。現在は表向き米軍も同性愛者の軍務を禁じているが、秋には全面的に撤廃する。いまや結婚の形も流動的、人間の価値を決めるのが時代精神なら、現在の一夫一婦制も変わらざるを得ません。

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『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~2~

(前章からお読みください ⇒ 『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~1~: Cabina


子供は独り歩きをする

A:  分かる範囲でしたが、カビナさんの疑問に応えられたでしょうか。友情・不寛容つまり差別・同性愛などは、昨今では映画のテーマとして珍しくも何ともありません。しかし、これに「反体制」と「自由への希求」という要素が加わると、俄然別の顔が現れてきます。本当のテーマはこちら、と言いたいのですが。


B:  積み残しになっている「カストロ擁護の映画だ」と憤慨している話から入りましょう。


A:  順を追って簡単にご説明すると、亡命キューバ人のネストル・アルメンドロス(Néstor Almendros - IMDb)とオルランド・ヒメネス・レアル(Orlando Jiménez Leal - IMDb)が1983年に“Conducta impropia”というドキュメンタリー(Mauvaise conduite (1984) - IMDb)を撮った。「不適切な振舞い」とでも一応訳しておきます。これが【1】です。

B:  キューバの同性愛者差別を糾弾して、当時かなり話題になりました。

A:  これを見たアレアが、要約すると「キューバと縁を切ったはずのネストル(・アルメンドロス)が、こんな負の部分を図式化、単純化した辛辣なドキュメンタリーを今更どうして撮ったのか理解できない」と怒った。さらに彼は既に撮影監督として成功しており、あるステータスも勝ちえている、彼の才能に相応しくないと。


B:  アルメンドロスは体制批判で革命後間もない1962年にフランスへ亡命していますね。


A:  アレアはいつかこの回答として映画を、それもドキュメンタリーでないフィクションで撮りたいと考えていた。そこへパスの中編『狼と森と新しい人間』が現れ映画化を決意した、この中編が【2】です。

B:  アレアが前述した「これを映画にしなければという義務感におそわれた」に繋がるわけですね。するとこの『苺とチョコレート』がその回答というわけ?

A:  そうです、そしてこの映画が【3】です。“Encuentro de la cultura cubana”(1996年夏号 )という季刊雑誌のインタビュー記事で延々と語っています。このインタビュー記事が【4】です。私が知らなかっただけで新資料でもなんでもないんですけど(笑)。

B:  アレアは1996年4月に死去していますから、これはアレア追悼号ですね。


  ENTREVISTO Tomas Gutierrez Alea por Michael Chanan “Estamos perdiendo todos los valores”pp71~76
亡命キューバ人がマドリードで発行している高レベルの季刊雑誌。インタビュアーのマイケル・チャナンはイギリスのドキュメンタリー監督、ローハンプトン大学「映画&ビデオ科」の教授でもある。著作多数、ラテンアメリカの映画や音楽に通じ、イギリスでのラテンアメリカ映画紹介に尽力している。)


A:  ええ、そうです。その後、亡命キューバ人でバルセロナ在住のロヘール・サラスという作家が、アレアは「キューバの同性愛者に自由があったかのように描いている。事実とはあまりにかけ離れていて、フィデリスタ擁護の映画」と噛みついた。

B:  つまり、このサラスが憤慨したひとですね。

A:  1998年11月に“Ahora que me voy”という13編からなる短編集をスペインで上梓した。そのなかの‘El cordero, la lluvia y el hombre desnudo’という副題付きの1編“Helados de pasion”(仮訳「情熱のアイスクリーム」)がそれ、これが【5】です。

B:  副題の「子羊と雨と裸の人間」は、パスの「狼と森と新しい人間」の語呂合せというかパロディなのかな。

A:  サラスはこの短編集をパスに捧げていて、「まったく忠実とは言えないが、自分が亡命する前のキューバが息づいている」と評価しています。サラスはパスが中編を書くにあたってキューバのゲイ世界を取材したときの協力者。ディエゴの人格形成に多くの資料提供をした。サラス自身はtravestiつまり異性装者、男ですから女装愛好者、勿論差別の対象者です。1981年にスペインに亡命するまで、ハバナの国立美術館で働いていた。

B:  じゃ、サラスはディエゴの分身なのかな。

A:  彼は現在、「エル・パイス」紙の舞踊欄のコラムニストのかたわら、バレエの衣装や舞台装置のデザインをやり、あの巨大服飾誌「ヴォーグ」の仕事もしている才人です。(Roger Salas - Roger Salas - ELPAÍS.com

B:  原作にディエゴの「得意分野だったバレエ・・・」とか、「日本の唐傘をさし、舞台衣装みたいな服装の彼は・・・・ブレスレットだらけの手を振る・・・」とか描写されているのは、サラス情報だ。


A:  レサマ=リマ(Jose Lezama=Lima)がディエゴの間接的な分身かと想像していたんですが。なにしろ、レサマ=ディエゴ説もあるくらいですから。サラスが特に拘るのが、「僕は君が思うような高尚な人間じゃない」で始まるディエゴの告白シーンです。

B:  コッぺリアでダビドをナンパしたときのイキサツを語るところですね。

A:  ディエゴは“Por eso, por eso, te he pedido muchas veces un abrazo porque pensaba que al abrazarte me iba a sentir mas limpio”と続ける。

B:  字幕は「だから君に・・・抱いて欲しかった。僕自身が清められる気がしたから」となっている。


A:  この‘limpio’に拘った。辞書では「きれいな・清潔な」のほかに「公正な・純粋な」という語義もある。

B:  迷わず後者だね。「清められる」というと「汚れ」を落とすみたいな強い感じになる。しかしサラスは前者にとったんだ。

A:  小説にはこんなセリフはなく、「こんな下らないセリフはなかったじゃないか」という怒りかもしれない。多分「ホモは穢れているから矯正しなくてはならない」という苦い体験に直結したのだと思う。

B:  日本語字幕も踏み込みすぎ、ピュアとかフェアの感じだと思う。差別というのは、する側にその意識がなくても、される側が差別と感じれば差別になる。

A:  個人的には原作と映画は違っていいという立場です。パスの台本で舞台化もされています。3つを比較すると微妙に変化して面白いのです。


B:  それはまた別の話、深入りは止めましょう。

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『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~1~

アリ・ババ39さんが『Fresa y Chocolate / 苺とチョコレート [キューバ映画]: Cabina』にコメントをしたいとおっしゃるので、いっぱい書いてくださいとおねがいしていました。私がたぶん一生知らずに済ませてしまうであろうことをアリ・ババ39さんが教えてくださる。いつも本当にありがとう。

では、以下に書き写していきます。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


原作と映画は「かなり違う」が印象

A: 今やキューバ映画の古典入りした感じの『苺とチョコレート』ですが、最近、原作を再読する必要があって、映画も改めて鑑賞しなおしました。

B:  1994年秋、岩波ホール20周年記念作品として公開されました。キューバ映画を見るのはこれが初めてという観客が多かったのではないか。

A:  今でも「キューバ映画はこれ1本」という人も(笑)。キューバ大好き人間には叱られそうですが、それくらいマイナーです。

B:  例年12月に首都ハバナで開催される新ラテンアメリカ国際映画祭(Festival Internacional del Nuevo Cine Latinoamericano)で最優秀作品賞に与えられる珊瑚賞のほか8部門制覇という快挙を果たしました。

A:  通称ハバナ映画祭と呼ばれていますが、これまたマイナーな映画祭です。世界が注目したのは珊瑚賞受賞ではなく、翌年のアカデミー外国語映画賞ノミネートです。キューバ映画がノミネートされたのも史上初めて。国交断絶以来の両国のぎくしゃくを思って感慨深かった人もいたのでは。

B:  残念ながら結果は露仏合作『太陽に灼かれて』のニキータ・ミハルコフの手に落ちましたが。このブログでは既にお馴染みになっているゴヤ賞スペイン語外国映画賞受賞にも輝いた

A:  当時の日本ではゴヤ賞の存在すら殆んど認知されておりませんでしたが、ベルリン国際映画祭銀熊賞の一つ「審査員特別賞」の受賞は報道されました。男優賞は『フィラデルフィア』のトム・ハンクスが受賞した。

B:  ゲイ対決ともいわれたが、残念ながらディエゴ役のホルヘ・ペルゴリアは涙を呑みました。

A:  しかし、この年のベルリンは殊のほか豊作で、金熊賞はジム・シェリダン『父の祈りを』、銀熊賞の監督賞はキェシロフスキの『トリコロール/白の愛』だったから、カリブの小さな島からやってきた『苺とチョコレート』が審査員特別賞に選ばれたのはサプライズだったのです。

B:  意外性をアピールする主催者側の政治的力学もはたらいたかな。


B: カビナさんはアップ段階では原作を読んでいないようで、いくつか疑問が出ています。

A:  まず原作『狼と森と新しい人間』は、ハバナ大学生ダビドのモノローグで進行します。物語が時系列ではなく、フラッシュバックを織りまぜての行ったり来たりです。

B:  映画は小細工なしの時系列で進むから安心して見ていられる(笑)。

A:  ディエゴは既に亡命していて、これから語られることは回想であることが分かる仕掛けです。

B:  大雑把にいうと、物語は「コッぺリア」で始まり「コッぺリア」で終わるという円環的なせいか、どうもこれで終わったという感じがしない。

A:  閉じられていないから、ダビドのその後を書いてくれなくちゃという印象でした。モノローグのなかに「 」なしに相手のセリフが挿入されることもあり、時々読み手は迷子になる。決して読みやすい小説とはいえず、翻訳も細かい工夫が凝らされ、結果かなり大胆なところもあります。

B:  キューバの歴史や文化に関する本の題名、人物名がこれでもかと繰り出されてきて、初めて目にするだけに注記がないとお手上げです。

A:  無視して読むことも可能ですが、キューバの政治体制、経済や文化的な背景を知って読むと面白いということね。映画とは登場する人物名にも違いがあり、小説と映画の受取り手の違いを考えて、うまくバランスを取っています。

B:  結果的に各国で翻訳されましたが、日本では映画化がなければ翻訳されなかった作品かもしれない。まずは海外に暮らすキューバ人、次いで国内のキューバ人向けだったのではありませんか。

A:  原作のダビドは映画のような共産主義青年同盟のステレオタイプ的な学生ではなく、ずっと知的好奇心にあふれたナイーブな青年として描かれている。ディエゴのアパートに行くことになったそもそもは、彼がちらつかせるバルガス=リョサの新作『世界終末戦争』に釣られてのことです。

B:  キューバでは発禁本の小説ですね。原作には「ナンシー姐さん」は出てこないし、ビビアンの出番も刺身のツマ程度です。

A:  ダビドはビビアンに振られてしまっているようだが完全に切れてるようでもなく、映画のように外交官とも結婚していない。ダビド以上に教条主義的な友人ミゲルがいない。

B:  反対に原作で重要と思われる人物イスマエルが、用心深く映画では消されてしまっています。

A:  目指すテーマは同じように見えながら、二つは≪かなり違う≫が印象です。

B:  しかしシナリオもセネル・パスが一人で書いていて、クレジットにもアレア監督の名前はありません。

A:  オフィシャルにはそうなっていますが、ナンシー役のミルタ・イバラによれば、二人で相談しながら大枠を決めていったようです。

B:  周知のことかと思いますが、彼女は監督夫人。

A:  『狼と森と新しい人間』1本での映画製作は無理で、物語を膨らませるためにナンシーを絡ませることにしたと。シナリオは三つの短編を素材に組み立てられている。

B:  どの映画にもいえることですが、シナリオ通りかどうかも実は分かりません。

A:  パスは原則として、シナリオを渡してしまったら撮影現場には出向かないそうです。執筆中に他人にあれこれ言われたくないから、自分も撮影現場に出かけて監督や俳優たちに干渉したくないということです。

B:  当時の監督と脚本家の力関係からすると「変更あり」も考えられるかな。

A:  そういう個所が随所に見えますね。特に助監督のフアン・カルロス・タビオと思われるユーモアがね。監督の仕事はハイ「スタート」、ハイ「カット」だけではありません(笑)。

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Thursday, May 05, 2011

Km. 0 / キロメートル・ゼロ [スペイン映画]

2年ぐらい前に何回か観て、下書きも途中までしてあったのだが書き上げる時間が今日まで取れなかったもの。

大勢の登場人物をつなぐ糸がもつれ合いこんがらかった挙げ句誰も想像していなかった物語を作り出す。

第11回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映された。多くの人の気持ちを和ますことのできる作品だと思う。よっぽど「ゲイ映画は嫌い!」とかいうハッキリした気持ちでも持っていれば別だが。

どたばたしているし、かと思うと妙にしんみりさせようとするのがあざとくもあるが、軽く楽しみたい時にちょうどよい。マドリードに思い出のある人はなおさら楽しめそう。


おはなし
日陰でも40度を超えるような酷く暑い夏の午後、一人の若者がマドリードの南バスターミナル(Estación Sur de Autobuses de Madridに到着する。その日の夕方6時から日付が変わるまでの6時間にマドリード中心街で起こる出来事を描く。


Carlos Fuentes カルロス・フエンテス ... Pedro ペドロ
地方からバスでマドリードにやってきた映画監督志望の若者。21歳。姉の友人のシルビアという女性のマンションに3か月ほど居候させてもらうことになっている。6時に“キロメトロ・セロ”に行けばシルビアさんが迎えにきてくれるらしい。

キロメトロ・セロとは?
日本でいうなら日本橋。道路元標。ゼロキロメートル標識。スペインの場合、マドリードのPuerta del Solにある。「太陽の門」という意味だけど、別に門みたいな建造物があるわけではないです。

スペイン・ポルトガルを知る事典km0より:
1083年,アルフォンソ6世がマドリードを最終的にキリスト教徒の手に回復し,セゴビアの自治体が再植民を行った.1202年にマドリードの都市特権(フエロ)が発布され,市の紋章(熊は自治体,ヤマモモは村villaを表す)も決められた.マドリードの発展・拡張は東に向かってなされ,今のプエルタ・デル・ソルPuerta del Sol(太陽の門)がその出発点となった.


Mercè Pons メルセ・ポンス ... Silvia シルビア
女優を目指すが下積み生活が長引くばかり。36歳になろうというところ。もう電話の料金も払えずに止められてしまった。今夜はミュージカルの出演者オーディションがある。なんとしても合格したい。しかしその前に、友人の弟とやらがマドリードに来るとかで、この暑いなかキロメトロ・セロまで迎えに行かなければいけない。

Rosario Santesmases ... Amiga de Silvia シルビアの同居人
「でも、その弟って子がイケメンだったらいいんじゃないの? あんたさ、そのミュージカルの監督のをしゃぶってあげればいいのよ。すぐ仕事もらえるわよ。あたし? 上司の? ええ、しゃぶったことあるわよ。まあ、仕事はとっくにもらってたわけだけど」


Silke シルケ ... Amor アモール
婚約者のマリオの誕生日なので何かプレゼントを買ってあげたい。もう結婚式の準備も急ぎたい

Tristán Ulloa トリスタン・ウジョア ... Mario マリオ
恋人のアモールは結婚を急ぎたいようだが、経済的不安を感じているので躊躇している。今はプエルタ・デル・ソル近くのバルを切り盛りしているが商売替えをしたいと願っており、店舗物件のことで頭がいっぱい。

Cora Tiedra ... Roma ローマ
アモールの妹。姉の婚約者マリオに惚れている。まだ正式には義兄ではないのだからと、アタックし続けている。


Concha Velasco コンチャ・ベラスコ ... Marga マルガ
非常に裕福な暮らしはできているが、夫のアンドレスは仕事で忙しく夫婦仲も冷えている。単調な生活に飽きた。出会い系の広告をみて見知らぬ男とコンタクトをとってみた。

Jesús Cabrero ヘスス・カブレロ ... Miguel ミゲル
新聞に女性向け男性エスコートの広告を出してあった。15000ペセタ。出張サービスの場合は25000。夏は稼ぎ時である。他人が想像するよりもずっと実はこの‘仕事’が好きだ。マルガからの電話を受け、6時にプエルタ・デル・ソルで待ち合わせることにした。

Miquel García Borda ミケル・ガルシア・ボルダ ... Benjamín ベンハミン
ミゲルと同居している。ミゲルが‘仕事’で‘客’のマルガを家まで連れて来ることになったのでその時間は外出しなければならなくなった。こないだミゲルの‘仕事’中にベンハミンが家の中をウロウロしていて‘客’と出くわしてしまったためにミゲルはタダで一発ヤるハメになったそうで、今日はどうしても外で時間を潰さなければならない。


Víctor Ullate Jr. ビクトル・ウリャテ・Jr. ... Bruno ブルーノ
舞踊教室の講師だがレッスン中にも出会い系チャットで相手を物色。今から小一時間でプエルタ・デル・ソルのゼロ地点で会う。

Armando del Río アルマンド・デル・リオ ... Máximo マキシモ
チャットでブルーノと知り合った。


Elisa Matilla エリサ・マティーリャ ... Tatiana タティアナ
15歳の時から売春婦稼業。他にどうすることもできなかったのだから仕方がない。プエルタ・デル・ソルの近くの薄暗く散らかった部屋でみじめな商売をしている。

Alberto San Juan アルベルト・サン・フアン ... Sergio セルヒオ
2週間後には結婚式である。婚約者とは18歳の時からつきあってきた。彼女のことは愛しているがまだ肉体関係はない。最初は素晴らしいものにしたいと思っているから。経験豊富な女性と一度しておくため買春をしようと決心する。やっと電話をかけてみたのがタティアナの電話番号だった。職場からかけていて小声で話すため、要領を得ない。15分後にゼロ地点で会うことになった。


Georges Corraface ... Gerard Serrault
フランス人の監督で、今度のミュージカル作品のオーディションのためマドリードにやってきた。

Roberto Álamo ロベルト・アラモ ... 警察官

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


ミゲルがマルガとの約束の時間に来てみると人待ち顔の女性が立っているので、迷わず近づいていって耳元で「Te voy a comer el coño como no te lo ha comido nadie. 君のあそこを今まで誰もやらなかった舐め方で舐めてあげるよ」って囁く。それはここ。……“ここ”っていうのは部位のことじゃなくて地点のことね。

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『KM.0』 Ismael Serrano

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Tuesday, May 03, 2011

Pa negre / ブラック・ブレッド / Pan negro / Black Bread [スペイン映画]

Pa Negreおはなし
1944年。内戦終結から5年後のカタルーニャでの出来事である。

ディオニス・セギーという男が無残な死を遂げた。幼い息子のクレットを乗せた幌馬車ごと崖から落ちたのだ。アンドレウ少年が駆けつけた時、クレットは虫の息だった。

事故の目撃者としてアンドレウは父親のファリオルに付き添われ事情聴取に応じた。

「君が見つけた時あの子はまだ生きていたんだって? 何か言わなかったかい?」
「最期にピトゥリウアって言ったと思います」

「君はなんのことだと思った?」
「ピトゥリウアっていう名前の鳥がいるんです。小さくておとなしいの」

「他には?」
「バウマスの洞穴にピトゥリウアっていう怪物が住んでるんだってみんなは言っています」


官憲はディオニスは事故死したのではなく殺害されたのではないかと疑っている。そして村長はその罪をファリオルにかぶせたがっているのだ。「“赤”なんぞは粛清しなければな」。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


この2月に発表されたPremios Goya 2011: palmareses / 第25回ゴヤ賞ではこの作品が一人勝ちだったので、昨年のDONOSTIA ZINEMALDIA / 58 FESTIVAL DE SAN SEBASTIÁN / 第58回 サン・セバスティアン国際映画祭で日程が合わずついに観られなかったことが残念でならなかった。

友人からも強く薦められ観てみました。(本当は3月中にはUPするはずだったのだが、震災により延ばし延ばしになっていた)


強い印象を残す作品だと思う。いろんな映画祭で受賞しまくったことも頷ける「いい作品」。だけど厳しく重い作品。そういう理由でもって私はこれを「あまり好きではない」と言っておこう。私はもともと映画はくすくすにやにや笑うために観たいから。

前半に『Secretos del Corazón / Secrets of Heart [スペイン映画]』を連想させるポイントがたびたびあったので、『Pa Negre』はたしかに重苦しい作風ではあるけれども少しはほんわかできるシーンでも待ち受けてくれるのかもしれないなどと期待もした。しかし結局『El Laberinto del Fauno / Pan's Labyrinth / パンズ・ラビリンス』並みの緊張感を保って進む作品だった。

そうだね、これは暗くて黒い“心の秘密(secretos del corazón)”だ。



ある作品をいいと思うということと、じゃあそれが好きかどうかっていうのは、また別の話。これはいい作品ですよ。観る価値のある作品。機会があったら迷わず観たらいいと思います。


DVDを回して一回目、暗部を見つめ過ぎた子供の中に魔物が巣くい、やがてその子自身が怪物と成っていく様が薄ら寒かった。もう普通のヒトではいられないであろうその子の行く末を思って、しかしそんな子供があの当時のスペインに何千、何万いたのだろうと考え、ため息をついて目を閉じた。

2回目の鑑賞の前に公式サイトを見たら「les mentides dels grans crien petits monstres = las mentiras de los adultos crían pequeños monstruos」とあった。「大人の嘘は小さな化け物を育てるのだ」と。


(続きはコメント欄で)


撮影はだいたいこの地域だったのかなと思うけど確信なし。(⇒ PA NEGRE (PAN NEGRO) - ZINEMAにロケ地は書いてある)

Ver Pa Negre / Pan Negro en un mapa más grande

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Thursday, October 01, 2009

Pedro / ペドロ [アメリカ映画]

pedroLatin Beat Film Festival 09 / ラテンビートフィルムフェスティバル2009 / 第6回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映された作品。

LBFFの公式サイトによる紹介文
ペドロ・サモラは1972年にキューバで生まれ、8歳でマイアミへ移住。17歳の時にエイズと診断を受けてからHIV啓蒙活動に身を投じ、遂にはリアリティー番組の元祖、MTV番組『リアル・ワールド』に出演、一躍有名人となった。ゲイでエイズ感染者であり、率直に人生を語るペドロ……(中略)……彼の人生を描く本作は、『ミルク』でアカデミー賞最優秀脚本賞を受賞したダスティン・ランス・ブラックが脚本を手掛けた。

(コメント欄でいろいろと)

Pedro@IMDb
ほとんど英語です

監督: Nick Oceano ニック・オセアノ
脚本: Dustin Lance Black ダスティン・ランス・ブラック  Paris Barclay

出演:
Alex Loynaz アレックス・ロイナス ... Pedro Zamora ペドロ・サモラ
Justina Machado フスティナ・マチャド ... Mily ミリー: お姉さんだったかな
Hale Appleman ホール・アップルマン ... Judd Winick ジャド: 番組で仲良くなった男子
Jenn Liu ... Pam パム:
DaJuan Johnson ... Sean Sasser
Matt Barr ... Puck パック: 衝突した相手。メッセンジャー。
Karolin Luna ... Rachel レイチェル: アリゾナ出身の女子

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Saturday, September 19, 2009

El niño pez / フィッシュチャイルド - ある湖の伝説 - [アルゼンチン映画]

nino pez開催中のLatin Beat Film Festival 09 / ラテンビートフィルムフェスティバル2009 / 第6回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映されている作品。

LBFFの公式サイトによる紹介文
ブエノスアイレスの高級住宅地に住むララと、そその邸宅で働くパラグアイ人メイドのアイリン。生まれも育ちも異なる少女達は秘かに愛し合い、アイリンの故郷にあるイポア湖畔に住むことを夢見て出発の日を指折り数えていた。しかし……(中略)……重いテーマが複雑に絡み合う本作は、前作『XXY』で国際的に高い評価を得た監督が 23歳で書き下ろした小説の待望の映画化だ。

(コメント欄でいろいろと)

El niño pez@IMDb
El niño pez公式

フィッシュチャイルド-ある湖の伝説-@映画生活

監督・脚本: Lucía Puenzoルシア・プエンソ
出演:
Inés Efron イネス・エフロン ... Lala ララ
Mariela Vitale マリエラ・ビタレ“エンメ” ... La Guayi アイリン
Carlos Bardem カルロス・バルデム ... Pulido
Arnaldo André アルナルド・アンドレ ... Sócrates ソクラテス: アイリンのお父さんだった?
Pep Munné ... ララのお父さんはこの人だった?
Diego Velázquez ... El Vasco 犬のひと
Julián Doregger ... Nacho ナチョ: ララのお兄さんだった?

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Saturday, August 29, 2009

Mentiras y gordas / セックスとパーティーと嘘 [スペイン映画]

mentiras y gordas来たる9月のLatin Beat Film Festival 09 / ラテンビートフィルムフェスティバル2009 / 第6回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映される作品なので、細かいことはそれが済んだら書きます。


LBFF公式サイトの紹介文より
真夏のスペイン、アリカンテ。ビーチ、クラブ、ディスコやバーに集う若者達は、最高の夏を過ごそうと夜毎見境なく快楽に身を沈めていた。アルコール、ドラッグは当たり前、自らに嘘をつき友人を裏切り、若さと衝動に任せて……以下略……。


とりあえず登場人物の説明を。登場順にしてみる:
mentiras
Toni トニ (Mario Casas マリオ・カサス)
親友ニコと四六時中いっしょ。女友達マリーナとも仲良し。

mentiras
Nico ニコ (Yon González ジョン・ゴンサレス)
トニとは親友同士。今まとまったお金を作りたいと思っている。マリーナとはルームシェア計画中。

mentiras
Paz パス (Miriam Giovanelli ミリアム・ジョヴァネッリ)
最近とみに太ってきた。ぽっちゃりぷよぷよ系。彼氏はカルロス。

mentiras
Carlos カルロス (Hugo Silva ウーゴ・シルバ)
モテモテ。ほんとはミュージシャン。

mentiras
Cristo クリスト (Asier Etxeandia アシエル・エチェアンディア)
ドラッグを売る“元締め的”な男。

mentiras
Sonia ソニア (Marieta Orozco マリエタ・オロスコ)
クリストの下請け。売人。

mentiras
Marina マリーナ (Ana María Polvorosa アナ・マリア・ポルボロサ)
男友達トニとはとても仲良し。ニコとはこれからルームシェアをしようかと考えているところ。レオという女の子のことが気に入っている

mentiras
Leo レオ (Duna Jové ドゥナ・ホベ)
マリーナと親しくなる。エリナという女の子とルームシェアをしていたが今は独り。

途中この子と似た女子がチラッと出て来て一瞬混乱した。

mentiras
Carola カローラ (Ana de Armas アナ・デ・アルマス)
親友のパスが太った太ったと嘆くのを慰める一方で、パスの彼氏カルロスとは…。

mentiras
Pablo パブロ (Maxi Iglesias マキシ・イグレシアス)
お金は持っていないがドラッグが欲しいとソニアに近づいてきた年下の男の子。

mentiras
Nuria ヌリア (Esmeralda Moya エスメラルダ・モヤ)
パスの勤め先に新しく入ってきた女の子。カルロスにも急接近。

mentiras
Bubu ブブ (Alejo Sauras アレホ・サウラス)
カローラとチャットで知り合った。カローラの紹介でぽっちゃり系パスと知り合うことになる。

Mentiras y gordas@IMDb
Mentiras y gordas 公式

灼熱の肌@ぽすれん

サントラ
LA VERDAD / Fangoriafang
TAINTED / SPUNKY
DESASTRE TOTAL / SWAN
CUERPO CONTRA CUERPO / SWAN
TONY EL MESÍAS / DRUM MACHINE
LET ME FREEZE AGAIN TO DEATH / ANGEL CHIRINOS

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Friday, July 03, 2009

Fuera de Carta / シェフズ・スペシャル [スペイン映画]

fuera de carta わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります)(サラっとどころか別の作業の時にBGVとしてつけていただけ、みたいなもの)(でも3~4回は回してるから)


2008年の「マラガ スペイン映画祭」のラインアップをまとめてみたとき、ちょっとだけ気になっていた作品。ハビエル・カマラ、ローラ・ドゥエニャス、チュス・ランプレアベ、フェルナンド・テヘーロなどが出演とあれば、興味は湧くよね。

そして今年2月発表のゴヤ賞では、『Fuera de Carta』のハビエル・カマラが主演男優賞に、フェルナンド・テヘーロが助演男優賞にそれぞれノミネートされたりしていた。(受賞には至らない)


公式サイトから ストーリー紹介
マキシは完璧な人生を送ってきたと自負している。名の通ったシェフであり、マドリードのチュエカ地区にたつスタイリッシュなレストランを経営しており、ホモセクシャル・ライフを謳歌しているのだ。

しかし、見せかけの婚姻であった妻との間にできた二人の子供を引き取ったこと、またアルゼンチン出身の元サッカー選手が隣に引っ越してきたことで、彼の生活に変化が生じる。マキシは価値観の転換を図ることとなる。



来たる7/10から開催される東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2009で『シェフズ・スペシャル』というタイトルで上映されるらしい。


私はスペインでゲイの友人に恵まれ、帰国後十数年経った今でもしょっちゅう(メッセンジャーとかで)話すし、これからもつきあい続けるだろう。そのせいなのか、「gay」がキーワードに来るような作品には評価が甘めだと思う。しかしこの作品はどうだろうか。今回ばっかりは私もあまり褒められないかもしれん。


・こども預かる系=家族増える系の話というと『Cachorro / ベアー・パパ』を思い出すけど、『Fuera de Carta』は及ばない。あまり心に響かない。

・「( ̄ー ̄)クスリ」とするシーンもあまりないしね。

・『Va a ser que nadie es perfecto』のときにも「終盤のハチャメチャ・ドタバタはとってつけた感あり。」と書いたけど、本作でもおんなじことを言おう。

・イケメン元サッカープレーヤーというオラシオ役のBenjamín Vicuñaの体が私には少し物足りない。

・俳優の無駄遣いにも思えた。ハビエル・カマラ、フェルナンド・テヘーロ、ローラ・ドゥエニャス……。私も彼らの作品を多く見てきたわけじゃないけど、「この人たち、演技こんなに下手なんだっけ?」と思えてしまったんだよ。彼らの経歴に傷がついちゃいそうな、そんな作品にすら見えたぞ。

・ただ、ローラ・ドゥエニャスの演ずるアレ(アレックス)のウザさはいいね。イケてない女が勘違いして図に乗ってる姿をうまく演じていると思う。だから素晴らしくウザい。


(取り急ぎ思いつくのはこれくらい)(あとは何か思いつけばコメント欄に足します)(コメント欄で‘上方修正’することもあるから、私は)

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